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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
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第33話 恐れる者 その③

泡沫の時間に首を擡げ


鴉の卵を丸呑みにする



3


洞窟内の薄汚れた壁を、オレンジの光が照らし出す。


焚き木が、パキンと弾けた。


「と、言うわけよ・・・」


兄が死んだ理由を語り終えたクロナは、ふっと息を吐いた。


自分のことを語ったのは初めてだった。


自分が声を発する度に、過去の記憶を追体験し、あの時の自分が如何に無力で、如何に愚かだったのか、改めて実感した。


「お兄ちゃんの死体は戻ってこなかった。UMAに殺された人間は、【研究体】にされるの。そのUMAがどのような手口で獲物を仕留めるのか調べるために」


「・・・、そうですか・・・」


「でも、お兄ちゃんの刀は戻ってきたわ。アクアさんが言ってた。『あなたが受け継ぐべき』って」


だが、クロナは受け継ぐことを拒んだ。


「怖いのよ。UMAハンターになった私は、刀に適性があった。しかも、お兄ちゃんと同じ、居合に自信があるのよ・・・」


怖いのだ。


自分が年月を重ね、兄と同じ17歳に近づく度に、自分の容姿は兄に似て行った。


ウェーブのかかった黒い髪。


猫のような鋭い瞳。


そして、刀を握ふことも選んでしまった。


架陰が刀を装備した時、「近接が二人いると、陣形が崩れる」と言って銃に持ち替えたクロナだったが、それは建前だった。


これで、楽になれるのかもしれない。


そんなことを考えていた。


刀を握り、UMAを切り裂く度に、自分の姿は兄と重なる。自分の愚かな行動で死なせてしまった兄とだ。


まるで神が敷いたレールの上を歩いているようだった。


一時は、兄の姿を忘れることが出来た。だが、常に自分の弱さは付きまとっていた。


自分は、もっと強いはずだった。


なのに、こんな小さな鉄の弾を、後ろからちまちま撃つ卑怯な真似が、気に入らなかった。


強くなるためには、刀を握ることが近道なのに、それが出来なかった。


「ありがとうございます。クロナさん・・・」


架陰は優しく微笑むと、頭を下げた。


「辛い過去を、話してくれて・・・」


「別に、いいわよ・・・」


クロナは首を横に振った。


ほんの少しだけ、話して良かったと思った。


自分の過去をさらけ出すことなど、弱い者のやることだ。そう思っていたが、存外そうではないらしい。


クロナの胸に溜まった、どろりとしたものが、少しだけ取れた気がした。


ならば、残りのものはどう取り除くのか。


「夜が明けたら、白陀を探すわよ・・・」


兄の仇である、白陀を倒すことしかなかった。


架陰は力強く頷く。


「はい、行きましょう」


「あんた、本当に変わったわねー」


初めてであったときは、こんなにものを言う男ではなかった。


架陰が戦ってきたUMA。架陰を取り囲む環境。それが、彼を変えたのだ。


(こいつが変われたんだ。私だって、変わってやるわよ・・・)


クロナは、恐怖と勇気を握りしめるように拳を固めた。


「お、やっと終わったか?」


見張りと言って外に出ていた鉄平が帰ってきた。


「白陀は、この近くには居ないぜ。気配が消えた」


「あんた、てっきり聞いてるのかと思ったけど、本当に見張りに行ってたのね・・・」


クロナの皮肉に、鉄平は親指を立てた。


「当たり前だろ? オレは椿班班長、堂島鉄平だぜ!」


「それ何回も聞いたから」


「さあさあ、架陰。今日はもう寝よう。明日の白陀戦のためにも、体力の温存だ。あ、ねえさんは外の見張りを」


「あんた、何しれっと架陰と寝ようとしてんの!?」


「え、ねぇさんは架陰と寝たいのか?」


「なわけないでしょーが!!」


結局、三人が三時間ごとに交代で見張りをすることになった。


架陰と鉄平が寄り添って寝ている間、クロナが考えるのは、明日の白陀戦のことだった。


(お兄ちゃんを殺した白陀を、どうやって攻略するか・・・)


10年前とはいえ、白陀の攻撃手段はある程度理解している。


だが、架陰、鉄平、クロナの三人で戦うのはやはり戦力不足。


響也とカレンの力は必須だった。


「あの二人、今頃何しているんだろ・・・」


あの二人に限って死んだことはないだろうが、言い知れぬ不安が胸にぶら下がっていた。


「とにかく、全ては、明日ね・・・」


明日、自分は過去の因縁と戦う。


白陀の呪縛を、斬り落としに向かうのだ。














第34話に続く




黒真「アクアさんは、どうしてUMAハンターになったんですか?」


アクア「ふふふ、好きな人がいたのよ・・・」


黒真「ああ、風鬼さん・・・」


アクア「ああ、風鬼様・・・、幼い私を助けてくれた王子様よ・・・」


黒真「どうして風鬼さんのことになると性格変わるんですか?」


アクア「そりゃ、恋の魔法ってやつじゃない?」


黒真「そんな姿、後輩に見られたらまずいでしょうねー」


アクア「大丈夫よ。後輩なんていやしないし」


黒真「わからないですよ。将来、総司令官とかになっているかも・・・」


アクア「あははは、無い無い。私そんなに司令官向きの性格じゃないから!」


黒真「でしょうねー」


アクア「次回、第34話【決戦! 白陀!!】」


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