表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
UMAハンターKAIN  作者: バーニー
273/530

感染する時 その③

冷凍した眼球をグラスへ


首筋より血を抜き出して


揚げた脊椎を肴に

3


「前にも言ったように、人間が突然変異を起こして、特殊能力を得るようになった状態のことを、【能力者】と呼ぶよね?」


架陰の精神の中に住み着いている、ジョセフという男は、まるで赤子に説明するかのように言った。


「能力者の全盛期は、今から十年前まで。そして、この十年間、架陰・・・君のような例外を除いて能力者は誕生していない・・・」


(はい、わかっています)


架陰は、ジョセフの精神の中で会話をした。


(確か・・・、十年前に蔓延した【DVLウイルス】が、能力者になる可能性のある人間に感染して、能力の発現を封じたんですよね?)


「その通り」


ジョセフは、そう言って、隣に胡座をかいて座っている悪魔に視線を移した。


悪魔は、心底不機嫌そうに顔を顰めていた。


「全ては、この悪魔によるもの。悪魔が、DVLウイルスを世に放ったから・・・、人間は進化を辞め、能力者は生まれなくなった・・・」


(それと、魔影が勝手に出てくること、どう関係があるんですか?)


架陰は、身体の周りをふわふわと旋回する魔影を見た。


いつもなら、架陰の意思で変幻自在にその形を変えるというのに、今は、どれだけ指示を与えても、思うように動かない。


ジョセフは、「落ち着け」と言った。


「大丈夫・・・、これは、必然だ。異常事態では無い・・・」


(・・・、どういうことです?)


「いいかい? 架陰。君は、【能力者】だ。【魔影】の能力者だ」


(はい・・・)









架陰の魔影は、言わば借り物のようなものだ。


架陰の精神の中に住み着く、【ジョゼフ】という男の能力と、【悪魔】の能力が、混ざり合い出来上がった、借り物の【能力】。










「一応言っておくけど、君はDVLウイルスに感染している。じゃあ、なぜ能力が使えるかって言うと・・・、それは、僕達が【許可】をしているからなんだ・・・」


(許可?)


「ああ。一時的に、DVLウイルスによる【能力の封印】を解除して、僕と悪魔の能力が使えるようにしているのさ・・・」


そこで、ジョセフは本題に移った。


「今、遠く離れた場所で戦っている鈴白響也に命の危機が迫っている。いいか? 能力は、【命の危機に瀕した】時こそ、発揮しやすいものなんだ」


(でも・・・、響也さんは・・・)


「ああ。響也は、DVLウイルスに感染している。もちろん、雨宮クロナも、城之内カレンもだ」


そこまで言って、ジョセフは唇に人差し指を当てながら、ニコッと笑った。


「だが、ここで奇跡が起こった」


(奇跡?)


「起こるべきして起きた奇跡だね。身体に悪魔を宿す君と時間を共にすることで、彼女たちも、【魔影】・・・、つまり、【悪魔の加護】の影響を受けたんだ・・・」


ジョセフは、息を吸い込むと、はっきりと言い放った。









「たった今・・・、鈴白響也は、【能力者】として覚醒した」











西原は、振り返って、地に伏す響也を見た。


身体中を切り刻まれて、薄紅の着物は真紅に染まっている。


絶えることなく血液が流れ出し、そこに血溜まりができていた。


「・・・・・・、響也様・・・、失礼します」


西原とて鬼ではない。


タキシードの内ポケットから、スプレー式の小瓶を取り出す。


「回復薬【薔薇香水】・・・」


薔薇班にだけ支給される、外傷用の回復薬だ。これを、傷口に振りかければ、傷はたちどころに癒える。


響也が死ぬ前に、西原は響也の傷を回復させようとした。










一歩近づいた時、響也は、Death Scytheを強く握りしめた。


「っ!?」


西原は思わず身構えた。


大丈夫。西原は、響也を再起不能な程に切り刻んだ。


立ち上がることなど・・・。


「・・・っ!!」


次の瞬間、響也は、左手で地面を押して飛び上がると、身を翻し、西原に向かって切りかかってきた。










ギンッ!!!









何とか、杖に仕込まれた剣で防ぐ。


防いだ、はずだった。


「くっ!!」


右肩がカッと熱くなり、腕の力が抜ける。


生暖かい体液が、空へ向かって吹き出した。


「斬られた!?」


困惑する西原に対して、響也は、攻撃の手を緩めない。


弾かれた空中で身を捩り、もう一撃を西原に叩き込む。


すかさず、西原は、指を鳴らして結界を作り出した。


ガツンッ!!と、鈍い音がして、響也のDeath Scytheが弾かれる。


その時、西原は、響也の身に変化が起こっていることに気がついた。


地面を蹴り、後方に下がる響也。


その姿は、薄紅の着物では無い。むろん、血まみれとなった着物でもない。


久しぶりに、己の知識の範疇を超えたものを見た気がした。


「響也様・・・、そのお姿は・・・!?」


「あ?」


響也は不機嫌な声で顔をあげる。










響也の姿は、変貌していた。


まるで、架陰の【魔影】のような、漆黒の粒子が寄り集まって響也の身体を取り囲み、つま先から首周りを覆う、漆黒の黒布と化していた。


そして、響也の美しい顔。


その顔には、人骨・・・、つまり、骸骨の面が装着されていたのだ。











ジョセフが言った。


「そうだな・・・、鈴白響也の新たな能力・・・、【死神】・・・、とでも名付けようかな?」











第80話に続く

第80話に続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ