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エンジニアによる異世界革命はじめました〜魔改造済みにつき魔王はご主人様に逆らえません〜  作者: マシナマナブ
第二章 立国編

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大臣の任命とグラーズアカデミー

 アースベルが正式に設立されたことで、次に考えなければならないのは大臣の任命だ。国の人口はまだ少ないし、元首の俺が一人でまとめればいいんじゃないか、という意見もある。だが、できるだけ俺に仕事が来ないように、早い段階で職務を分担しておきたいのだ。俺が元首の職務に追われて、魔道具開発に時間を割けなくなる、という事態は極力避けたい。

 そこでまず、国務大臣を俺、エルマ、ダノン、サードンの四人で分担することに決めた。それぞれの得意分野を活かし、アースベルを効率よく運営するためだ。

 まず、法務大臣と文部大臣の職務は、エルマにお願いすることにした。賢者であるエルマは、法律や教育に関する知識が豊富だし、適任だと考えたからだ。


「師匠をこき使うとは、けしからん奴じゃ」


 エルマにその話をすると、少し眉をひそめながら毒付いたが、その表情は満更でもなさそうに思えた。


「いやいや、師匠しか頼める人がいないんだ。国の法律や教育方針を決める重要な役割だよ。他に適任者がいると思う?」


 俺がそう言うと、エルマは納得したようで、それ以上は何も言わなかった。自分の知識を披露することは、エルマにとっては趣味みたいなものだ。活躍の機会を与えてあげるのはむしろ師匠への恩返しだと思っている。

 経済産業大臣と防衛大臣の職務は、俺自身が兼任することにした。理由はシンプルだ。経済や産業の発展、そして軍事には、俺の魔道具開発がそのまま直結している。それに、俺が自由に魔道具を開発できる環境を確保するためにも、自分で権限を持っていた方が都合がいいのだ。また、防衛に関しては、ミーアが実質自警団をほぼまとめてくれているので問題が起きない限り俺の時間は取られない。ミーアがもう少し成長したら、そのまま防衛大臣に任命してしまおう。

 残りの職務については、すべてダノンさんとサードンさんにお願いすることにした。これまでイザベル村とラドン村の運営を支えてきたのはこの二人だし、実務上の問題はないだろう。ただし、財務大臣や外務大臣といった職務については、将来的に適任者を見つける必要があるかもしれない。経済が発展し、国民の数が増えれば、扱うお金の額や他国との貿易の規模も大きくなり、専門知識を持つ人材が必要になってくるだろう。


「優秀な人材がもっと欲しいところだな……」


 思わず口に出してつぶやいたその時だった。


「優秀な魔王ならいるにゃんよ」


 その言葉に振り向くと、リリィが自信満々に胸を張っていた。


「外交なら得意にゃん。要するに他国に対して『絶対的な恐怖』を与え続ければいいにゃん。気にくわない国は丸ごと『氷漬け』にしてしまえば、見せしめにもなるにゃん」


 ……これはちょっと外務大臣には任命できそうもない。やっぱり、優秀な人材を育てるには正しい教育が重要だ。国の未来を担える人材を、一からしっかりと育てていく必要がある。

 そこで、俺は文部大臣に任命したエルマに、村の手作りの学校の校長も兼任してもらうことにした。この国で唯一の学校であり、教育の中心となる場所だ。文部大臣がそのまま校長を兼任するのが最も効率が良いだろう。エルマにその話をすると、彼女は少し懐かしそうな表情を浮かべた。


「学校の長を務めるのは200年ぶりくらいかのう。懐かしいのじゃ」


 さらりと口にするその壮大な時の流れに、思わず突っ込むべきか迷ってしまう。それはさておき、校長任命を機会に、せっかくなのでエルマと相談して学校に名前をつけることにした。その名は『グラーズアカデミー』。この手作りの学校は、グラーズ教会という古い教会を改装して作ったもので、そこから取った名前だ。『グラーズ』には『喜び』という意味があるらしい。元々この教会は、管理者がいなくなって久しく、かなり寂れていたとは言え、歴史ある教会を元にした学校という成り立ちには、どこか格式高さも感じさせる。その設定を表に出した方がよりエレガントであるというエルマの提案を採用したのだ。ちなみに、元の教会の祭壇はそのまま校内に残してある。

 校長となったエルマは、以前と同じように自ら教壇に立って授業もしてくれる。語学、歴史、魔法学など、その講義内容は秀逸だ。さすが賢者だけあって、豊富な知識だけでなく、教え方も上手い。ただし、エルマの影響を受けてか、語尾に『じゃ』をつける子供たちが何人か出てきているのは、やや気になるところだ。

 俺も負けてはいられない。時間のある時にはアースベルの元首自らによる講義も行なっている。自分で言うのもなんだが、俺の数学や科学の講義も、かなりレベルが高いと思う。もっとも、説明が少し下手なのが難点だが、それでも魔法を使わずに自然現象を利用した実験をすると、みんな目を輝かせて楽しそうに見てくれる。

 こうして、グラーズアカデミーは、まだまだ小さな学校ではあるが、俺の元の世界で言う小学校から大学に相当する知識まで、幅広くカバーしている。授業内容も、大国の名門学校にも劣らない自信がある。いずれ、このグラーズアカデミーが、アースベル内だけでなく、他国からも優秀な生徒が留学にやってくるような学校になったらいいなと思っている。

国民の数300ですから、元首と言ってもまだ生徒会長みたいなものです……

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