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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
457/530

魔影・伍式 その②

悪魔は人間に焦がれ


翼を斬り落とした


人間は悪魔に焦がれ


肩の骨を抉りだした


斬撃と衝撃波が空中で衝突する。


ボンッ!


と、爆発するような轟音が、半径百メートルの空気を震わせた。


「相殺したか…!」


架陰は攻撃の手を緩めない。


刀に魔影を纏わせて、斬撃を放つ体勢に入った。


すかさず、着地した鬼丸が、地面に向かって金棒を叩きつけた。


土が舞い上がり、鬼丸の姿を覆い隠す。


「目くらましか!」


架陰は慌てることなく、息を吸い込んで呼吸を整えた。


身体中から触手でも生やすように、意識を体外世界に持っていく。


土煙で姿を視認できなくとも、そこに必ず鬼丸はいる。


呼吸、足音、土煙の流れ。


五感を使って認識できる全ての事象を持って、鬼丸の居場所を探知した。


そして、発見する。


「そこか!」


架陰は振り向きざまに、刀を振った。


しかし、刃は空を切った。


「ッ! 読み違えた?」


「ここだ」


背後から、鬼丸の声。


ギンッ!


咄嗟に刃で防いだが、架陰は鬼丸の金棒によって吹き飛ばされていた。


「くそ! 踏ん張れない!」


架陰は空中で身を捩って体勢を整えると、魔影を脚に集中した。


一瞬のタイミングで、魔影から衝撃波を放ち、勢いを相殺する。


カツン!


と、乾いた音を立てて地面に着地。


顔を上げると、そこには鬼丸がいた。


「く! 速い!」


鬼丸が金棒を振り下ろす。


こちらも、刃で防ぐ。


刃を合わせながら、鬼丸は架陰に言った。


「楽しいか?」


「楽しいだと?」


架陰は鬼丸を睨むと、不意を突いて、鬼丸の腹に魔影を纏わせた蹴りを叩き込んだ。


ボンッ!


と、鬼丸が吹き飛ぶ。


ビルの壁に激突した鬼丸に、架陰は叫んだ。


「楽しいに決まってんだろ!」


そうだ。


楽しい。


刃を交えれば交えるほど、骨が砕ければ砕けるほど、肉が抉れれば抉れるほど、自身の「生」を実感する。


朝起きてご飯を食べるだけでは生ぬるい。いつ死んでもおかしくないような、命のやり取りを目の当たりにして、架陰の精神は従来の獣のような感覚を取り戻し始めていた。


「ひゃははは…」


にちゃっと笑った口から、血が流れ出る。内臓が傷つき、気道を通って喉から逆流しているのだ。


内臓が潰れようが、骨が折れようが関係無い。


今は、この男を倒したい。


「それだけだ…!」


架陰の答えに、鬼丸もまた、ふっと笑った。


「私も、この戦いを楽しんでいる」


「はっははは…、殺してやる」


二人同時に、地面を蹴り飛ばした。


猛スピードでお互いの距離を詰めて、互いに握った武器を振う。


ギンッ!


甲高く響き渡る金属音。


架陰は身を反転させて勢いを付けると、さらにもう一閃した。


迫る黒い刃を、鬼丸は金棒の柄で受けると、身を引いて威力を受け流す。


その上で、架陰の脚を払いのけ、体勢を崩させた。


架陰は地面に手を着くと、腕に纏わせた魔影の反動を使って一気に身体を起こす。


立ち上がった拍子に、鬼丸の顔面に裏拳を叩き込む。


バキッ! という感触と共に、鬼丸の顔がのけ反った。


「もう一発!」


「させんよ」


ヒュンッ!


と空を裂く音がしたと思えば、死角から金棒が飛んできて、架陰の右顎の辺りに直撃した。


「こふっ!」


直撃した拍子に、脳が揺れた。


天を仰いでのけ反った瞬間、視界の隅に白い火花が弾ける。


(ああ、いい!)



気を失う寸前の、脳が震えるこの感覚。


「最高だ!」


架陰は切れかけた意識を繋ぎとめると、鬼丸に拳を打ち込んだ。


ボンッ!


魔影を纏わせた一撃。


鬼丸は「くっ!」と呻き声を上げて、数センチ後ずさった。


「これで気を失わないとは…」


「それはこっちのセリフだよ」


架陰は刀を握っていない方の左手の親指をバキリと鳴らした。さらに、人差し指、中指、薬指に掛けて、バキリ、バキリ、バキリと鳴らす。


「楽しいなあ!」


そう嬉々として言った瞬間、架陰の口から血が吹き出した。


ボタボタと地面に滴った血からは、つんとした腸が臭いがこびり付いていた。


その様子を見て、鬼丸は神妙じゃ顔つきになった。


「限界が近いか…」


「全然」


架陰は首を横に振って、口元の血を拭った。


「そろそろ、決着といこうか」




その③に続く

作者「次で決着させたい」

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