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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
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【第99話】 見えない攻撃 その①

一人ぼっちにならないように


僕は日記を書き始めたよ


楽しい日々はあったのだと


そう思えるように


万年筆にインクを付けるんだ



1


「あれは、モスマンよ・・・」


クロナは、額に冷や汗を浮かべながら言った。


「モスマン?」


「ええ。その名の通り、【蛾人間】。ゴートマンやリザードマンと同種で、背中に蛾の羽根を持った人型のUMA・・・」


「強いですか?」


「さあね。目撃例、討伐例共に少なくて、その実態は謎に包まれているわ・・・」


「でも、さっき・・・、『資料通り・・・』って」


「私の兄の、雨宮黒真は、一度だけ戦ったことがあるのよ。その時は逃げられて、捕獲には至っていないわ・・・」


「資料には、なんて書いてあったんですか?」


「簡単なことよ・・・」


クロナが頷いた瞬間、前方のモスマンが動いた。


黒い毛で覆われた口唇部が小刻みに震え、「キリキリキリキリ・・・」と、金属を擦り合わせるような音が聞こえた。


クロナが「下がりるわよ!!」と言って、架陰の手を引いた。


その瞬間、モスマンの口から、衝撃波が放たれた。


咄嗟に左に倒れ込んで回避する二人。


衝撃波は、二人がたっていた場所の地面を抉りとり、砂煙を舞わせた。


「っ!!」


「お兄ちゃんの戦闘記録によると、モスマンはあの【衝撃波】を基本攻撃としているわ」


モスマンに背を向けて走り出す二人。


「衝撃波の射程距離は、およそ五十メートル。あれに触れてしまうと、吹き飛ばされるだけじゃなくて、体内の血管を潰されて、出血を伴うわ。さっきの目から流れていた血もあの攻撃の追加効果だと思っても構わないわ」


「もしかして、ローペンも・・・」


「多分、あの攻撃で動きを封じられた所を、喰らわれたみたいね・・・」


なるべく、モスマンから距離を取ろうと走る二人。


逃げている訳では無い。


「架陰。行けるわね?」


「もちろんです!!」


一定の距離を取った二人は、目配せをし合い、一気に振り返った。


二人同時に、能力を発動させる。


「能力、【魔影】発動!!」


「黒鴉、能力発動!!!」


架陰の身体の表面から、影のような黒い霧が染み出した。


それを、自由自在に操り、名刀・赫夜の刃に纏わせ、収束させる。


白銀だった赫夜の刃は、一瞬にして、【漆黒の大剣】へと変貌する。


対して、クロナは武器の能力を発動させた。


強い握力で柄を握りしめると、黒鴉の黒い刃の表面が、若干紫がかって発光し、ザワザワと黒い羽が生える。そして、刀は一枚の【大翼】となった。


「二人同時に!!」


「二人同時に!!」


二人同時に、遠く離れたモスマンに向かって刀を振り下ろした。










「【悪魔大翼】!!!」










「【明鳥黒破斬】!!!」











振り下ろした架陰の刃から、黒い斬撃が放たれる。


一閃したクロナの刀から、無数の硬質化した羽が、散弾銃のような勢いとともに発射された。


先程の衝撃波の攻撃のように、接近戦は不利だ。


ならば、距離を取ってからの強力な一撃で勝負を付ける。


架陰の斬撃と、クロナの羽根は、森の地面を抉り、木々をなぎ倒しながら森の奥へと飛んでいった。


数秒のラグがあった後に、「ドンッ!!!」と攻撃が炸裂する音が響いた。


「よし!! 命中!!!」


ガッツポーズをする架陰に対して、クロナは冷静な様子で言った。


「まだよ!! 死体を確認しに行くわ」


遠距離から迎え撃ったとしても、もしかしたら攻撃を外しているかもしれない。


クロナと架陰は、腰の鞘に刀を収めてから、斬撃が通った道を走って戻った。


そこに、モスマンの姿は無かった。


「死体が、ない?」


「これは・・・」


困惑する二人。


「もしかして、消し飛んだんでしょうか?」


「そんなはずないわ。消し飛んだにせよ、肉片は残っているはず」


「ということは・・・」


「攻撃は、外れていた・・・」


「でも」


「ええ。【手応え】はあったはずなんだけど・・・」


まるで狐に包まれたかのような感覚だった。


先程まで、二人の前に立ち塞がったモスマンが、少し後退した隙に姿を消した。


しかも、攻撃は命中していたはずだと言うのに。


「・・・、どういうことなの?」


「なにかの能力でしょうか?」


「そうかもしれないわね・・・」


クロナは腰の刀から手を離さずに言った。


「とりあえず、警戒は怠らないでね。まだ近くにモスマンが潜んでいるかもしれないし・・・、それに」


その瞬間、クロナ視界が、赤く染まった。


架陰が裏返った声で言う。


「クロナさん!! 目が!!」


「目・・・」


今度は、袖で拭わなくても分かった。


どろりどろりと、クロナの目から赤い血液が流れて落ちていることに・・・。


「どういうこと・・・!?」


目からだけでは無い。


鼻からも、血がどろりと流れた。


「架陰!!」


事の重大さに気がついたクロナは、振り絞るようにして叫んだ。


「まずいわ!! 攻撃されている!! よく分からないけど、ここにいたらまずい!!」













その②に続く



その②に続く

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