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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
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架陰奪還編開幕 その③

ご機嫌麗しゅう王様

3


白陀との戦いから、四週間。つまり、一ヶ月が経過した。


白陀によって痛めつけられた身体も、完全に回復。


桜班の四人は、仲良く退院となった。


「ああ、やっと動けるようになったわ」


病院の自動扉をくぐったクロナは、大きく背伸びをした。


ちらっと横を見れば、架陰もクロナと同じポーズをとっている。


「ねぇ、真似しないで」


「え?」


「無意識でやってたの?」


「なんとことです?」


二人のやり取りの横で、響也は退院祝いに貰ったエナジードリンクを一口飲んだ。


「美味い・・・」


医者に禁止されていたエナジードリンクだ。一ヶ月ぶりの飲用は、五臓六腑に染み渡った。


とにかく幸せそうに飲む響也を、カレンは微笑ましい目で見た。


「良かったわねぇ。響也」


「ああ、最高に幸せの瞬間だ。今まで飲んでいたエナドリは、355ミリだったが、あの医者が餞別にくれたこれは、500ミリ。あと30分はこの幸せな瞬間が続くぞ」


「良かったわねぇ・・・」


響也のカフェイン中毒には、カレンでさえドン引きをしていた。


今朝、アクアから入った連絡通りなら、もうすぐ、アクアの運転するキャンピングカーが迎えに来るはず。


四人は、特に言葉を交わすことはせず、駐車場に立って、その迎えを待った。


「おーい! かいーん!!」


病院の向かいの道路から、誰かが走って近づいてきた。


赤スーツ姿。遠目からでも、誰だか一瞬で理解出来た。


響也がニヤリと笑う。


「おい、架陰。彼氏が来たぞ」


「それやめてください・・・」


走ってきたのは、もちろん、椿班班長の【堂島鉄平】だ。


(そういえば、鉄平くんも蛇山に来てたけど、病室は一緒じゃなかったな・・・)


今の今まで、彼の存在を忘れていた。


鉄平は、走ってくるや否や、架陰に飛びついた。


「うぉぉぉ!! 架陰。退院出来て良かったぜぇ!!」


息が詰まる程抱きしめられた。


「オレが、どれだけ心配したかっ!!」


「あ、ありがとう・・・」


架陰はやんわりと鉄平を引き剥がした。


「ボクも心配したよ。鉄平くん、病室にいなかったから・・・」


「ああ、うちの総司令官が、別の病院に入れやがったんだよ・・・」


腹の立つことを思い出したのか、まゆに皺を寄せた。


架陰としては椿班の総司令官に感謝したい所。もし、鉄平と一緒の病室だったならば、とにかく煩かっただろう。


「なあなあ、退院祝いだ。オレと飯に行こうぜ!!」


「ごはん?」


架陰は目を輝かせた。病院食の味が薄すぎて、うんざりしていたところだった。あと、カレンが差し入れたメロンの食べ過ぎで、喉がカラカラだった。


響也が架陰の肩を叩く。


「行ってきてもいいぞ・・・」


「え、いいんですか?」


「ああ」


響也はニヤニヤしている。さしずめ、どこぞのBL小説でも思い浮かべているのだろう。


「楽しんでこい・・・」


「なんか、悪意を感じるんですが?」


「気のせいだ」


桜班班長の了承を得た鉄平は、早速架陰のTシャツの襟を掴んだ。


「そうと決まったら、行こう!!」


半ば強引に、架陰を連れて行ってしまった。


架陰が鉄平に連行されて三十秒後、アクアのキャンピングカーが駐車場に駐車した。


「今、架陰と鉄平くんとすれ違ったんだけど、どうしたの?」


「デートです」


「え、あの二人、そんな関係なの!?」












「鉄平くん、普段も戦闘服着てるの?」


架陰は素朴な疑問を鉄平にぶつけていた。


「いつも、赤スーツだけど」


「そうだな。いつUMAに遭遇するか分からねぇし」


そう言って鉄平は、腰に刀のように差した鉄棍を抜いた。


「こいつも、いつも持ち歩いているぜ」


「お前は?」と聞かれる。


もちろん、架陰も桜班の戦闘服と、名刀赫夜は持ち歩いている。だが、巾着袋とバットケースに入れ、一般市民からは見つからないようにしていた。


道を歩くだけで、鉄平の赤スーツは目立つ。


皆、奇妙なものを見るような目を二人に向けた。恥ずかしくないと言えば嘘になった。


「この先にラーメン屋があるんだぜ!」


鉄平は、簡素な住宅地の先を指さした。










その時だった。












架陰と鉄平の背後に、誰かが立った。







「やぁやぁ、お二人さん」







どこかで聞いたことがあるような、軽い声。


いや、そんなことを気にしている場合ではなかった。


UMAハンターである二人の背後が、一瞬で奪われた。


さらに言えば、まるで煙に巻かれたような殺気が、二人を射抜いたのだ。


「っ!!」


「こいつ!!」


振り返った瞬間、背後に立っていた人物。笹倉が振った刀が、白銀の軌道を描く。


「っ!」





ギンッ!!





笹倉の一撃を、鉄平の鉄棍が防いだ。


「受け止めた」と思ったのはつかの間、人間とは思えない力が刃に加わり、鉄平が吹き飛ぶ。


「くそっ!」


玉突き事故のように、架陰もろとも地面に叩きつけられた。


鉄平の下敷きになりながら首を擡げた架陰は、自分たちを襲った敵の姿を確認した。


「あれは!!」









記憶がある。


たしか、初めてUMAハンターになったあの日、校門の前に立っていた架陰に話しかけてきた男だ。










名を、【笹倉聖羅】といった。









笹倉は、白銀の刀を肩にかけた。


ニヤリと笑う。


「ご機嫌麗しゅう、王様・・・」











第38話に続く


鉄平「なんだ、こいつは!?」


架陰「刀を持ってる?」


鉄平「オレたちと同じUMAハンターって訳か!!」


架陰「でも、なんだろう、この異様な気配は・・・!?」


鉄平「なんにせよ、オレたちに刃を振るうやつは敵だ!! やるぜ!!」


架陰「う、うん・・・」


鉄平「次回、第38話【悪魔の堕慧児】!!」

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