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魔道具エンジニアによる異世界革命〜魔改造済みにつき魔王はご主人様に逆らえません〜  作者: マシナマナブ
第三章 強国編

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リリィ対ウル

 闇の魔力に包まれた魔王リリィと、人々の応援の光に包まれた配信者ウル。闇と光、相反する二つの存在が、魔力の嵐の中心で向かい合う。

 次の瞬間――魔力が弾けた。


「マジックアロー・マルチキャスト!」


 それは矢というより光の雨――流星群のように放たれた魔法の矢がリリィに迫る。


「……にゃッ!?」


 一発のみ見れば、単純に魔力を打ち出しただけの初歩的な念動魔法。だが数が多い。奇しくも俺の小火炎(リトルフレイム)の繰り返しと似ているぞ。


「所詮、低威力の無詠唱魔法にゃん。しかし、数が……ちょっと多すぎるにゃん!?」


 リリィが反応し空へ舞い上がる。魔法の矢の雨がステージに降り注ぎ、無数の爆発を巻き起こす。


 ーーリリィが空飛んだぞ!?

 ーー視聴者十万人分の攻撃か。ド派手過ぎるw


 矢の雨は上空のリリィにも向けられる。リリィは魔法障壁を展開して防ぐが、おびただしい数の攻撃に、障壁が次々と破られていく。

 その隙間を縫うように、ウルも上昇。宙に浮きながら、くるくる回ってカメラ目線を決めた。


「はいっ、ただいま魔王とのバトル中! みんな、応援ありがとっ⭐︎」


 ーーウル様が、飛んでる!

 ーーアローヤバすぎwww

 ーーCM入れるな! もっと見せろ!


「みんながくれた魔力を放出すれは、空も飛べるんだよ! でも……まだまだ足りないっす。もっと、あちしに力をちょーだい!」


 ーーもっと応援するぞ!

 ーー視聴者数……11万!?

 ーーウル様のテンションに追いつけないwww


 リリィの目が細まる。冥府の魔王としての誇りが、胸を熱くする。


「……なら、こちらも応えるにゃん!」


 両手を前に掲げ、詠唱が始まる。声のトーンが一段低くなる。


「至れ、此方の大地の奥深く、冥界の深淵、顕現せしは全てを焼き尽くす滅びの炎!」


地獄の業火(ヘルフレイム)!』


 ーー出た、大火炎(グランドフレイム)よりさらに上位の魔法!


 巨大な滅びの炎がウルに迫る。しかしーー


「マジックバリアー!」


 こちらもごく単純な無詠唱の防御魔法。しかしその効果は十万倍。魔力の障壁が、地獄の業火を押しとどめる。


「所詮レベル5で使えるのは基礎的な無詠唱魔法魔法のみにゃんね。とは言え、無詠唱の防御魔法に防がれたというのは癪だにゃん。これが『魔』の試合でなければ、魔法使い風情、直接攻撃で撃破してくれるところにゃんけど……」


 その呟きとともに、リリィが瞬間移動し、空中で両手を広げた。


「だったら、反応できない速度で、風穴を開けてやるにゃん!」


 リリィは詠唱を開始する。


「冥府深淵にての刻まれし呪詛よ、黒針となりて飛翔せよ。我が敵の骨を砕き、魂まで貫け――」


邪針(イビルニードル)!』


 顕現した大きな魔法陣から、数千本の黒い針が、弾丸のような速度で放たれた。


「一本一本が、鉄板も貫通する威力にゃん。穴だらけになればいいにゃん!」


 リリィはそのまま超高速で縦横無尽に飛翔し、ありとあらゆる角度から針の攻撃を仕掛ける。

 俺でも遅延邪眼を発動しない限り追えない速度だ。視聴者たちは、何が起きているのかさえ分からないだろう。


 ーー魔王がウル様の周りを飛び回ってる?

 ーーおそろしく速い針の乱射。オレじゃなきゃ見逃しちゃうね。

 ーーあんたも誰だよw


 意外だったのは視聴者の中には見えている人物もいるということだ。これには違和感を覚える。


「効かないーっす! 全方位攻撃なら全方位防御だよ」


 ウルは体を覆う光を一段と強くし、邪針を弾き帰す。


「うふふ、じゃあ、あちしもそろそろ行くっすよ〜」


『マジックボール・マルチキャスト!』


 高速で飛び交うリリィに対し、ウルは全方位にばら撒く魔力弾――こちらも極めて基本的な念動魔法だが、発射された数が尋常じゃない。


「もはや弾幕にゃん! ちょっと動くだけで大量にぶつかりそうにゃん」


 互いの魔法が注ぎ合い、ぶつかり合う。

 戦場は光と闇の粒子に包まれ、まるで魔法の花火大会のような壮観となった。


 ーーカメラワーク神すぎるw

 ーーこれはギンヌンガ史上最高の魔法戦!

 ーー視聴者、12万突破……!


 だが――そのバランスが、徐々に崩れ始める。


「くっ……っにゃん……!」


 リリィが呻く。飛翔中の足先が、魔力弾の一発にかすめられる。

 思わぬ衝撃に体勢を崩すと、さらに複数の魔法弾に被弾した。

 回転しながら何とか着地するが、うっすらと焦げた煙が上がっている。


「応援の魔力が……さらに増えてるにゃん……」


 先ほどまでとは空気が、変わっていた。魔力の密度が明らかに違う。


「私は、冥府の女王にゃん。百年にわたって恐れられた存在だにゃん! それが、押されてるにゃん!?」


 リリィの口調が荒くなる。その姿には、威厳よりも焦燥が滲んでいた。

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