表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
UMAハンターKAIN  作者: バーニー
409/530

霧払い その③

化け物の子を抱いて


月光を走る


入道雲に祈る


万象の柱を


(なるほど.......)


架陰は自分が今からするべきことを理解して、心の中で頷いた。


悪魔の堕慧児の目的は、【城之内カレンに取り憑く悪魔を奪い、彼らが崇める王の力を増幅そせる】ということ。


ならば架陰は、悪魔の堕慧児がカレンから悪を奪う前に、その悪魔を奪えばいい。


ということだ。


(にしても、悪魔。どうして、カレンさんに悪魔がついていることを、今まで気が付かなかったんだ?)


架陰とカレンは長い付き合いだ。


クロナや響也はもちろん、いつも同じ時を過ごしてきた仲間だ。


一番近くにいたというのに、架陰は悪魔の存在に気づくことが出来なかった。


その点に関しては、悪魔はうなりながら答えた。


(気配ヲ隠スノガ上手イヨウダナ。イヤ、ドチラカトイエバ、【眠ッテイタ】。ダナ)


(眠っていた?)


(アノ悪魔.......、ツイ最近マデハ眠ッテイタ.......、ツマリ、活動ヲ停止シテイタヨウダ。ソレガ、ナニカヲキッカケトシテ、目覚メタヨウダ.......)


(うーん。何かをきっかけととしてね.......)


架陰はそこまで考えたとき、ふと思いついて、

悪魔に聞いていた。


(ってか、悪魔。君なら、カレンさんに取り憑いた悪魔の居場所を探知できるんじゃないか?)


(それが、無理らしいんだよ)


悪魔の代わりに、ジョセフが答えた。


(どうやら、城之内カレンの悪魔は、眠ったり起きたりを繰り返しているらしいんだ。今は、休眠状態にある。だから、悪魔の力を使っても、居場所は探知できないんだ)


(そうですか)


(オイ貴様、今、落胆シタダロ?)


(バレた?)


(貴様ノ心ニイルノハワシダゾ?)


そりゃそうだ。


悪魔の力に頼れないというのなら、やはり、自分の足で、目で捜索するしかない。


(安心シロ。一応注視シテオク)


(うん。お願いするよ)


悪魔とジョセフの声は、それを境に聞こえなくなった。


架陰は再び、前方に意識を向けると、城之内花蓮を抱いたまま疾走した。


(カレンさん.......、必ず連れ戻します!!)





















場面は移り変わる。


市原架陰が、城之内カレンの居場所を探して街をかけている頃、鈴白響也もまた、城之内カレンヲを探してかけていた。


(カレン、カレン、カレン!!)


心の中で、必死に彼女の名前を呼ぶ。


クロナから離れての単独行動。


自分でもらしくない行動だと思っていた。


だが、逸る気持ちが、響也の足を強引に動かすのだ。


(カレン!!)


響也の脳裏に、カレンと初めて出会った日のことが蘇った。


あの日。


響也が不良と喧嘩して、身体中をボロボロにしながら夜道を歩いていた日。


カレンは、身体を血まみれにして、不良と対峙していた。


口は三日月のようにニンマリと笑い、喉の奥から、悪魔のような、悲鳴にも似た引き笑いが漏れている。


その時のカレンは、人を忘れた獣の姿をしていた。


笑い、何度も「死ね死ね死ね死ね死ね」と呟きながら、男をいたぶる。


殴られた男の顔は真っ赤に腫れ上がり、裂けた皮膚から血が流れ出ていた。












響也と同じ、心に傷を持った者。











カレンの姿を見た瞬間、響也は共犯にも似た感覚が全身に駆け巡るのを感じていた。


カレンと響也は、直ぐに意気投合した。


UMAハンターへの入隊試験を受けたのも同時だった。


桜班に配属されたのも同時だった。


響也にとって、カレンは自分だった。


(お前が居ないと.......、私は!!)


響也は奥歯を噛み締める。


これは愛にも似た感情。


母親が実の子供に向ける、春の陽だまりのような暖かな想い。


「くそ、いてぇ.......」


響也はそんな声をもらしていた。


先程の、笹倉との戦いでかなり体力を消費している。彼から貰ったダメージはもちろん、能力【死神】を使ったあとの反動が、波のように彼女を蝕んでいた。


ふくらはぎが弛緩して、上手く地面を蹴れない。


いつもは握りなれたはずのDeath Scytheさえも重く感じた。


身体中から脂汗が吹き出し、頬がテカる。目つきの悪い目に、更に影が刺した。


「はあ、はあ、はあ.......」


本来ならば、すぐにでも横になって休まなければならないこの状況。


それでもその足を動かすのは、「城之内カレンを救いたい」という一心からだった。


「カレン.......」


その瞬間、足がもつれた。


「うわっ!!」


響也は顔面から転げる。


「いたた.......」


Death Scytheを杖がわりににして立ち上がった。


再び走り始めようとした瞬間、背筋に冷たいものか走った。


「っ!?」


響也は蹴り飛ばされたようにその場から距離を取ると、路地裏に飛び込んだ。


「人の気配?」


いや、これは、悪魔の堕慧児の気配だった。


路地裏から顔を半分出して、大通りの様子を見る。


誰かがこちらに歩いてくるのが分かった。


(あれは.......)












悪魔の堕慧児の一人、【鬼丸】と、【夜行】だった。










第122話に続く

補足


鈴白響也は孤児です。

クズな父親から逃げて、喧嘩三昧の日々を送っていたところ、同じく、荒れた生活を送っていた城之内カレンと出会いました。

二人は姉妹のような存在です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ