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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
376/530

【第112話】 薔薇と太陽 その①

朝露に求める一輪の薔薇


詰む私の指には絆創膏

1


「参ります」


薔薇班・班長の城之内花花蓮は、愛刀の鋒を、向かってくる男に向けた。


キラリと、鋭い閃光を放つ。


「名刀・【絹道】」


唐草が、半径十メートルの射程範囲に踏み入った瞬間、彼女もまた、彼に向かって踏み込む。


(向かってきた?)


唐草は首を捻る。


唐草の能力は、【山羊男】。下半身が山羊の肢に変化して、強靭な脚力を得る力だ。


今、彼はその能力を利用して加速している。加速した状態から放たれる一撃は、相殺することなど不可能。


それなのに、向かってきた。


(どういうことだ?)


考えている暇はない。


(蹴り砕けば、いい話だ!!)


唐草は肢をしならせると、迫りくる花蓮の頭蓋に向かって、強烈な蹴りを放った。


その瞬間、唐草の視界から、花蓮の姿がぬるりと消えた。


「っ!?」


蹴りは空を切る。


唐草の股の下で、花蓮が言った。


「私の剣術は、【柔軟】です」


反応できない機敏さで、唐草の懐に潜り込んだ花蓮は、低い姿勢から、刀を斬りあげた。










「【絹道】!!!」











「っ!!」


しかし、俊敏さでは唐草も負けていない。


刃が彼の脚を斬り落とすよりも先に、左足で地面を押して、斬撃を躱した。


「あっぶな!!」


「くっ!!」


花蓮は奥歯を食いしばる。


やはり、一筋縄ではいかない。


相手は、悪魔の堕慧児。人間ではない。反応速度も、運動能力も、人間の数倍勝っているのだ。


(単に、隙を突くだけじゃ勝てない!!)


花蓮は、ブーツを踏み鳴らして、唐草との間合いを詰める。


唐草はバックステップを踏みながら、花蓮と距離をとった。


(やっぱり、追撃してくるか・・・)


花蓮の攻撃をいなしながら、熟考する。


(僕の能力は強力。さっきの男みたいに、一発喰らえば一溜りもない・・・)


こんな凶悪で、強力な能力を持っているのだ。


普通、距離を取り、攻略方法を導くために考えるはず。


それなのに、目の前の女は、刀に付いたリボンを踊らせながら、切り込んでくる。


考えられることは二つ。











①近接でも勝てる自信がある。


②玉砕覚悟である。











後者は現実味がない。


やはり、前者だと見るべきだ。


「だったら!! 迎え撃つ!!」


唐草は退るのを辞めた。


そして、花蓮との交戦を決意した。


逃げるのを辞めた唐草に対して、花蓮は唾を呑み込む。


刀を握る手が強ばった。


それを必死に抑えて、一歩踏み込む。


確実にここで仕留めるのだ。


「名刀・【絹道】・・・、第一航路!!!」


上半身を捻って、骨盤から頚椎にかけての可動域を広いげる。


ゴスロリドレスから覗く、白い美脚を軸にして回転。


遠心力。


柔軟性。


そして、冷静な頭脳。


この三つが合わさった時、城之内花蓮は誰よりも変幻自在な動きをすることができる。











「鴎!!!」










ぬるり、ぬるり。ぬるり、ぬるり。


まるで川を下る流水のように、花蓮は身体を回転させて、唐草の側面を滑るようにして彼とすれ違った。


「っ!!」


一瞬の出来事に、唐草は目を丸くして、首だけで振り返る。


(躱した!?)


空を切った蹴り。


蹄の付いた肢が、ビキリと痛んだ。


皮膚が裂けて、血が吹き出す。


「なっ!?」


すれ違いざまの一瞬で、斬り裂かれたのだ。


「くっ!」


唐草は体勢を整えると、身を捩りながら着地。


たが、足元が覚束ず、くらりと片膝を付いた。


(しまった・・・、山羊の肢は繊細だから・・・)


思ったよりもダメージを受けてしまったようだ。右足に全く力が入らない。さしずめ、腱を切断されている。


(この程度の傷・・・、神谷の能力があれば回復する・・・)


花蓮の方を振り返った。


「今・・・、何した?」


「斬ったんですよ」


花蓮は腰をくねくねと振りながら、【名刀・絹道】の鋒を唐草に向けた。


鋒に、たらりと血が付着している。唐草のものだ。


「速いね・・・」


「それだけじゃありませんよ?」


花蓮はお嬢様らしくニコッと笑った。


次の瞬間には、お嬢様らしくない鬼気迫る顔に変貌し、唐草に斬り込む。


肢をやられた唐草は、地面に手をついて、腕力の反動で花蓮の攻撃をいなそうとした。


しかし、腕に、絹道の柄に取り付けられたリボンが巻き付く。


「あっ!!」


花蓮は慈悲無く、刀を引いた。


ピンッ!!


と、強靭なリボンが張り詰める。


締め付けられた時の勢いで、唐草の腕の肉にリボンが食いこんだ。


「くっ!!」


痛みに顔を歪める。


花蓮はさらにリボンを引いた。


ずるり、ずるりと、唐草の体が引きずられて、花蓮の方へと近づいていく。


「あちゃ、君、なかなかえげつないことするよね?」


「UMAハンターですから」


花蓮はふふっと笑った。


そして、一気にリボンを引く。


踏ん張りが効かなくなった唐草は、花蓮の方へと放り出された。


「終わりです」


リボンに拘束され、身動きが取れない唐草に、刃を振った。









その②に続く

その②に続く

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