7.ジャンル別の違い
ここではジャンル別の特徴や人気の有無について掲載します。
ジャンルごとに作品数は大きく異なりました。それではジャンルごとの総ポイント数、それに個々の作品のポイントや文字数、会話率はどうなるでしょうか?
なお以下のジャンル分けでは前回と同じく「異世界転生/転移」を区別していません。そのため各ジャンルには「異世界転生/転移」に該当する作品も含まれています。
表32a: ジャンル別の総ポイント(連載中&完結済み10万~)
※塗りわけ例(割合)
※塗りわけ例(割合比)
表は左からジャンル、該当する作品数と割合、該当する作品の総ポイントと割合、左記二つの割合比となっています。
最後の割合比は該当範囲における「総ポイントの割合/作品数の割合」です。つまり割合比が高いほど、多くのポイントを得ているジャンルとなります。
たとえばハイファンタジーですが、作品数は全体の43%近く、総ポイントが61%少々、割合比は1.43ですから他より多くのポイントを得やすいジャンルだと分かります。
しかし割合比だと、恋愛の異世界、SFのVRゲームがハイファンタジーを上回ります。したがって、この二つはハイファンタジーより注目されやすい『面もある』と考えて良いでしょう。
なぜ『面もある』と付記したかというと、上記のみだと絶対的な注目度で上回るか分からないからです。
そこで対象を上位25%の作品(集計時で770ポイント以上)に限定してみます。
表32b: ジャンル別の総ポイント(連載中&完結済み10万~,上位25%)
まず目を惹くのは、上位25%の作品がポイントの大半を占めていることです。
全ジャンルの合計だと、
上位25%の総ポイント/全体の総ポイント
=94,566,563/97,642,199
=96.9%
です。
つまりポイントの約97%は、上位25%の作品群が獲得したものです。
ジャンルごとで見ても80%を切るものはありません。したがってジャンルに関係なく、上位作品に読者が集中していると理解できます。
ジャンルごとに目を転じると、ハイファンタジーへの集中と恋愛の異世界の健闘が見て取れます。一方で割合比の差は小さくなり、ハイファンタジーのみが1を超えています。
これらから、以下の傾向があると理解できます。
・上位作品ではハイファンタジーが有利。
・ハイファンタジーを別格とすると、ローファンタジー、SFのVRゲーム、恋愛の異世界が有利。
なお純文学など該当数が非常に少ないジャンルはサンプル不足であり、ここで示した結果が正しいとは限りません。作品数が数十以下のジャンルだと、一つ飛びぬけた作品があれば結果が大きく変わってしまうからです。
今度は作品単位でのポイントの平均値や中央値を見てみます。
表33a: ジャンル別の作品単位のポイント(連載中&完結済み10万~)
※塗りわけ例
上記で見る限りだと、やはり恋愛の異世界、SFのVRゲームがハイファンタジーを上回ります。それも中央値は該当範囲全体の500%近くや以上です。
今度も上位25%以上の例を掲載します。
表33b: ジャンル別の作品単位のポイント(連載中&完結済み10万~,上位25%)
上記で見る限り、やはりハイファンタジーに多くのポイントが集まっていると理解できます。それと一定以上に限ると、恋愛の異世界、SFのVRゲームの突出も目立たなくなります。
したがって、以下が言えると思います。
・ハイファンタジーはポイントを得やすい。
・恋愛の異世界やSFのVRゲームは更にポイントを得やすい。
・ただし、ある程度上位からはハイファンタジーのほうがポイントを得やすい。
それとローファンタジーやコメディーは比較的上位になると、高ポイント作品が多くなるようです。それにアクションや歴史も似た傾向があります。
表32aの作品数だと歴史とコメディーは千作品未満、SFのVRゲームも千作品未満です。これらは読み手の需要に比べて作品が少ないのかもしれません。つまり一種の穴場だと考えられます。
それに対しハイファンタジーは一万二千を超えており、多くが埋もれてしまいます。
以下では一話文字数や総文字数、会話率に目を向けてみます。
まずは一話文字数です。
表34a: ジャンル別の一話文字数(連載中&完結済み10万~)
※塗りわけ例
恋愛は異世界と現実世界の双方とも、少し短めです。
ファンタジーは平均程度ですが、最も数が多いから平均値に近いのは自然なことです。
純文学の平均値が多いですが、中央値は他と同程度ですので、一部の作品が長いと思われます。
逆にアクション、SFの宇宙や空想科学などは全体的に長いと考えられます。
表34b: ジャンル別の一話文字数(連載中&完結済み10万~,上位25%)
上位25%に限った場合でも、アクション、SFの宇宙や空想科学は長そうです。
このうちアクションは140作品、SFの空想科学は100作品あるのでそれなりに意味があると思います。しかしSFの宇宙は53作品ですから、参考程度にしたほうが良いかもしれません。
充分に作品数が多いところだと、恋愛が双方とも短めだと分かります。また比較的数の多いところだと、コメディーやSFのVRゲームも短めです。
やはりジャンルごとに説明的描写の多寡など、何らかの違いがあるのでしょう。
今度は会話率です。
表35a: ジャンル別の会話率(連載中&完結済み10万~)
※塗りわけ例
恋愛の現実世界、推理、コメディーが会話が多めです。
恋愛は男女のやり取り、推理は推理自体、コメディーは会話で笑いを取るなど、なんとなく必然性があるように感じます。
逆に会話が少ないのは純文学、歴史、ホラー、SFのパニックです。これらは描写で魅せるか、説明文が増えやすいなどだと思われます。
表35b: ジャンル別の会話率(連載中&完結済み10万~,上位25%)
上位25%に限った場合でも、恋愛の現実世界、推理、コメディーが会話が多めです。
特に恋愛の現実世界は、全体よりも増えました。ただし会話率自体は1%以上減っており、他ジャンルの減少が多かったと分かります。
歴史、ホラー、SFのパニックも会話率が少ないままです。SFの宇宙も減っていますが、前述の通り上位25%に入ったのは53作品なので参考程度が良さそうです。
一話文字数も同じですが、ジャンルごとに±10%程度の差があると考えて、それぞれに合わせた形を取るべきだと思います。
最後に総文字数です。
表36a: ジャンル別の総文字数(連載中&完結済み10万~)
※塗りわけ例
上記だとハイファンタジー、歴史、SFのVRゲームが長いと分かります。
歴史は書こうと思えば一生どころか何世代分でも書けますし、残り二つは次の冒険、その次と続けられます。ですから、これらは構造的に伸ばしやすいジャンルと考えて良さそうです。
逆に恋愛は短めですが、これは前回触れたように延々と擦れ違いを描き続けるのが難しいなど、同じくジャンルの特性があると考えて良いでしょう。
他のジャンルも大きな差が出ていますし、それぞれの特徴があるのは確かだと思います。
表36b: ジャンル別の総文字数(連載中&完結済み10万~,上位25%)
上位25%に限った場合、より差が鮮明になります。
ただし傾向は少々異なり、ローファンタジーやヒューマンドラマのように率が上がったものがある一方で、歴史やSFのVRゲームのように下がったものもあります。
しかし全体として以下は共通しています。
・恋愛は短い。
・ファンタジーは長い。
・純文学、推理、ホラーは短い。
ジャンルごとに人気(あるいは需要)の差が大きい。これは確かなようです。
もちろん大ヒットしてジャンルと関係なしに広く読まれる作品はありますが、まずはジャンルごとに比べるべきでしょう。
一方でジャンルごとに文字数の多寡や会話率の差があるのも確か、それらの中の幾つかは上位で更に鮮明になりました。つまり単純な数字の比較でも、ジャンルごとに好まれる傾向があります。
もし多くに読まれたい場合、該当ジャンルの作品を読み比べてみるのが良さそうです。
ただし「多くに読まれたいときは他と比べるのも一つの方法」というだけです。それに『なろう』での流行りは、あくまで『なろう』の中での話です。
安易な迎合は迷走に繋がるでしょうし、そもそも「多くに読まれたい」と思わない方もいると思います。
とはいえ闇雲にチャレンジするより、現状を把握してからのほうが効率が良いはずです。そんなとき、これらのデータが少しでも参考になれば、とても嬉しく思います。
これにて終わりといたします。
ご質問や不足を感じたところがあれば、遠慮なく感想に記してください。今回取得したデータから導き出せる内容であれば、追加します。




