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エンジニアによる異世界革命はじめました〜魔改造済みにつき魔王はご主人様に逆らえません〜  作者: マシナマナブ
第二章 立国編

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子人の移住と新たな脅威

「乗り物の魔道具の設計はバッチリできたんだけどさ、いざテーマパークの建設ってなると、やっぱり人手がたくさん必要でしょ? だからボク、故郷の子人の街、マウステルダムに手紙を書いたんだ! ここの食べ物がすっごく美味しいとか、温泉が極上だとか、魔王はいるけど安心安全ってこともちゃんと書いたよ!」


 マッキィはどうやら、アースベルの魅力をこれでもかと詰め込んだ手紙を、自作のイラスト付きで故郷に送ったらしい。


「そしたらね、みんなから『行きたい! 手伝いたい! ついでに住みたい!』って返事がたくさん来たんだ!」


 そう言いながら、キラキラした目で俺を見つめる。


「ねぇリバティ、みんなここに引っ越してきてもいいかな?」


 ……そんなに期待に満ちた目で見られたら、ダメとは言いにくい。


「手伝ってくれるのは助かるけど……何人くらい来る予定なんだ?」

「えっと……返事があったのは、220人!」

「にひゃ……」


 その数に俺は思わず言葉を失った。


「子人にとってはそんなにすごい数じゃないんだよ。子人って、子だくさんだから、一家族で10人とか普通だし、親戚が集まるだけで100人を超えちゃったりもするんだ。にぎやかだけど、ボクたちは小柄だからあまり邪魔にならないし、食べる量も少なくてエコだし、手先はみんな器用だし、家も自分たちで作れるし、この国のためにちゃんと手伝いもできるし、ぜんぜん迷惑かけないんだよ!」


 無邪気な笑顔でそこまで断言されたら、もう頷くしかない。


「……わかった。子人のみんなを歓迎しよう。アースベルは、誰であっても、種族に関係なく暮らせる国でありたいからな」


 いろんな種族が分け隔てなく共に暮らし、助け合える場所こそが、この国の目指す姿だ。最近のミーアのように、種族の違いで悩むことのないように。


「やったあ! ね、ボク、リバティなら絶対オーケーしてくれると思ってた!」


 もう、返事を聞く前から確信していたような満面の笑みだ。こっちはすっかり見透かされてる気がするが……マッキィのお願いは、妙に断りづらい。

 こうして、子人たちの移住が決まり、アースベルの人口は一気に跳ね上がることとなった。建国時の人口は約三百。以降のサリオン帝国や近隣の国々からの移住者は、あわせて百人ほど。それに加え、マウステルダムからやってくる子人二百二十人が加わることで、アースベルの総人口は六百人を突破した。建国時と比べて、早くも倍以上の急成長だ。もちろん国民の数が増えるのは喜ばしいことだが……今後、子人たちがネズミ算式に増えていって、ネズミの国になってしまわないだろうか……という懸念もなくはない。ま、細かいことはいっか。


 ◇ ◇ ◇


 その翌日、ハンツが眉間にシワを寄せ、倉庫の奥を覗き込んでいた。


「おかしい……あれ、ほんとにおかしいぞ……」

「どうしたんだ?」


 と俺が声をかけると、彼は振り返って答えた。


「リバティの旦那、非常用に備えておいた武器の中に、確かに剣を入れておいたはずなんだ。2本あったはず。それが……見当たらないんだよな」

「剣が、なくなってる?」

「ええ。不思議なことに、槍や弓、ハンマーなんかは全部そのままで、剣だけがなくなってるみてえなんだ」


 確かに、妙な話だ。何者かが盗みに入ったのだとすれば、剣だけを選んで持ち去るのは不自然だ。金目当てなら剣以外の武器、あるいは倉庫の奥にあるもっと価値のある物に手をつけるはず。だが、ほかの物には一切触れられていない。となると、犯人はよほどの剣マニアなのだろうか。


「そういや最近、不審な大柄の人影を見たって噂があったな。フードを被ってて顔は見えなかったらしいが、腰に異様に立派な剣を差してたって話だぜ」


 俺もその噂を耳にしていた。正体は分からないが、かなり体格のいい人物らしい。両足で歩いていたというから、先の巳人ではなさそうだ。また何やら嫌な予感がするな。


 そして、その予感は翌日にあっけなく現実となった。

 ダノンさんの孫、ナノンが、何者かに襲われたのだ。ダノン家に代々伝わるという古い剣が盗まれ、ナノンは家の中で倒れているところを発見された。外傷はないが、意識が戻らない。剣が盗まれていることから、犯人は非常用武器の剣を盗んだ者と同一の可能性が高そうだ。

 ナノンはアースベル唯一のケーキ職人であり、人気者。これは国の一大事とあって、皆が駆けつけた。


「おらの大事な孫娘を、こんな目に……! 許せんのだの……聖女様、ナノンは、目を覚ますのか?」


 ダノンさんの怒りに震える声に、レイアは苦しげに答えた。


「これは……正直、見たことのない状態で……なんとも言えないです。ごめんなさい」


 レイアの声はいつになく歯切れが悪かった。彼女もまだ本調子ではなさそうだ。


「不思議なのじゃ……魔力が、まるで感じられん。まるで、魔力の器そのものを失ったような……」


 エルマも眉をひそめている。その横で、リリィがナノンを一瞥すると、ぽつりと呟いた。


「……魂、抜けてるにゃん」

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