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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
321/530

【第95話】 勝負に負けて賭けに勝つ その①

盤上で覆る竜


互いの尾を喰い合う


神速の槍


恥なれど同胞は二歩となり


王手飛車取りの宣言を下す

1


スフィンクス・グリドールは鼻で笑っていた。


「君が僕よりも【格上】だと? 笑わせてくれるね!!」


「ホウ・・・」


「結果が全てだよ!! 市原架陰は、僕と戦って敗北した!! 分かるはずだよ? つまり、市原架陰に取り憑いてる【悪魔】よりも、僕に取り憑いてる【悪魔】の方が強かった。ということだ!!」


その瞬間、悪魔が鋭い爪を持つ手を伸ばしてきて、スフィンクス・グリドールの喉元を鷲掴みにした。


痛みは無い。


しかし、背筋が寒くなった。










「笑ワセルナ・・・」










「っ!!」


「【結果】ガ全テダト? ナラバ、ソノ結果ガ答エテイルジャナイカ・・・」


「・・・、どういうことだ?」


「何故ワシハ貴様ノ精神ノ中ニ入レタト思ウ? 普通ナラバ、貴様ノ中ノ悪魔ガ拒ムハズ・・・」


「っ!!」


その時、スフィンクス・グリドールは全てを理解した。


悪魔の鋭い爪が、スフィンクス・グリドールの喉を切り裂く。


たちまち、傷口から赤黒い血液が吹き出した。


「っ!!」


痛みは無い。


だが、不快感があった。


くらくらとよろめくスフィンクス・グリドール。


そうだ。


何故、市原架陰の悪魔は、スフィンクス・グリドールの精神の中に干渉できたのか。


スフィンクス・グリドールの精神の中には先客が居る。つまり、彼が飼っている【悪魔】だ。


「スフィンクス・グリドール・・・、貴様ハ、DVLウイルスニ感染シタノヲ利用シテ、【下級悪魔】ヲ従エタヨウダナ・・・、ダガ・・・、所詮【下級悪魔】・・・、ワシノヨウナ【上級悪魔】ノ敵デハナイ・・・」


「っ!!」


スフィンクス・グリドールの【千里眼】の能力が一時的に使用不可能になったのは・・・、この悪魔が、【押さえ込んでいた】から?


「馬鹿な!! だったら、どうして市原架陰は負けたんだ!! 弱かったぞ!! 彼は弱かった!! 君のような上級悪魔が取り憑いたというのに、簡単に倒すことが出来たぞ!! わかっているのか? 僕がその気になれば、彼の首くらい、落とすことは簡単なんだぞ!!」


「ウルサイ・・・」


その瞬間、悪魔はスフィンクス・グリドールの首を刎ねた。


暗闇に、スフィンクス・グリドールの生首が血を噴出させながら吹き飛ぶ。


「なっ?」


「安心シロ、死ナナイ・・・」


落ちてきたスフィンクス・グリドールの生首を、ジョセフが受け止める。


そして、スフィンクス・グリドールの両耳を挟み込むようにして持つと、顔を近づけた。









「スフィンクス・グリドール君。勘違いしているようだから言ってあげるよ。市原架陰の【魔影】の能力は、僕の【影】という能力と、悪魔の【悪魔】という能力が融合したもの。分かるかい? 攻撃特化の【悪魔】の能力に対して、僕の【影】の能力は、防御向き。つまり、悪魔は本来の力を発揮できていないということだ」










「っ!!」


スフィンクス・グリドールが目を見開いた瞬間、ジョセフは彼の生首を暗闇に向かって放り投げた。


「さあ、現実世界におかえり」


スフィンクス・グリドールは、闇へと放り出される。


「君の【千里眼】の能力は封じた。そして、君の肉体も弱体化させた。勝負に負けて賭けに勝った。と言うべきかな? どの道、君は、市原架陰には触れられない!!」


「くっそ!」


スフィンクス・グリドールは、現実世界へと戻って行った。






























「はっ!!」


目を覚ます。


どれだけ気を失っていただろうか。


少なくとも、目の前にしゃがみこんでいた市原架陰が身体を起こすくらいは意識を失っていた。


「はあ、はあ・・・」


市原架陰は肩で息をする。


手の中に、【魔影】を収束させてピンポン玉程のエネルギー弾を作り出した。


「はあ、はあ・・・」


そのエネルギー弾を、スフィンクス・グリドールの腹に押し当てた。










「吹き飛べ・・・!!」










ドンッ!!!











衝撃波が、スフィンクス・グリドールを吹き飛ばした。


為す術なく飛ばされたスフィンクス・グリドールは、木の幹に背中を強打する。


「がはっ!!」


大した痛みではない。


それなのに、身体が思うように動かなかった。


(悪魔の力か!!)


架陰に向かって手を伸ばす。


しかし、能力を発動することは出来なかった。


完全に、【千里眼】を封じられたのだ。


「くそ・・・」


スフィンクス・グリドールは奥歯を噛み締めた。


目眩に耐えながら立ち上がる。


そして、負け惜しみのようなことを言った。


「まあ、いいよ。どうせ、【今】じゃなかった。今、市原架陰を手に入れるつもりではなかった。計画が狂ったから・・・、【今】にしようとしただけさ・・・。だから、【結果】は変わらない。僕の【市原架陰を手に入れることはなく、去っていく】という結果だけは、変わらないんだよ・・・」


ボロボロになった白衣を脱ぎ捨てる。


「でも、次はこうはいかないよ・・・」


そう言い残すと、スフィンクス・グリドールは踵を返して、架陰の元から去っていった。











その②に続く

その②に続く

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