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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
371/530

泡沫の血飛沫 その②

薄紅色に光る


朝焼けの中を


ベランダから眺める私は


ふやけた息を吐きながら

2


薔薇班の四人が、街の探索を始めてから数分が経過した。


中央分離帯によって隔たれた大通りを進んでいると、前方に人の影。


花蓮がすかさず、「止まって」と指示を出した。


斎藤、桐谷、西原ともに腰の装備品に手をかけて、身構える。


人影は、ゆらりゆらりと楽しげにステップを踏みながら近づいてきた。


「やあやあ、初めましてかな?」


人影がビルの影から抜け出して、薔薇班の四人の前に姿を現した。


木の色に近い茶髪を風に揺らし、飄々と中性的な顔立ち。幼げながらも鼻筋は通っていて、革鎧が動く度にカタカタと鳴っている。


そして、赤色の和傘を差していた。


その姿に、西原は見覚えがあった。


「お嬢様・・・、あれが【悪魔の堕慧児】でございます」


「あれが・・・」


桜班と椿班の報告にあった特徴と一致している。


名前は確か・・・【唐草】。


「こんにちは、薔薇班の皆さん。僕の名前は」


唐草が自己紹介をしようとした瞬間、その隙を突いて西原が斬りこんだ。


ヘラヘラと半開きになった口に、腰の仕込み刀を一閃する。


「おっと!」


唐草は、上体を仰け反らせてそれを躱した。


(躱した!?)


「爺さん。名乗りは聞くもんだよ?」


「時間が無いのです」


斬撃の勢いそのままに、体を捩り、唐草の脚を掬う。


唐草はバランスを崩して、地面に頭を激突。


「おっ!!とっ!!」


とは行かず、ギリギリのところで踏みとどまった。


強靭な腹筋を使って体勢を整える唐草。


「もうちょっとさ、話を聞こうとは思わないの?」


「ありますとも」


西原は、鬼のような速さで唐草の首を掴むと、そのまま肉塊が覆った地面に叩きつけた。


為す術なく、西原に行動を封じられる唐草。


西原は、無抵抗な唐草に違和感を感じながら、強ばった口調で聞いた。











「城之内カレン様はどこにいる?」











「城之内カレン?」


知っているだろうに、とぼける唐草。


「さあ、誰のことかな?」


「とぼけるな・・・」


首を絞める力を強める西原。


シワだらけの指が、ギリギリと唐草の首に食いこんでいった。


「痛いなぁ。やめておくれよ」


「居場所を言え」


「ああ、もう、冗談が通じない爺さんだ」


あっさりと自分の嘘を認める唐草。


「城之内カレンの居場所は・・・」


そう言おうとした瞬間。


何か、殺気立ったものが近づいてくるのに気がついた。


唐草の口がにいっと笑う。


「っ!?」


防衛本能が、西原の体を動かす。


「西原さん!!」


桐谷が危険を知らせる。


西原は、咄嗟に地面を蹴って、唐草から距離を取っていた。


唐草と西原の間を、白い閃光が駆け抜けた。


「斬撃っ!?」


「おっと、外しちゃったかな?」


唐草は腹筋の反動で立ち上がると、その脚力を活かして、一気に跳躍した。


軽快にビルとビルの間を蹴って移動して、断崖絶壁を駆け昇る山羊の如く、遠ざかっていく。


ビルの屋上に立つ唐草。


その隣には、未確認の【悪魔の堕慧児】がたっていた。


距離があるために、顔が判別出来ない。唐草よりも低い。ということは、小柄な体型だろう。


(あいつが、斬撃を放ったのか?)


唐草は、屋上から薔薇班を見下ろして言った。












「我々の目的は、【市原架陰の誘拐】だ」











「架陰様を!?」


今まで、悪魔の堕慧児や、桜班との関わりが無かった薔薇班の面々は、悪魔の堕慧児の目的をイマイチ図りかねていた。


ザワつく三人を横目に、西原は冷静さを保ったまま、頭上の唐草を見据えた。


「お前達が誘拐した桜班の副班長はどこにいる!!」


「まあ、そう焦らないでよ」


遊戯を楽しむ子供のように笑う唐草。


「大丈夫。ちゃんと生きてるよ」


その言葉を聞けただけで、西原は心の中で胸を撫で下ろした。


「交換条件と行こうじゃないか」


唐草はニヤリと笑って、右人差し指をこめかみに押し当てた。











「返して欲しくば、市原架陰と交換条件だ」











「っ!!」


「ああ。大丈夫だよ」


西原の心を読んだのか、唐草は間髪入れずにそう言って宥めた。


「無理だよね? 無理なのはわかっている。みんな大事だもんね」


「そうだ!!」


西原は珍しく声を荒らげた。


唐草は相変わらず楽しげ。


「無理なら、武力行使でも構わない。僕達が誘拐した、桜班の副班長は、この街のどこかに捉えられているからね」


「この街に!?」


「ああ。面白いだろ? 僕の仲間の能力なんだ」


唐草が取り付けてきた条件はこれだった。










・城之内カレンを返して欲しくば、市原架陰を差し出すこと。


・それが無理なら、武力行使に出ても構わないこと。












「だけど、武力行使に出るのなら、僕たちは遠慮しないよ?」


最初からこれを望んでいたかのように、ニヤニヤと、悪意のこもった顔で笑う唐草。


「君たちが攻撃してくるというのなら、僕達も全力で迎え撃つ。さあ、UMAハンターと悪魔の堕慧児との、全面戦争といこうじゃないか」










その③に続く



その③に続く

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