表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エンジニアによる異世界革命はじめました〜魔改造済みにつき魔王はご主人様に逆らえません〜  作者: マシナマナブ
第二章 立国編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/188

目指せ夢の国

「な、なにこれ! 支配の首輪に似てるけど、何百倍にも強度と邪悪さが増している! 一体どうやったらこんなことができるの? それに、この見たこともない金属は何なの!?」


 マッキィは興奮のあまり耳をぴょこぴょこと動かしながら、リリィの首輪を食い入るように見つめている。その手元では、メモ帳に走るペンが止まらない。


「す、すごいっ! すごすぎる! これを作ったのって、もしかして……神? あなた、神ですか!?」


 マッキィの瞳はキラキラと輝き、まるで崇拝するかのようにこちらを見上げている。俺は苦笑しつつ、手を振って否定した。


「いやいや、これは君が作った支配の首輪を元に、ちょっと魔改造しただけなんだ。強度を上げるために、異世界の金属『タングステン』を使っているんだよ」


「タングステン!? そんな金属、初めて聞いたよ! それって、どんな性質があるの?」


 マッキィは顔をぐっと近づけ、期待に満ちた目を向けている。その勢いに少し気圧されながらも、俺は答えた。


「タングステンは、異世界では最も耐久性が高くて重い金属なんだ。高温にも強くて、溶かそうと思ったら3400度以上の溶鉱炉に首を突っ込むしかない。だから、たとえ魔王でも簡単には外せないってわけだ」


 俺がリリィの首輪を指差して、細かく説明していると、リリィがむっとして抗議してきた。


「ほんとうにいまいましい首輪にゃん。それから、そんなにジロジロ見ないでほしいにゃん! 恐怖の魔王に『にゃん』とか言わせて喜んでいるご主人様の変態さがうつるにゃん!」

「いや、変態はうつらないって……いや違う、そもそも俺は変態じゃない! ただの魔道具師だ!」


 リリィの反論に俺はやや怯んだが、マッキィのテンションは最高潮だ。


「ただの魔道具師って、これで? この技術力、どこの工房でも真似できないよ! まさに伝説の秘宝級だよ!」

「まあまあ、でもこれは君の元の魔道具があってこそ完成したものだし。元々の構造がしっかりしてたから、強化もしやすかったんだよ」

「いやぁ、ボクの魔道具が凄いのはその通りなんだけど……キミ、やっぱり凄すぎるね!」


 マッキィは感心したようにうなずきながら、リリィの首輪を観察し続けている。俺たちは技術談義に夢中になり、互いの知識を交換し合っていると、リリィが退屈そうにあくびをし、


「あーあ、世界なんて早く滅んでしまえばいいにゃん」


 と呟いた。


 俺は他の魔道具も次々と召喚し、マッキィに見せた。中でもマッキィが特に興味を示したのは、魔道具11番、魔法言語ペンダントだった。異世界の精密加工機を使って作ったこの魔道具には、子人のマッキィの手でも到底刻めないような、極めて細かい魔法陣が彫り込まれている。


「いやぁ、これ、すごくいいね! こんなに細かい魔法陣、どうやって彫ったの? ボクも軍事用途の魔道具ばかりじゃなくて、こういう面白い魔道具を作りたいなあ!」

「もう戦争も終わったし、軍事用の魔道具を作らなくてもいいんじゃないか? なあ、リリィ、そうだろ?」


 リリィはやる気のない声で返事をした。


「はいはい、いいにゃん。っていうか、もう全部どうでもいいにゃん」


 投げやりではあるが、どうやら異論はないらしい。俺はマッキィに話を戻した。


「それにしても、マッキィはどんな魔道具を作りたいんだ?」

「そうだね……ボクの夢は、みんなが楽しめる魔道具を作ることかな。例えば、夢のような体験が味わえる乗り物とか!」


 マッキィは瞳を輝かせて無邪気に笑う。まるで遊園地のアトラクションみたいな発想だ。


「ボクの夢はね、夢の国を作ることなんだよ!」


 マッキィの言葉には、まっすぐな情熱が込められていた。それは彼女が本当に目指している夢なのだろう。


「夢の国か……いいね。それは邪悪な支配の首輪とは正反対の発想だな。でも、多くの人を楽しませるっていうのは素晴らしいことだ。ぜひ一緒に開発しよう!」


 俺が目指すのは『自由の国』だ。そこに夢があるのなら、さらに望ましい。


「本当? それは嬉しいな! でも、人が乗れるような乗り物となると、開発費が結構かかるよね……」


 マッキィが少し心配そうに眉をひそめる。俺は笑って肩を叩いた。


「それなら、イザベル村から支援するよ。村の発展にもなるし、面白い場所ができたら、きっとみんな喜ぶだろうしな」

「えっ、ほんとに!? ありがとう、リバティ!」


 マッキィは嬉しそうに顔を輝かせた。その無邪気な笑顔と情熱に触発され、俺もつい意気込んでしまう。

 そうして、話はとんとん拍子に進み、マッキィによるアトラクション開発が本格的にスタートした。どうせやるなら、大きなテーマパークにしてしまおうという話になり、イザベル村とラドン村の間に広がる広大な荒野を利用して、『夢の国』のようなテーマパークを作る計画を立てた。

 村人たちに計画を話したところ、人々はマッキィの情熱に心を打たれ、「新しい観光地として面白そうだ」と賛同してくれた。資材や作業人員の確保もスムーズに進み、俺たちはテーマパーク建設に向けて動き始めた。マッキィはイザベル村の工房にこもり、遊びの魔道具をいくつも作り始めた。小さな身体で巨大な図面を広げ、一心不乱に設計を練っている姿は、まさに職人そのものだ。リリィはそんな彼女の様子を、


「ふん、まったく馬鹿げた夢にゃん」


 と呟きながらも、工房の隅から興味深そうに眺めていた。

『面白いかも!』『続きを読んでやってもいい!』と思った方は、ブックマーク登録や↓の『いいね』と『★★★★★』を入れていただけると、続きの執筆の励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ