71話:初登校
ある意味での初登校です。
二人に待ち受ける運命とは!?
――翌日。
樹は起床するも昨日の事を思い出し「俺も好きだわ」と心の中で呟く。
朝食を食べ学校に行くために真白をいつもの公園で待ち、少し遅れて真白が到着した。
「樹くんおはようございます」
「おはよう真白。行こうか」
行こうとするが真白に制服の裾を摘まれ止められた。
振り返ると、真白はジッと樹のを見て少しソワソワとしていた。
「どうした真白?」
「えっと、その……です」
「えっと、なんだって?」
「一緒に教室まで登校したいです」
「それって……」
樹は真白の言葉の意味を察した。
つまりはそういうことだろう。
「このまま行くってことか?」
「はぃ……ダメ、ですか?」
上目遣いで樹の方を見やる真白。
「それはつまり、みんなに俺と真白の関係がバレるということだ。それでもいいのか?」
出来るだけ真白の意見を尊重してやりたい、樹はそう思っていた。
樹の言葉に真白は真剣な表情で頷いた。
覚悟が出来ているのだ。
なら樹も覚悟を決めなければならない。
だから樹は頷いた。
「真白の好きにして良いよ」
「――ッ! 樹くん、ありがとうございます!」
「ああ。さて、行こうか。これがある意味俺と真白での初登校だ」
「はいっ!」
幸せそうな笑みを浮かべるのだった。
二人はそのまま学校への道のりを歩く。
学校に近ずくにつれて同じ校区の制服を着る人がチラホラと見受けられた。
「見られてるな」
樹が小声で真白にそう言う。
「はい。その、無理なお願いをしてすみません……」
「気にするな。真白の好きにすればいいさ」
「はいっ」
校門に近ずくと、視線が多くなり囁き声が聞こえてくる。
「おいアレ、天宮さんの隣にいるのは誰だ?」
「いつもは一人なのに……」
「まさか彼氏、とか?」
「バカ言うなよ。あんな奴が天宮さんの彼氏なわけがないだろ」
「ん? 待てよ」
そこで一人が樹の顔を見て思い出したように口を開いた。
「アイツ、確か桐生樹じゃないか?」
「知っているのか?」
「ああ、俺は隣のクラスだが、確かお昼を一条と一緒に食べているらしい」
「なんだよそれ」
「桐生と一樹は友達らしいぞ」
「それで一緒に登校?」
「釣り合っていると思ったら大間違いだぞ。調子に乗りやがって」
樹は心の中で「まあそうなるよな」と一人納得していたのだが、真白が隣で「樹くんの悪口を言って」と怒っていた。
そのまま注目を集めながらも校舎へと入り教室へと向かったのであった。
新作のラブコメ『先輩、期間限定で私と付き合ってくれませんか?』を投稿しました。
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