表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エンジニアによる異世界革命はじめました〜魔改造済みにつき魔王はご主人様に逆らえません〜  作者: マシナマナブ
第一章 開拓編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/188

記念すべき魔道具1番

 先ほど俺が作った小火炎(リトルフレイム)の魔法陣を刻んだ石の円盤も、もう立派な魔道具と言えるが、他にも魔道具師協会にはさまざまな魔道具が置かれていた。例えば、魔力を強める魔道具、弱める魔道具、魔力を蓄積する魔道具、匂いを放つ魔道具、周囲の微弱な魔力を集める魔道具など、面白そうなものばかりだ。

 その中でふと、ひとつのアイデアが浮かんだ。これらの複数の魔道具を組み合わせることはできないだろうか? 一つの魔道具に二つ、三つの効果を持たせたり、相乗効果で新しい使い道が見つかるかもしれない。興奮して、協会員にそのアイデアを投げかけてみた。しかし協会員の反応はあまりにもあっさりしていた。


「それはできませんよ。魔道具の二つの魔法陣をくっつけるということですよね? まず、動かないですし、魔力が暴走して爆発してしまうこともあります。危険なだけです」


 そうはっきり言われると、やはり無理なのかもしれない。だが、その理由を突き詰めなければ夜も眠れなくなるのがエンジニアの性。

 魔道具ではなく、詠唱によって複数の魔法陣を組み合わせる魔法使いは存在するらしい。それは『多重魔法』と呼ばれ、高度なテクニックとして知られている。だが、魔法使いにできるなら、魔道具でも同じことができるのではないだろうか。俺からすれば、小火炎(リトルフレイム)の魔法陣だって、火球を生み出す精霊魔法の魔法陣と、それを敵に向かって飛ばす念動魔法の魔法陣を組み合わせたものに思える。そしてそれは魔道具として動作している。きっと何か方法があるはずだ。

 思いついたらすぐに試したくなるのが俺の性分。俺は早速、魔力を蓄積する魔道具と匂いを出す魔道具を組み合わせてみた。最初はうまくいかなかったが、すぐに気づいた。これは電気回路と似たようなものだ。魔道具の出力と、繋げる魔道具の入力の規格が合っていないと、きちんと動かないのだ。

 そこからは、まるで回路の配線を組み立てるような感覚で、魔道具の出力を並列化したり、魔力を強めたり弱めたりする魔道具を間に挟んだりして、規格を合わせていった。何度かの調整を経て、ついに完成した。魔力を蓄積する魔道具に魔力を注いでおくと、魔力の供給を止めても匂いが出続けるようになったのだ。

 その成果を見た協会員たちがまたもや驚愕の表情を浮かべる。


「えっ、二つの魔道具を繋げたんですか!? それって、大発見ですよ!」


 言われてみれば、確かにこれは大きな一歩かもしれない。規格の概念がない異世界では、実現が難しかったのだろう。


「ところで、この匂いを出す魔道具だけど、なんの匂いなんだ?」

「これは、アクア草の匂いです。スライムはこの匂いが好きで、寄ってきますよ」


 なるほど、これはスライムが好む匂いか。そこで俺はさらに閃いた。

 この魔力を蓄積する魔道具と、匂いを出す魔道具、それに、周囲の微弱な魔力を集める魔道具と、俺の小火炎(リトルフレイム)を出す魔道具を繋げて、さらに物理的なスイッチを組み合わせて完成。記念すべき俺の魔道具一番、その名も『スライムホイホイ』。

 周囲の微弱な魔力を集める魔道具で少しずつ魔力を集め、魔力を蓄積する魔道具に蓄える。その魔力を使って、スライムが好きなアクア草の匂いを発してスライムを引き寄せ、スイッチが踏まれると、小火炎(リトルフレイム)の魔道具が作動してスライムを焼き払う。完璧なオートメーションだ!

 この魔道具が動いたとき、協会員たちは驚きを通り越して腰を抜かしていた。まさに未曾有の大発明だと言わんばかりの反応だった。

 早速、その魔道具を持ち帰り、実験をしてみる。すると、予想通り、スライムが次々と集まってきて、魔道具のスイッチを踏み、火炎が放たれ、スライムが倒されていった。置いておくだけで、次々とスライムを退治してくれる。


 [名前] リバティ・クロキ・フリーダム

 [レベル] 3

 [クラス] ヒト

 [職業] 魔道具師

 [体力] 15/15

 [魔力] 11/11

 [魔法] 小火炎

 [加護] 毒耐性


 そして、驚くべきことに、俺のレベルが3に上がった。どうやら、魔道具から放たれた魔法で魔物を倒した場合、その魔道具の制作者に経験値が入るらしい。これはすごいシステムではないだろうか。

 さらに、この『スライムホイホイ』は、想像以上に需要がありそうだ。ハルトに見せたところ、彼も目を見開いて驚いていた。


「リバティさんがこれを作ったんですか? 素晴らしい! 畑を荒らすスライムを、置いておくだけで自動で倒せる魔道具なんて、多くの人が欲しがるに違いありません。ぜひ、うちの商会で取り扱わせてください!」


 その言葉を聞いて、俺はすぐにこの『スライムホイホイ』の増産に着手した。日々この魔道具を作り続け、ハルトの商会で販売してもらった。すると予想通り、『スライムホイホイ』は飛ぶように売れ、俺の大好きなお金が日々懐に入ってくるようになった。そして、販売した『スライムホイホイ』で倒したスライムから得られる経験値もすべて俺のものになるため、寝ているだけでレベルがどんどん上がっていく。

 ありがとう異世界、ありがとう魔道具師!

 ……ごめんなさいスライム。

『面白いかも!』『続きを読んでやってもいい!』と思った方は、ブックマーク登録や↓の『いいね』と『★★★★★』を入れていただけると、続きの執筆の励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ