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エンジニアによる異世界革命はじめました〜魔改造済みにつき魔王はご主人様に逆らえません〜  作者: マシナマナブ
第二章 立国編

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魔王になる条件と国家の設立

「特別サービスで、魔王クラスになる条件を教えてやるにゃん」


 俺はリリィの説明に耳を傾けた。


 一つ目 千人以上の配下がいること。

 二つ目 ヒトの能力の上限値まで上がっていること。

 三つ目 魔王を倒すか、従えていること。


「千人以上の配下が必要なのか……」


 俺はその条件を聞き、思わずため息をついた。リリィは呆れたように鼻を鳴らす。


「そりゃそうにゃん。魔王ってのは王にゃんよ。配下がいなければ王とは呼べないにゃん」

「まあ、そうだけど……」

「でも、この一つ目の条件が、実は三つの中で一番簡単にゃん」


 リリィは軽く肩をすくめて続ける。


「二つ目の条件は、一生を修行に費やしても、ヒトの上限まで能力を上げるのは至難の業にゃん。三つ目の条件なんて、言うまでもなく極めて難しいにゃんね」


 そしてリリィは、何か納得がいかないような顔をして俺を見た。


「だけど不思議なことに、ご主人様は、難易度の高いはずの二つ目と三つ目は、不本意ながらクリアしているにゃん。やっぱり変態にゃん」


 変態は関係ないと思うが、俺はどちらの条件も魔道具のおかげですでに達成できてしまっている。しかし、普通のヒトにとっては確かに、千人以上の配下を集めるというのは、他の条件と比べれば現実的なのかもしれない。例えば、ハルトはサリオン商会のトップであり、部下をたくさん抱えているから、おそらくこの条件を満たしているだろう。さて、千人の配下をどうやって集めたらよいだろうか。俺が新しく作る国の代表になったとして、その国民は配下としてカウントされるのだろうか? ふと疑問が湧き、リリィに尋ねてみた。


「国民に命令して、それに従うなら配下と言えるにゃん。でも、命令しても言うことを聞かないのなら、配下ではないにゃん」

「つまり、お飾りの代表ではダメってことか」


 リリィは当然のように頷いた。実質的な支配力が求められるわけだ。とは言え、今のイザベル村やラドン村の人々なら、俺のお願いは聞いてくれるだろう。だが、人口がまだ少ない。サリオン帝国からの移住者が徐々に増えつつはあるものの、イザベル村の人口は200人ほど、ラドン村は100人程度で、合わせても300人くらいだ。千人には700人ほど足りない。もちろん、将来的には到達できる可能性はあるが、それを待っているのもリスクが高い。他国の脅威を考えれば、早急な対策が必要だ。

 そこで、俺は考え直した。別に俺が魔王になるまで国の設立を待つ必要はないのではないか。すでに俺は、魔王リリィを従えている。その事実だけでも十分な抑止力になるだろう。


 俺は、早速ダノンさんとサードンさんを集めて、国を作る計画について話をした。リリィを従えた俺を元首として、イザベル村とラドン村、そしてその間の荒野を一つの国として宣言する、という提案だ。二人とも真剣に話を聞き、結果、快諾してくれた。


「リバティさんが元首になるなら、村のみんなも安心できるだの」

「そうだな。うちらも協力するさー」


 二人の了承を得たことで、次は住民投票に進むことになった。イザベル村とラドン村の全住民に対し、以下の二点について賛否を問うためだ。


1.二つの村と間の荒野を含む地域を一つの国として宣言すること

2.その元首をリバティが務めること


 住民たちにもそれぞれの意見があるだろう。これは村の将来を左右する重要な判断だ。

 住民投票の結果、投票数は297。

 全住民が投票したわけではないが、ほとんどが参加してくれた。結果は以下の通りだった。


 賛成:272票

 反対:1票

 無効票:24票


 賛成が過半数を超え、国家設立が正式に可決された。その結果に俺は胸を撫で下ろすとともに、みんなが俺を信じてくれていることを喜んだ。ちなみに無効票があるのは、正しく字が書けなかったり、住民投票の趣旨が理解できていない住民がいたためで、これは仕方がない。反対数はわずか一票のみ。誰かは分からないが、これももしかしたら書き間違いという可能性もある。

 俺は早速周囲の国々へ文を送り、国家設立を宣言した。俺が決めたこの国の名前は『アースベル』。俺の故郷である地球、ジ・アースと、イザベルを組み合わせた名前だ。今は住民数わずか300人程度の弱小国だが、あの悪名高い恐怖の魔王、ヘルヴァーナ・リリィを従えていることを書き添えた。

 以前であれば、アースベルの国家設立に最も障害となりそうなのは、隣国の大国、サリオン帝国だった。だが、現皇帝のオージンさんからはすぐに『わかったよ。頑張ってね』という趣旨の手紙が届き、逆に大国のお墨付きを得る形になった。お陰で異を唱える国もなく、この国家設立の宣言は広く受け入れられ、周囲の国々は、アースベルを独立した国として、正式な付き合いを始めてくれるようになった。

 しかし、その一方で、問題も発生した。魔王リリィを従えているという威圧感が効きすぎたのだ。結果として、観光客や移住者の減少という事態を招くことになった。まあ、抵抗があるのも無理はない。それだけ魔王の存在が恐れらているのだろう。これからは、リリィの存在をどう伝えていくかが、新たな課題になりそうだ。抑止力だけでなく、アースベルが安全な場所だということも伝えていかなければならない。

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