魔影石採集クエスト その②
ホームボタンはまだ押さない
SDカードはまだ抜かない
Aボタンを連打して
決してセーブはしない
2
「まず、UMAハンター達が採用している武器には、どんな種類があるか知っているか?」
鉄火斎はそう言って、武器の基本的な説明を始めた。
「基本的には、【無能力武器】と、【能力武器】に分けられる」
「あ、知ってます。それ。何回か見てきました」
架陰は頭の中に、今までに出会ってきたUMAハンター達の姿を思い浮かべながら頷いた。
それから、隣のクロナの方を見る。
「クロナさんの、【黒鴉】も能力武器ですよね?」
「ええ。私のは能力武器よ」
「で、僕の【赫夜】は無能力武器ですよね」
「その通りだ」
鉄火斎は頷く。
「単純に考えれば、【無能力武器】よりも、【能力武器】の方が、【強い】とされている」
「ああ、確かに。普通の武器としての使い方と、能力を使った戦い方がありますからね」
「私の【黒鴉】なんてまさにそうね。近接戦闘では、【刀】として戦えるし、遠距離になれば、【明鳥黒破斬】を放てばいいし」
架陰とクロナが、武器の基本的性能と常識について思い出したところで、鉄火斎は次の話をした。
「せっかくなんでな、今度のお前の武器は、【能力武器】を打とうと思う」
「え、鉄火斎さん、造れるんですか?」
「オレを誰だと思ってんだ。お前の専属の【匠】だぞ? それに、【素材】さえあれば、能力武器なんて造るのは簡単さ」
そう言って、鉄火斎が先程から手の中で転がしているのは、【鉱石】だった。
それを、架陰に向かって放り投げる。
架陰はそれを受け取った。手に吸い付くような重さがあった。
「それは【鋼】だ。赫夜には純度の高い鋼を練り込んで作っている。だから、基本的には【折れない】はずだったんだが・・・、まあ、仕方がない。打ち込みが甘かったとしよう」
「それで、この鋼がどうかしたんですか?」
「その鋼を、新しい刀に使用するって言ってるんだよ」
「へえ・・・」
刀について無知な架陰は、その【岩】にしか見えない鋼を上下左右からくまなく眺めた。
「とてもこれが刀になるとは思えませんね」
「そうだろ。それを刀に変えるのが俺たち刀匠の仕事さ」
「じゃあ、早速造れるんじゃないですか? 僕達がUMAハントに行かなくても」
「ばーか」
何故か馬鹿にされた。
こちらは刀を頼んでいる方なので、あまり言うことが出来ないが、年下の鉄火斎に暴言を吐かれるのは癪に障る。
「鋼を使った刀じゃ、ただの【刀】になるに決まってるだろ?」
「はい」
「だから、そこに【素材】を練り込むんだよ」
「素材?」
「ああ。【無能力武器】を、【能力武器】に変えるための素材だ」
この話には、クロナが勢いよく食いついた。
鉄火斎が説明するよりも先に、架陰に解説をする。
「私の【黒鴉】の刃には、【八咫烏】っていうUMAの素材が練り込まれているのよ。だから、刃表面から黒羽が生えて、【明鳥黒破斬】を放つことができるの」
「ああ、じゃあ、カレンさんの・・・」
「うん。カレンさんの【翼々風魔扇】も、【ローペン】の素材が使われているわ。あと、響也さんの【Death Scythe】も、【機械生命体】の素材を使って作られているわね」
「へえ、あんまり意識したことがなかったけど、身近に、【能力武器】ってあるんですね」
「そうだろ」
ここで再び鉄火斎が口を開いた。
「だから、架陰。お前もそろそろ【能力武器】を使ってみようぜ」
「はい!! 使いたいです!!」
と身を乗り出したところで、架陰は首を傾げた。
「あ、でも、僕は能力者なんで・・・」
以前、アクアに言われたことがあった。
昔は、UMAハンターも、UMAと同じように、【特殊能力】を駆使してUMAと戦っていた。しかし、DVLウイルスが蔓延して、能力者が生まれなくなってからは、武器を持って戦うようになったと。
つまり、武器とは、【無能力者】のために造られたと言っても過言ではなかった。
「能力者の僕が、【能力武器】を持っても大丈夫なんですかね?」
「そこが肝だ」
架陰の疑問に、想定した答えを返す鉄火斎。
「基本的に、能力者にとって、【能力武器】は邪魔になりやすい。考えてみろ。もし、【攻撃系】の能力と、【攻撃系】の能力武器を持ったとしよう。器用なやつならそれを使いこなすかもしれないが、大抵のやつは、使いこなせない」
「・・・・・・」
すると、今まで黙っていたアクアが口を開いた。
「私も、【能力武器】は持ったことがあるわよ。だけど、本当に使いこなせないのよ。能力と能力武器の相性が悪かったのね。だから、あまり使ってないわ」
「アクアさんが、使いこなせなかったんですか?」
総司令官のアクアが武器を使いこなせない。という話は、架陰に現実味を持たせた。
鉄火斎が続ける。
「だから、基本的に、能力者の能力武器を作る時は、能力者の【能力】の欠点を補って造る場合が多い」
そう言われて、架陰は、夜行との戦いを思い出していた。
言霊で相手の行動を制限することができる【呪】の能力を持っていた夜行は、獄炎を放つことができる【地を這い仰ぎ見る黒狼の脊椎】を装備していた。
よく考えて見れば、あれは、【呪】の能力で動きを封じて、剣の【獄炎】の能力で相手を焼き尽くす。
という、バランスの取れた戦法を取っていたのでは無いか?
「じゃあ、僕の能力の欠点を補った武器か・・・」
その③に続く
その③に続く




