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熟練度カンストの遭遇戦者

 レジスタンスの三戦士とバララを連れて、アジトの周囲を哨戒する。

 俺としてはすぐに敵の本拠に攻め込んでもいいのだが、周辺の地形を把握はしておきたいからな。


 パッと見渡した限りでは、この辺りはサバンナ的な気候だ。

 暑いし、日差しも凄い。

 俺はアジトでもらった布を頭から被って行動した。


 日差しが遮られると随分涼しくなるな……!


「以前はもっと集落があちこちにあったんだが、全て象の部族が平らげた。混沌の大地の民は、多くの者が殺されている。世界は象の部族によって支配されようとしているのだ」


 モヒカンのゴーザムがシリアスな顔で語りだした。

 このモヒカン、何を使って固めてるんだろうな。


「豹の部族は?」


「そっちは西の方の話だから知らない」


 知らないかー。


「ゴーザムは視野が狭い。だが、槍を使う者だから、目の前に見える相手を突き、やりが届く範囲を薙ぎ払えるだけの目があればいい。この俺は違うがな」


 ナイフ使いのグレイズがにやりと笑う。

 視野が狭いと言われてムッとしたゴーザムだったが、後でちょっと褒められた感じだったので機嫌を直した。

 このグレイズ、他人の扱いが上手いな。


「俺が睨む所、豹の部族と象の部族は不戦の協定を結んでいる。混沌の大地を二つの部族で染め上げてから、改めて雌雄を決するつもりだ」



「グレイズこそ近くしか見えていない。遠くを見ろ」


 弓使いのオーディアである。

 こいつら仲がいいなー。


「いいか。あれは来訪者と手を結んでいるが、来訪者もまた一枚岩じゃない。あいつらは裏で争ってるぞ。俺たちが突くとしたらそこだ」


「どうだ、ユーマ。レジスタンス最強の三人だ。これほどの戦士はなかなかおるまい」


 バララが自慢げである。

 俺は世界を巡ってきて、凄い奴らをたくさん見てきた。

 レジスタンスの三戦士はそれに比べると普通くらいなのだが、ここは余計なことは言わんでおく。


 俺も大人になったものだ。


「大したもんだ。じゃあ、ああやって周回してくるバギーもとっくに見えていたのだろう」


「なにっ」


 遠くが見えると豪語していたオーディアが目を剥く。

 一見して、地平線には何も見えない。

 サバンナの木々がちょろちょろと生えているだけだ。


 だが、少し離れたところでわずかに、不自然な砂煙が上がっていた。


 バギーはSFな力を使って稼働している。

 つまり、かなりの速度でこっちに来るだろうと考えられる。

 それに恐らく、SFの助けを得ているならこちらを見つけてもいるだろう。


 俺は敵がこう言うことやってきそうだなというのをメタに予測するタイプだ。


「まさか、あんなところから……」


 オーディアが呟いたら、向こうでキラッと光るものがあった。


「まずい!」


 おっ、ゴーザム反応が早い。

 偉い。

 彼が他の二人を伏せさせた。


 バララは誰よりも速くしゃがみこんでいる。


 俺だけ棒立ちである。

 だが、手にはテュポーンがある。


「飛び道具だな。よし反射だ」


 見慣れたレールガンの射撃である。

 俺は惰性で正確な反射をぶちかましてやった。


 ぶっちゃけ放置してても誰にも当たらないような、クソエイムな射撃だったが。

 今の俺なら、それを一歩進んで受けに行き、反射で相手を殺すくらいは軽くやれる。


 遠くで、「ウグワーッ!!」という叫びが聞こえる。

 途端に、地平線で複数の砂煙が上がった。


「バギーが複数台だ。やれるか?」


「やれる!」


 三戦士が力強く答えた。

 みんなバララを俺を強く睨んでから、バララをちらっと見た。


 モテモテだなバララ!

 レジスタンスを率いる巫女にして、すっごい美女だからなあ。


「ああ、やろう! ここから我らの反撃が始まるのだ!」


 よし、では三人の腕前を見つつ、俺はバギーを適当に減らしていくことにしよう。


 すぐにバギーが姿を現した。

 合計で六台。

 これは結構な数なんじゃないか?


「今までに見たことがないほどの大群だ……! だが、負けるわけにはいかない! 行くぞ!」


「おう!!」


 レジスタンスチームがバギー三台を相手にする。

 俺は一人で三台な。


 レジスタンスチームが頑張っているのをガン見しつつ、横目でバギーを見ながら戦闘だ。

 オーディアの牽制射撃の間に、ゴーザムとグロイズが走る。

 バララが砂を巻き上げて相手の目を潰す。


 バギーに飛び乗ったゴーザムとグロイズが暴れているな。


 象の部族って手持ちのSF武器はレールガンしかないの?

 豹の部族が使ってた、機械仕掛けチャクラムみたいなのじゃないのか。


 バギーに乗ってるし、乗り物中心かなあ。

 だが、豹の部族の船もなんか仕掛けがあった気がするし……。

 そう言えばあいつら、水中から攻撃してきたな。


 水とネコ科の動物……?

 うーん。


「よそ見しやがって! 死ねえ!」


「よそ見しながらでも射撃は正確に反射するがな」


 カキーンといった。


「ウグワーッ!!」


 自分が放った弾丸にぶち抜かれて車から落ちる象の部族。

 レジスタンスたちの活躍を見るのに忙しいのだ。

 お前らの相手は片手間でやってやる。


 俺が視線もよこさずに、いきなりバックジャンプでバギーの鼻先へ乗ってきたので、象の部族の連中がパニックになった。

 そのままバギーを真っ二つに叩き切る。


 銃弾を次々反射しながら、ついに射手がいなくなったバギーを横薙ぎに叩き切る。

 最後のバギーは逃げようとしていたので、ディメンジョンで切った。


「全く混沌の精霊の力を使わない連中だったな。SF武器だけで戦うなら、エルド教の方が遥かに強いぞ。付け焼き刃のSFに溺れやがって」


 力に溺れてはいけない。

 重要な教訓だな。


 おっと、レジスタンスたちも、最後のバギーを倒したところだった。

 ナイフと槍が、象の部族の残りを打ち倒す。

 

 バララも含めて、四人ともすっかり息が上がっている。

 ゴーザムとグロイズは怪我までしているではないか。


 だが、彼らの顔は晴れやかだった。


「勝った!」


「勝ったぞ!!」


「俺たちは戦える!!」


「象の部族の者たちが、突然動きが悪くなったように見えたが、その隙を衝けたな……。どうだ、ユーマ。大したものだろう!」


「おう。特別な強さを持ってないであれを倒せるのは凄いと思うよ。怪我とか大丈夫?」


 三戦士は、俺の背後に広がるバギーの瓦礫や象の部族たちの死体を見て、ちょっと目を見開いた。


「息が整っている……」


「返り血一つない?」


「あんな武器で金属の象を破壊するのか……? 化け物か」


「いや、俺の話はいいから」


 三人が慄くのをなだめてやる。


「俺はな、ちょっと手を抜いた」


「手を抜いた!?」


「手を抜いて奴らを壊滅!?」


「化け物ではないか」


「待て待て」


 落ち着け。

 バララは平然としているではないか。


「いいか? 重要なのは、お前たちがバギーを無傷で接収したことだ。俺を見ろ。バギーごと奴らをぶった切ってしまった。これは俺一人なら全く問題ないが、レジスタンスのように人数がいたり、非戦闘員も抱えている組織ならばちょっと困る。敵を倒すだけでは飯を食えないし、活動を継続できないからな」


「今ユーマがいいことを言っているぞ。つまりなんだ」


 バララが分かってないのに相槌を入れてきた。

 何気にポンコツなのではないか?


「つまりな。バギーを使って象の部族まで攻め込むことができるようになったということだ。そして俺たち五人なら、バギー一台で足りるだろう。後の二台はレジスタンスの生活を良くするために使えるわけだ。俺の嫁にエルド教の司祭がいてな。そいつの話では、日差しを取り込むことで長く活動できる作りにしてあるそうだ。つまり、この太陽光が降り注ぐ混沌の大地ならば、バギーは壊さない限り半永久的に使える」


「おお!!」


 バララと三戦士がどよめいた。

 自分たちがしたことの凄さを理解したらしい。


「お前……戦いが終わった後の事を考えていたのか」


「いや、全く考えていなかった。刹那主義では俺はかなり凄いことになっていると思うが、一応は家庭を持っている者としてちょっと思いついただけだ」


「そういうのは素直に言わなくていいんだぞ!」


「嘘をつかない男だ」


「俺はユーマが嫌いではないな!」


 三戦士がめちゃくちゃ打ち解けてきた。

 バララも微笑んでいる。 

 和気あいあいとした時間である。


「よし、ではバギーを二台アジトに置いたら、いきなり象の部族に攻め込むとするか!」


「なにっ、いきなりなのか!?」


「そうだ。いきなり相手を潰す。これはかなり強い戦法だぞ。ファーストストライクで勝利するのだ」


 さあ、活動開始である。

2021/12/25に、コミカライズ第四話が各電子書籍サイトにて配信されております!

熟練度カンストのおくりびとのところですね。

マンガによって物語が大きく膨らんでおります。


えっ、これがあのカンスト!?という出来です。

カンストの新たな顔をお見せできると思います!

機会があればぜひ!

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