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熟練度カンストの日常者

 全ての戦いを終わらせた俺。

 暗黒大陸改め、混沌の大陸も平和になった。

 これからは平和的に部族同士で権力闘争などをやってほしい。


 俺はこれから、世界で一番安らげる代わりに、俺が無力な場所へ戻る……。


「なぜユーマは遠い目をしている?」


「それはですわね、ユーマさんは戦いがないとやれることがほとんど無くなるからですわよ」


「それは頼りがいがあるということではないか」


 バララが首を傾げている。

 デヴォラはくすくすと笑った。


「全ての戦いを終わらせるほどの力を持っているからこそ、本当に大きな戦いを終わらせてしまって、彼の力を振るえる場所はなくなってしまったのですわ。テュポーンを手にする前に、彼が振るっていた虹色の剣はもっと凄かったのですわよ」


「なんと! 今のユーマよりも強かったというのか!?」


「俺は長年ダラダラ暮らしてきて、ちょっと太ってきてたからな。今回の戦いでちょっぴり痩せた」


 お腹の肉のつまめる量が明らかに減っている。

 だが、中年に差し掛かってくると、きっと動けなくなるし、そうなれば太っていくだろうなあ……。


 体を鍛えなければ。


「ユーマがぶつぶつ言ってる」


「それで、バララさんはこれからどうするんですか? 森に来ます?」


「? なぜだ? 私は鹿の部族を再興せねばならない。これからやることは山程あるんだ」


「今までに無かったタイプですわね」


「よく考えたら今回はこちらに来る理由ないものね」


 デヴォラと早苗が何やらぺちゃくちゃ喋っておるな。

 俺がほいほい嫁を増やすと思ったか。

 もう増やさないぞ!


 だけど、機械の精霊を手懐けたバララは、ぜひとも現代日本に連れていきたい。

 それはまた今度としよう。


「よし、帰宅帰宅ー!」


 俺が号令を掛けたら、向こうからアリエルがパタパタやって来た。


「パスは繋いでありますよー。こっちは結局どういうことになったんです?」


「ああ、ここに降りてきた侵略者連中はな、多分鷲の部族に指導されながら農作業に従事するんじゃないか? こいつらが起こした戦いで人が減りすぎているんだと。例え憎き侵略者だとしても、殺してしまっていてはもう社会を維持できなくなるとか」


「なるほどー。それでみんな納得するんですかね?」


「戦争に関わったのは表向きは豹の部族だからな。そいつらはほぼ根絶やしになる。こっちに部族の復讐感情が向くわけよ。んで、侵略者は移民として扱われて、鷲の部族や鹿の部族と交わることになる。混血が進むだろうな」


「今やこの世界ではありふれたことですもんね。私とユーマさんみたいに」


「人間とエルフだもんなあ」


 そう言えば泣き虫のユートは元気だろうか。

 赤ちゃん軍団の中で唯一の男だが、一番の泣き虫だからな。

 鍛えてやらねば……。


「ユーマ、世話になった。お前が危機の時は私が助けに行こう」


「おう、気持ちだけもらっとく」


 バララと握手して、別れる。

 ウェットな感情が間に無いからな。

 なんというか、男と女の友情ってのはこういうものなんだろう。


 いざ、パスをくぐるぞ……となった時。

 余計なのがついてきた。


「お前ー」


「どうかしたのかユーマ。俺は一向に構わん」


「俺が構うんだよ。なんでクラウドがついてくるわけ?」


「ジョカ様が灰王の森を見たいとおっしゃったのだ。こんな可愛くおねだりされたら聞かねばなるまい……」


 デレデレしやがって。

 クラウドの背中におんぶされた幼女、ジョカ。

 彼女は目をくりくりさせながら俺に問う。


「それでじゃな。灰王の森はどんななのじゃ? わらわ気になる~」


「妾とやっぱり口調が被ってる……。もう私って言っていい?」


「だめ。竜胆ちゃんは妾っていう一人称じゃないといや」


 わいわいと騒ぎながら、俺たちは灰王の森へと帰還するのだった。

 そこで出迎えに出てきたローザに、近況を聞く。


「世界中で迎撃体制が敷かれ、侵略してきた暗黒大陸の者たちは全て撃退された。かつての侵略者との戦いで戦力を減じていても、そこで得られた戦闘経験が生きた形だな」


 最初の襲撃こそ虚を衝かれたものの、その後の迎撃体制を作るまでは迅速だったらしい。

 ローザも加わり、ディアマンテとアルマースの軍指揮に一枚噛んだとか。


「フランチェスコとアブラヒムの苦虫を噛み潰したような顔は見ものだったぞ。今思い出しても笑えてくる。はっはっはっはっは」


 この女豪傑は子どもを生んでも豪傑のままだなあ。


「それでユーマ、背後にいけすかぬ男の顔があるようだが」


「ああ、これなあ。なんかついてきたんだ」


「フッ……。愛しのロリババア……。かつての俺はあなたへの愛に満ちていた。だが今は違う。なぜなら真実の愛に目覚めたから……!」


「何を言っているんだこの男は」


「俺も分からん」


 クラウドは額を手のひらで覆うようにしながら天を仰いでのけぞった。

 首からジョカがぶらーんとぶら下がる。


「クラウドー! わらわはこの辺見て回りたいのじゃ! おいそこの! あないせい!」


 クラウドの背中からくるりんっと地面に降り立ち、謎の幼女ジョカは周辺にいた者たちに命令を下した。

 それは……。


「わたし?」


「わたシー?」


 アイとマルマルじゃないか。

 二人とも以前の子どもだった頃よりも随分大きくなっている。

 彼女たちから見ると、ジョカは昔の自分だろう。


「いいよー。どこに行こうか」


「美味しいもの食べル?」


「食べるぞ!」


 お姉さんたちに両手を繋がれて、ジョカが行ってしまった。


「ああーっ、ジョカ様ー」


 クラウドが後を追っていく。


「なんとも……。あれはあれで丸くなった……と言えるのか?」


「あいつはあいつなりに理想のヒロインを見つけたようだからな。満たされているんだろう」


 きっと変なことはするまい。

 信用できん男だが、理想のヒロインを連れてまで他人に迷惑はかけないだろうという、妙な信頼みたいなものが俺にはあった。

 クラウド、あいつなりの正義だと信じたもののために戦ってるわけだからな。


 その信じた正義がちょいちょいおかしいんだが。


 ヤツのことを考えるのはやめよう!

 せっかく戻ってきたんだから、しばらくは骨休めだ。


 それからまた、現代日本を覗きに行くことを考えようではないか。

 俺はそう決意した。

 すると、向こうからトテトテと銀髪の彼女が走ってくるではないか。


「ユーマ! おかえり!」


「リュカ!」


 ということで、再会のハグである。

 抱きしめてくるくる回る。

 こうするとリュカは喜ぶ。


「私と再会した時はハグが無かったが?」


「ユーマ様とハグですか?」


「それじゃああたしも……」


 いかん!

 ローザとサマラとアンブロシアもやって来てしまった!


 どうやらしばらくは、彼女たちのご機嫌取りをせねばならぬようだった。

 戦うよりも、よほど難敵かも知れない……!!



 暗黒大陸の混沌者編 了


この後は、クラウドメインのスピンオフをやります。

今夜辺りから二話投稿して、二週間は毎日更新。


そこからまた週一更新です。

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