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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
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第9話 架陰とカレンの共闘 その①

我ハ一陣ノ神風ヲ以テ鵠ノ墓碑二銘ズル者


我ハ天明ヲ以テ空ノ王者ノ玉座二座ス者



1


鬼蛙が「うぉぉおおおおおおんっ!!!」と吠えた。音圧が架陰の頬を撫で、ピリピリとした刺激と変わる。


どういう訳か、その場の温度が3度下がったような気がした。


「来るか!?」


鬼蛙がその巨体を屈める。キリキリと足の筋肉に力を入れ、放出する。


「来た!」


強力な突進。


架陰は避けるために跳ぼうとした。


「動くなぁ!」


「!?」


カレンの声によりすんでのところで踏みとどまる。


止まったあと、後悔をした。このままだと、また、鬼蛙の突進をもろに喰らってしまうではないか。


「風神旋風!!」


カレンが翼々風魔扇を扇いだ。


架陰の横を一陣の風が通り過ぎる。


「えっ!?」


その瞬間、架陰の眼前にまで迫っていた鬼蛙の巨体が軌道を右に逸らし、架陰の着物の袖を掠めて後方に飛んでいった。


「軌道が変わった!?」


突然軌道を変えた鬼蛙・・・、当の本人も、何が起きたのか理解出来ていないらしく、「ぐふぅ!?」と困惑の声を漏らした。


だが、直ぐに体勢を整え、再び架陰目掛けて跳ぶ。


「風神旋風!!」


カレンが扇子を一振するだけで、また鬼蛙の直線的な攻撃が歪む。


「一体・・・、何をしたんだ!?」


「これが能力武器よぉ」


カレンが、木に激突して顔を幹にめり込ませている鬼蛙を見ながら言った。


「【翼々風魔扇】よぉ」


鬼蛙が木から距離をとる。縦長に凹んだ幹のあとが、熱したピン球のように元に戻った。


今度は、カレンに向かって突進をかます鬼蛙。


カレンはふわりと後方に跳躍した。そして、空中で翼々風魔扇を振る。


「この武器の能力はぁ・・・」


たちまち、横凪の風が発生し、鬼蛙の軌道をまたしても変える。


「【風】を自在に操れるのぉ!」


音もなく着地。


「そしてぇ!」


腰の位置を低くしたまま、翼々風魔扇を天に掲げる。すると、扇子の周囲を、風が取り囲んだ。


「風神乃鉄槌!」


圧縮された空気が扇子を旋回する。明らかに、密度の高い風だ。


一振。


扇子から、空気の塊が発射される。スピードこそ遅かったが、攻撃が当たらず頭に血が昇った鬼蛙に命中させるのは簡単だった。


空気が爆発する。


「ぎゃああああああ!!」


鬼蛙の横腹を中心として、大きな波紋が発生した。まるで空気の抜けたゴムボールのように変形した鬼蛙が吹き飛ぶ。


風の力で、鬼蛙を守っていた粘液が消し飛んだ。


「!!」


架陰はこの期を逃すまいとして、鬼蛙に向かって走り出した。


「粘液が消えた今なら!!」


あの皮膚にも、刃が通るかもしれない。


初めて鬼蛙に刃を入れた時、架陰が一番に感じたのは、皮膚の柔らかさ。二番目に、「粘液」だった。


粘液で刃が滑らなければ・・・。


(刃が通る!!)


架陰は右手に刀を握り、腕を引いた。


ただ振り下ろしていただけでは、あのやわらかさの前では、力が伝わらない場合がある。ならば、全力の一撃を、ただ、一点のみに集中させるだけだ。


そのためには。


「突く!!」


架陰はフェンシングのように、全力の突きを鬼蛙の腹に突き刺した。


体表に触れた鋒が、数センチ沈む。そして、肉を突き破って鬼蛙の体内に侵入した。


「ぐふううっ!!」


鬼蛙の口から小さな呻きが漏れる。


「入った!!」


初めての感触。


(刀さえ入ってしまえば、こっちのものだ!!)


架陰は刀を両手で握り直すと、突きの刀から一転、全力で斬りあげた。


「ぐぎゃああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」


鬼蛙の腹に、三日月型の傷が走る。


初めて見る、鬼蛙の血液。赤黒く、空中に飛散する。


「やった!!」


「ダメよォ! 浅いわァ!!」


カレンが直ぐに翼々風魔扇を扇ぎ、突風を発生させた。


強力な風が架陰を包み込み、吹き飛ばす。


「えっ!?」


(この風は!?)


架陰はその身体を吹き飛ばす風の力に、「覚え」があった。これはまるで・・・、ローペンの風。


架陰の脳裏を、ある予感が通り過ぎる。


(まさか、あの翼々風魔扇っていう武器は・・・!?)


その瞬間、鬼蛙の口から黄色の液体が吹き出した。


「っ・・・消化液!!」


鬼蛙の放った消化液は先程のように塊ではなく、霧のように空中に放散された。


あのまま攻撃することに欲を為して、追撃をしていたら消化液の餌食になっていただろう。


「ありがとうございます!」


架陰は体勢を整えて泥の上に着地した。


「いいのよぉ」


カレンはにこりと笑って首を振った。その笑顔を見て、架陰は「クロナさんとは違うなぁ」と思った。


先程のミス、クロナなら確実に「この馬鹿っ!」と言って、頭を叩いていたところだ。


「今のでわかったことがあるわぁ」


「何をです?」


「『粘液』さえなければ、攻撃はとおるってことよぉ」


カレンが翼々風魔扇をクルクルと回す。再び、扇に密度の高い風が集まり始めた。


架陰は一度鬼蛙から視線を外し、カレンの扇子を見た。


風を操り・・・、鳥の爪と、爬虫類質の皮で作られた、中国系の扇子・・・。


(やっぱり・・・)


架陰は鬼蛙との戦いとは少し違う、ある結論にたどり着いた。


自分が何度も喰らったから分かるのだ。


(あの武器・・・、ローペンの素材が使われているな)


その②に続く。

武器図鑑


【翼々風魔扇】

ローペンの素材を使って作られた扇子。風を自在に操る。ローペンの時には、射程距離は半径15メートル程であったが、30メートルにまで拡大することに成功した。

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