110.異世界からの救いの光
亮子が美羽のお泊りの事を叔母に伝えに行った後、一人になった美羽は先程から時折自分を誘うようキラキラと輝く光が気になり、ふらふらと追いかけていった。
その光は美しく優し気で不思議ではあるが恐怖はなかった。
魔法のないこの世界では、あり得ないのだろうがまるでルミアーナであった頃、ラフィリルでの記憶の中、歴史書で読んだことのある『伝説の精霊の祝福の光』のようだと感じた。
光は美羽を案内するように外に出て本堂の方まで美羽を導いた。
「ここは…?」
美羽は恐る恐る、光の導くままに本堂に入っていった。
そして、その光は本堂の奥にある『御神体』の方へと消えていった。
美羽は御神体のところまで来て驚いた。
大きな大きな白く光る石があった。
まるで岩である。
その大きさは美羽の背丈ほどもあり、しかも淡く光っている。
その石には、しめ縄が巻かれていていかにも御神体という感じである。
その、淡い光に魅せられて美羽は恐る恐る近づいた。
(この石って…まさか…)
淡い乳白色の光を放つ石…そう、それはまるで伝説の月の石のように思えた。
いくら何でもこんな大きな月の石なんてあり得ないだろうと思いすぐに、その思いを否定しながらも美羽はそっとその神々しく光る石に触れてみた。
「えっ!?」と美羽は小さく声をあげた。
パアッと美羽の体ごと光に包まれて、美羽は驚き石に寄りかかるように座り込んだ。
そして、頭の中で自分を呼ぶ声が聞こえたのである。
「美羽?美羽?私よ?私は貴女よ?と心の中に誰かが話かけてきた。
やっと異世界の…自分が元いた世界と今現在いる日本という世界が美羽とルミアーナの中でつながりました。
次回は、ラフィリルのルミアーナ側からの始まりです。




