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魔道具エンジニアによる異世界革命〜魔改造済みにつき魔王はご主人様に逆らえません〜  作者: マシナマナブ
第三章 強国編

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酉の王と子の王

 ついに、偉大なる大会(ギンヌンガ・カップ)開催の当日。


 その日は招待した各国の国賓たちがアースベルを訪れた。ヴァナヘイム、ニザヴェリル両国の国王の姿もある。俺の住処である工房に国王を迎えるわけにもいかず、やむなくデズミーランドの魔王城で迎えることにした。

 そこは、ファンシーな空間の中央にそびえるロマンの象徴。

 ……正直、不安だった。果たしてこんなテーマパーク内で、本物の国王たちを迎えていいのだろうか……。


「驚きましたな、アースベル元首、リバティ殿。

このように心踊る空間、そして荘厳な魔王城……これは、まさに幻想と威厳の融合ですな」


 はしゃぎ声で感嘆の言葉を述べたのは、ヴァナヘイムの王、ヴァン・バード。俺の懸念は杞憂だったようだ。


 酉人の彼は、白銀の髪を背に流し、その背からは白く美しい翼が伸びている。薄氷のような光を湛えたローブを纏うその姿は、一見すると風格と威厳に満ちている。だが、その表情には王らしからぬ無邪気さが滲んでいた。


「いやあ……他国の王様を、テーマパーク内で迎えていいのかと、内心ビビってましたよ」


「とんでもない。このような『テーマパーク』という空間は初めて体験いたしました。夢のある場所で、最高のもてなしではありませんか。このアースベル、他にも美しいビーチに、温泉、極上の料理まで――来てから驚かされてばかりですぞ!」


 ヴァン王は童心に帰ったように目を輝かせている。だがその直後、ヴァン王は急に思い出したかのように姿勢を改めた。


「それにしても……先日は、我が国の神――ニョルズが、貴殿に多大なるご迷惑をおかけしたとか。あらためて、心よりお詫び申し上げる」


 そして深々と頭を下げる。王自らの謝罪には、さすがに俺も慌てた。


「いやいや、頭を上げてください。こちらこそ、神様を撃退しちゃって、すみません……っていうのも変ですが」


「なんの、それは構いません。あの方は確かに偉大な力を持っておりましたが、なにぶん気まぐれで怠惰、自身の都合で『神の軍勢』を動かしては、王家も振り回される始末でしてな。……正直、我々も手を焼いておりました。むしろ感謝しているくらいです」


 あの怠惰な蛇神は、ヴァナヘイム王とはあまり良好な関係ではなかったようだ。お陰で国際問題にならず、丸く収まって本当に良かった。

 ヴァン王の表情は笑顔に変わり、手を差し出す。


「これからは、アースベルとヴァナヘイム、正式な国交を築き、友好を深めていければと思っています」


「こちらこそ、ぜひ!」


 俺もその手をしっかりと握り返した。


「――ですが、その前に」


 ヴァン王の口元に微笑が浮かぶ。


「まずはこの、偉大なる大会(ギンヌンガ・カップ)……心ゆくまで、堪能させていただきますからなっ!」


 そう。この大会に敗れれば、アースベルという国が消えてしまうかもしれないのだ。


 ヴァン王が満足げに去っていった後、次に姿を現したのは――


「おおお! 元首殿、元首殿、ようやくお会いできましたぞ!」


 小柄な影がちょこちょこと玉座の間を駆けてくる。

 ずんぐりとした体型、艶のある褐色の髭、赤い鼻をひくつかせながら全身で喜びを表現しているのは――ニザヴェリル王、スミンテウス・アポロだった。ぴかぴかの儀礼服に身を包んではいるが、その風貌はいかにもよく知られたドワーフといったところだ。


 身長はせいぜい俺の腰ほどだが、その存在感は重厚で、まさに『職人の王』というようなオーラをまとっている。


「スミンテウスでありますぞ。日頃より、我ら子人がアースベルにて多大なる恩恵を受けておると聞き及んでおります。この場を借りて、深く感謝申し上げますぞ!」


 ぴょこりと頭を下げる姿に、思わずこちらも背筋を正す。


「いえいえ、こちらこそ感謝しています。マッキィをはじめ、子人の皆さんのおかげで、このテーマパーク――デズミーランドは完成しました。皆さんの技術力があってこそですよ」


「ふぉっふぉっふぉ、それほどでもないと言いたいところだが、実はそれなりにあるのですぞ! 我らが技術力。ちょっぴり鼻が高いというものですな!」


 そう言って誇らしげに胸を張るスミンテウス王。何だか可愛い。


「ですが、これだけの規模の建築となると、体の小さい我ら子人の力だけでは到底及ばなかったでしょうな」


「ああ、建築には寅人たちも協力してくれました。俺たち申人でも持てないような柱や梁を、軽々と持ち上げてくれるんです」


 寅人たちにも感謝をしつつ、俺は答えた。


「正直、それが一番驚きましたぞ。あの寅人と子人が、肩を並べて作業をしている姿を見て、最初は目を疑いましたが……いや、見事ですな。仲の悪いはずの多種族が上下関係なく調和する国など、初めてです。アースベル……実に面白い国ですな。まさしく、新しい可能性の象徴。我がニザヴェリルとしても、ぜひとも友好を深めてまいりたいですぞ!」


 満面の笑顔で握手を求めてくるスミンテウス王。その手をしっかりと握り返しながら、俺は心からの言葉で返した。


「もちろんです。アースベルも、ニザヴェリルとの友好関係を、何よりも大切にしていきたいと思っています」

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