48.ダルタスの咆哮
ダルタスが、その手紙に気づいたのは、あくる日のことだった。
それは、ダルタスの書斎の机の上に置かれていた。
***
愛するダルタス様へ
愛人がいると聞きました。
私にはダルタス様だけです。
しばらく家を出ます。
愛人の方か私か…。
帰る日までにダルタス様のお心が定まりますように…。
貴方のルミアーナより
***
という、謎の内容だった。
「はあああああああ?」とダルタスが叫ぶ!
一体全体なんの冗談だ?悪い夢なら覚めてくれ!
自分だって愛するのはルミアーナ唯一人だけだ!
何がどうなったかなどわからないが、またどうもルミアーナが暴走したようである。
今度は一体全体、何を誤解したのだ?と思う。
慌ててアークフィル公爵家にも城にも確認してみたが、ルミアーナは昨日、うちに行くと行ってから帰っていないという。
向こうからもこちらに問い合わせようとしていたところだと言う。
加えて、近衛騎士団の方ではミウ(ルミアーナ)にべったりの女性騎士リゼラが突然の有給休暇消化の為、長期休暇申請を出して昨日から休んでいるとのことである。
間違いない!彼女はついて行ったのだろうと容易に察せられた。
更には、アークフィル公爵家からもルミアーナの侍女フォーリーが姿を消している。
どうしてそうなったかはわからないが、ルミアーナは自分に愛人がいると誤解するか吹き込まれるかして出て行ったのだ!
一体誰の陰謀だ!と思う。
(※実際はダルタス本人と家令ブラントの不用意な会話が原因なのだが)
つい先日、結婚の約束までして愛を誓い合ったばかりだというのに!
あああああああああああああ!あの姫君は本当にびっくり箱である!心臓に悪い。
ルミアーナと知り合ってからというものダルタスの気持ちは天国と地獄を行ったり来たりである。
しかし、流石に、二回目にもなると流石のダルタスも戸惑うというよりは、何故、自分を信じないのかと腹がたった。
自分は何一つ恥じる事はない!
ルミアーナと知り合って以来、ルミアーナ一筋である。
憤りと苛立ちの中、何でこうなったんだ?と唸るダルタスだった。
(※しつこいようだが自分とブラントのせいである)
早速、ダルタスは隠密部隊にルミアーナ捜索を命じ放った。
「ルミアーナ!悪いがもう限界だ!今度捕まえたらもう、その場で結婚式だ!」
「絶対逃がさないからな!」と、思わず周りも憚らず叫んだという。




