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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
351/530

【第104話】 悪魔の巣食う女 その①

誰だって


隣人の裸は見ないでしょう?


何人たりとも


貴方の腹の中は見ないでしょう?

1


「さあ、一緒に来てもらうぜ」


悪意の含んだ笑みを浮かべた笹倉は、架陰に刀の鋒を向けた。


刃の表面を、バチバチと雷撃が走る。


「・・・・・・っ!!」


架陰は奥歯を噛み締め、地面に落ちていた叢雲を拾い上げた。


「また、僕を攫いに来たのか!!」


「そうに決まってんだろ?」


刀を持っていない左手の指を、パチンッ!!と鳴らす笹倉。


その瞬間、その場に立ち込める気配が変わった。


緊迫、と言うよりも、鈍重な、身体中にまとわりついてくるようなドロドロとした殺気が辺りを覆ったのだ。


カレンが見上げて、息を呑んだ。


「架陰くん!!」


架陰も釣られて上を見る。


ビルの屋上から、大量のUMA達が身を乗り出し、架陰とカレンを見下ろしていたのだ。


ゴートマン、リザードマン、フロッグマン、モスマンもいる。


人型のUMAが、ザワザワと肩をひしめき合いながら、見下ろしてくる。










その数、ざっと数えて、百体ほど。










架陰は、笹倉を睨んだ。


「おい!! あのUMA!! どういうことだ!!」


「用意したに決まってんだろ?」


にいっ、と笑う笹倉。


「親切心で教えておいてやる。あれは、全部【悪魔の堕慧児】だ」


「え?」


架陰の体がギシッと固まった。


悪魔の堕慧児?


「意味分かるか?」


「もちろん」


悪魔の堕慧児は、人間とUMAの力を半分ずつ持つ生命体のことを言う。


今、目の前でふわふわと浮遊する笹倉のように、半分人間の姿をして、半分UMA(ガーゴイル)の姿。


だが、屋上から架陰達を見下ろしてくるUMAは、人間の姿の欠片も見当たらない。


「鈍いな」


笹倉は楽しみを堪えきれない子供のように笑った。









「あいつらは、全員、人間だよ」










「人間だと・・・!!」


「ああ。人間だ。と言っても、【人間の成れ果て】だがな・・・」


それから、笹倉は、「前のことを覚えているか?」と言った。


前のこと。


とはもちろん、以前、架陰が笹倉によって誘拐された時のことである。


「あの時、お前と夜行が戦うのを見ていた【観客】がいるだろ?」


「・・・、いたな」


架陰は恐る恐る頷いた。


笹倉は、再び指を鳴らした。


「アイツらもまた、【DVLウイルス】に感染して、【UMA化】が進行していた奴らだ。上手く行けば、オレみたいに、UMAの能力を手に入れることができるかもしれなかった」


笹倉の合図で、屋上に控えていたUMA達がいっせいに、飛び降りる。


「オレたち幹部は、あえて、奴らを【UMA】にしたんだよ」


ドチャリ、ドチャリと水を踏みしめて、UMA達が着地する。


架陰とカレンは、一瞬にして百体のUMAに取り囲まれてしまった。


「・・・・・・!!」


「・・・・・・」


言葉を交わすことなく、架陰とカレンは背中合わせになって身構える。


「お前も覚えておくといいさ。DVLウイルスの感染者は、症状が進行すると、こんなふうに、【人型UMA】に変化する」


そして、にちゃっと笑ってこう宣言した。











「もう、自我はない。そして、もう二度と人間には戻れない」










その瞬間、UMAたちは、いっせいに架陰とカレンに目掛けて襲いかかった。


「っ!!」


架陰の腕がギシッと固まった。


身体が、「無理だ!!」と叫ぶ。


たとえ人外の姿をしていようと、この目の前に立ち塞がるUMAが、「元人間」だということが腕に張り付くのだ。


「笹倉ッ!! お前!!!」


「無理だろ。お前は優しいからな。特に、【理不尽】に人間をやめさせられた奴らには同情するしかないだろ?」










笹倉の計画はこうだった。


この○○地区のビル街にガーゴイルの姿で出現して、人々の注目を誘う。


そして、UMAハンターの架陰を呼び寄せる。


架陰が来るまでの間、住人をこの、【元人間UMA】に襲わせて、一掃。


車が一台も通っていないのは。


コンビニの中が血まみれだったのは。


人が一人も居ないのは。










「全部、オレたちが殺ったからだぜ?」











元人間と言えど、自我が消え失せた猛獣。


百体もけしかければ、アリのように湧く人間など簡単に食い尽くしてくれた。


その血も、肉も、全て、この雨が洗い流してくれた。


「さあ、殺戮の始まりだ」











確信があった。


架陰は、今動揺している。


動揺すれば、【魔影】の能力を使うことが出来ない。


そして、架陰には、このUMA達を斬ることが出来ない。


隙を突いて気絶させて、連れ去って終わりだ。


(勝った!!)










そう勝利を確信した。


次の瞬間、笹倉は突風に煽られて地面に墜落していた。


「え?」


顔をあげる。


辺りを見渡せば、四方八方のビルの壁やガラスに、UMA達がめり込んでいた。


百体、全てが、そうやって、潰れて死んでいた。


「はっ?」


笹倉は翼を仰いで浮かび上がる。


見間違いじゃない。


全員死んでいる。


壁に叩きつけられた者は、プチッと内臓を潰され、ガラスに突っ込んだ者は、身体中を破片に貫かれ。


「おいおいおいおい!!」


一体、何が起こったんだ?












「さて、次はあなたよォ」











そこには、カレンが立っていた。











その②に続く

その②に続く

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