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塔の管理をしてみよう  作者: 早秋
第4章 塔の外で色々やろう
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閑話。従業員のお仕事

今回は少し趣向(?)を変えて。


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本日中級モンスター召喚陣のコストと召喚数を訂正しました。

詳しくは、本日アップ後更新予定の活動報告にて確認ください。

 リサ・フローレンは、自ら身売りをした奴隷である。

 両親がそこそこのレベルの商売を行っていたのだが、色々な事情で借金を背負うことになったのだ。

 その借金返済のために、自分から奴隷になることを選んだ。

 自分が兄弟の中で一番上だった上に、一家の働き頭になるであろうすぐ下の弟が家を出てしまうのはどう考えても家族のためにならない。

 自分が一番高値を付けられる上に、一家の事情としても一番よかったのだ。

 ただ、いくら自分から納得して奴隷になったとはいえ、自分の今後のことを考えると、暗くなってしまうのはしょうがない。

 特に自分の主人になる相手が決まるまでは、不安でしょうがなかった。

 自分は犯罪奴隷ではないため、身の安全は保障されているとはいえ、それはあくまでも建前だ。

 隠れて色々なことをしてくる主人が、全くいないわけではない。

 そういうわけで、主人が決まるまでは、緊張と不安で過ごすことになったのだが、ついにリサにも買い手がつくことなった。

 

 ワーヒドと名乗ったその男性は、リサから見て紳士的な人に見えた。

 勿論、十五才になっているリサは、外見と内面がかけ離れている人間がいることも分かっていた。

 奴隷は自分から主人を選ぶことはできないので、後は自身の運に賭けるしかない。

 そのワーヒドは、リサの他にも十四人もの奴隷を買っていた。

 一度にまとめて買う者もいないわけではないが、流石にこの人数は珍しいだろう。

 奴隷商の主人がホクホク顔で、迷惑を掛けないようにと念を押してきた。

 買われた十五人の奴隷は、リサのような女性だけではなく男性も含まれている。

 年齢は若い者が多かったが、三十歳近そうな男性もいた。

 後でわかるのだが、その男性は元冒険者で護衛として買われたとのことだった。

 店を出て、今後の働き場所となる場所へ連れて行くと言われてリュウセンの街の外に出た時は、どこに連れていかれるのか不安になった。

 街の外にあった建物に入り、そこで簡単な説明を受けた際に、これから働く場所が、その建物とそこから転移門で繋がっている塔の中と言われたときは、流石に全員が驚いていた。

 十五人の内、六人が戦闘の仕事に就くことになり、残りの九人はカウンターなどの事務的な業務に就くことになった。

 戦闘能力のないリサは、当然ながら事務業務に配属された。

 最初は、塔の中の神殿(のようなところ)で働くことになった。

 事務職の九人の内の一人は、一番の年長者のクレアさんという人で、残りの八人をまとめる職になった。

 あとは四人ずつ塔とリュウセンで、それぞれの業務をこなすことになり、さらに四人の内二人ずつに分けられて、その二人で常に行動することになった。

 リサの初めての相方は、サラサと名乗り、リサより一つ下の女の子であった。

 この二人一組というのは、寝る場所の部屋割りも同じであり、これからは常にサラサと行動することになった。

 

「・・・・・・フウ」

 一日の仕事が終わり、サラサがベッドの上で大きく息を吐いた。

「疲れた?」

「うん。まあ・・・ちょっとだけ」

 ここ数日の二人の仕事は、塔の中の転移門を使う人たちの相手だ。

 リュウセン側からくる者達もいるので、ぶつかったりしない様に、向こう側と連絡を取りつつ門の作業を行わなければならない。

 中には二人が奴隷だと分かっていて、舐めた態度をする者もいる。

 とはいえ塔側ワーヒドの対応としては、彼女たち奴隷の扱いは一貫している。

 たとえ奴隷だろうと一般の職員だろうと、扱いは一緒で職員に対して暴力をふるったりすれば、門の使用を禁止される。

 塔の中は、それなりに稼ぎが出せるようで、暴力をふるう者はいなかった。

 とはいえ、問題にならない範囲でちょっかいを掛けてくる者もいるのも事実なのだ。

 リサは両親が商売をしていた関係で、ある程度のあしらい方は心得ている。

 だが、サラサはそういった経験がないので、時々リサがフォローしたりしてる。

「そう。今日はゆっくり休みなさい。明日は休みなのだし」

「うん。そうする。・・・ねえ、リサ」

「何?」

「・・・・・・ほんとに休んでいいのかな?」

 その問いに不覚にもリサは、一瞬答えられなかった。

 サラサ、リサ組が明日休みなのは、事実だ。

 何度も確認したから問題はない。

 ただ、奴隷である自分たちが週(一週間は七日)二日も休みをもらえるのが、信じられないのだ。

 その内の一日が、明日に当たっている。

「大丈夫よ。ちゃんとエクさんに確認とったし。明日は、仕事はお休み」

「うん! ・・・でも、リリ達は大変だろうなぁ・・・」

 リリは塔側の転移門を担当しているもう一組の者達だった。

 リサとサラサが休みになるということは、リリの組が一日頑張らなくてはならない。

 ちなみに、二組で担当しているときは、もう一組の方は雑用をこなしている。

「そうね。でも、私達も昨日は二人だけで頑張ったんだから、リリ達も大丈夫よ」

「・・・そうだね。じゃあ、もう休み」

「うん。おやすみなさい」

 

 翌日。

 サラサとリサは、暇を持て余していた。

 村の中であれば、モンスターも襲ってこないので、それなりに自由に動けるのだが、そもそも冒険者たちしかいないような村である。

 女性二人だけで出歩いて、無事に済む保証はない。

 ただし、それはサラサとリサの偏見も含まれていたりするのだが。

 そんなわけで、外に出るわけでもなく、神殿の従業員の生活区域であるプライベートエリアをうろついていたら、同じく奴隷であるブルームに話しかけられた。

 ブルームは戦闘担当の奴隷だ。

 普段は、転移門で騒ぎが起きないように見張っている役目を担っている。

「おや? 何だ。リサ達も休みかい?」

「はい。ブルームさんも?」

「おう。そういうことだ。・・・そうだ、暇だったら村を見て回らないか?」

 突然の申し出に、リサは戸惑った。

「・・・え?」

「ああ、待て待て。そういう意味じゃない。実は、エクに言われててな」

「エクさんに? なんてですか?」

「今日二人が暇そうにしてたら、村の案内でもしてやってくれってな。まあ、俺もどうせ暇になるし了解したわけだ」

 ブルームのその説明に、リサは納得した。と、同時にエクの気遣いに、感謝した。

 エクは二人が、プライベートエリアで暇を持て余すことを見越していたのだろう。

 村を見て回ることは、二人の業務にとっても良いことになるのだから、神殿に籠っているよりは遥かにましである。

 リサ達はブルームの申し出をありがたく受けることにした。

「そういうことでしたら、案内お願いしてもいいですか?」

「おう」

 こうして三人で村を見て回ることになるのだが、最初から出来ていた建物以外は建築中なので、ほとんど建物は見て回るものが無かった。

 シュミットの店にも入ったが、ほとんどが冒険者用の品を扱っているだけで、サラサとリサにとっては見るものはほとんどなかった。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

 リサ達が塔の業務に就いてから、更に業務に携わる者の数が増えた。

 それと同時に、後日転移門の数が増えることも知らされた。

 増員は門が増える前に、業務に慣れた者を作るためで、転移門が増えた際には、さらに従業員を増やすとのことだった。

 もう一つの重要なこととして、クラウンの話もこの時にされた。

 塔の従業員に関しては、全員がこのクラウンの所属となり、クラウンメンバーとして活動していくことになる。

 その際のメンバー用のカードも作成されることになり、従業員一人一人にクラウンカードが渡された。

 クラウンが作られるとのことで、今後はその業務も増えることとなり、リサ達事務要員がその業務にあたることになった。

 

 ちなみに・・・リサは後に解放奴隷となり、クラウンの中で重要な地位に就くことになるのだが、それはまだ先のことであった。

というわけで、いつかは出してあげたいと思っていた奴隷達のお話です。

リサが大活躍でしたが、今のところはヒロイン予定はありませんw

クラウンが出来れば、奴隷以外の職員も増えていきますが、クラウンメンバーとして扱いは一緒です。

上司部下としての違いはあります。


2014/5/24 誤字脱字修正

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