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目覚めれば異世界!ところ変われば~【Kindle本で1巻発売中】  作者: 秋吉 美寿(あきよし みこと)
ところ変われば次期公爵?
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147.三者面談…反省です

 さて、翌日、各学科での三者面談である。

 父上アークフィル公爵と母上ルミネ様と僕の三人での面接なんて、それこそ試験より緊張しまくりである。

 今日はルミアーナ姉さまはお留守番である。


 まずは、学士学科である。


 「さすがは、公爵家ご嫡男でいらっしゃる!読み書きは勿論ですが、とにかくティムン君の計算力は、すばらしい!」と学士学科のタタン・トプールル先生が鼻息を荒くして父上、母上に訴えている。


 タタン先生は披露目のおでこが印象的な丸眼鏡のおじいちゃん先生である。


 「まぁ、そんなにですの?」と母上様は嬉しそうに答えた。

 「でも初等部の計算など大した問題ではなかっただけでは?」と、父上様が言った。


 僕もそう思う。


 「いえいえ、じつは、五十問の問題のうち四問だけ大人でも難しい三桁と四桁の足し算と引き算をいれていたのですよ」


 「ええっ?三桁と四桁の?」と父上も母上も驚いているが、姉さまから教えてもらった”ヒッサン”を使ったら簡単だったし何がそんなに難しいの?という感じである。

 (この世界では、”ひっ算”も”九九”も知られていないがルミアーナもそれを教えられたティムンもその事を知らないので、当たり前の事だと思っているのだった)


 僕がきょとんとしているとタタン先生は興奮気味に早口で


「しかも全問正解でした!時間も恐ろしく早く終わり、もしや何かズルをしたのかと疑ってしまったほどですが、あの時は私も立ち会っておりましたし魔法も使う事の出来ない結界を張った試験会場でしたしありえません。スラスラと悩みもせずに計算を解き、与えられた時間の半分にも満たない時間で試験を終えたのです。最初は適当な答えを書いたのかと疑ってしまったくらいです!」とまくし立てた。


 「アークフィル公爵閣下!ぜひ、ご子息を学士学科に!彼は、天才ですぞ!末は博士か大臣か」と訴えた。


 普通の親なら舞い上がってしまいそうな賞賛の言葉にもアークフィル公爵夫妻は嬉しそうな笑顔でありながらも流されること無く冷静に対応した。


「先生、息子が”自分は賢い”と勘違いしてはいけないので、それくらいで勘弁してださい。息子を望んでくださるお気持ちは嬉しいのですが計算が人より出来たからと言っても本人が望まなければ、賛成できませんし。息子は今回、魔法学科と騎士学科の方でも試験を受けておりまして…その結果も確認して本人に選ばせたいと思います」と静かに答えた。


 さすがはルミアーナ姉さまの親だと内心思った。

 はい、僕、ちょっとだけ、僕は特別なのかと勘違いしそうになっちゃいましたね…反省です。


 ***


 そして次に、魔法学科での面談では魔法博士と呼ばれるキューリェ・ハンス先生が対応してくださいました。

 キューリェ先生は黒く長い髪に深い藍色の瞳をもつ美貌の先生でです。

  男の人なのにとても綺麗な人です。

  心なしか母上様もちょっとだけうっとりしているようにみえました。


  「ティムン君の中には大変温かい気と穏やかで安定した魔法力を感じます。修練を積むことによって大地に恵みをもたらすような魔法を生み出せる可能性が大きいと感じております。暴走するような波動ではないので保護しなければいけない対象ではありませんが、魔法学科としては将来有望な魔法使いの卵としてお預かりできればと思います」と穏やかに言われました。


  「ここでもですか?あたら、息子を褒め挙げるのはやめて頂きたいものです。息子はまだ子供です。今からそんなに煽てられてはろくな大人になりません」と父上様は渋い顔をなさいました。


 はい…父上様、僕またちょっと、浮かれそうになっちゃいました。

 反省です。


 よく考えたら綺麗で強くて優しい、月の石の精霊さえ従えているルミアーナお姉さまと比べたら、僕なんて何という事もないただの石ころのようなものでした。

『スミマセン』と心の中で謝る僕なのです。


 くすっとキューリェ先生はほほ笑まれ穏やかに言いました。


  「何も褒めて等などおりませんよ?公爵閣下ほどの方がわからぬともおもえませんが、謙虚も過ぎると嫌味になりますのでお気を付けくださいませ」と、まるで父上様を(たしな)めるような物言いをしました。


  「相変わらず静かに嫌味な奴だな!まぁ、いい。もしティムンがここを選んでもやっていけると?」


  「全く問題ないでしょう。私が保証いたしましょう」とキューリェ先生は口角をあげ、自信たっぷりで、ちょっとだけ悪そうな笑みを父上様に向けました。


  二人のやり取りをみて僕は気づきました。

 なんだ、二人は知り合いなんだ!

 しかも親しい…。


  「まぁ、本人次第だがな!そっちに行くことになったら頼む。さぁ、ティムン次は騎士学科だぞ!」と立ち上がり僕の背を押した。


  「いつでも、お待ちしていますよ」とキューリェ先生は僕に、にっこり微笑んで手を振ってくださいました。


  母上様も軽く会釈をしてにっこりとほほ笑んでから僕の手を引いて下さいました。

 いよいよ次は最後の騎士学科での面接です。

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