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塔の管理をしてみよう  作者: 早秋
第9章 塔をさらに発展させよう
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10話 別種?

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ありがとうございます。

 <火の妖精石>を設置した第四十六層の鸞和たちに、変化が起きていた。

 

 固有名:ランカ

 種族名:青和

 固有スキル:体当たりLV5 飛行LV7 くちばし攻撃LV7 回避LV6 察知LV7 妖精言語 言語理解(眷属)LV4 火魔法LV5 神力操作LV2

 天恵スキル:念話LV5 火属性LV2

 称号:考助の眷属

 

 ランカを例にとるとこんなスキル構成になっていた。

 全体的なLVアップもそうだが、固有スキルの<火魔法>と天恵スキルの<火属性>が増えている。

 ちなみに種族名は、ランカの場合は<青和>だが、他の個体には<青鸞>となっている個体もいた。

 スキル構成的には違いがほとんどないので、何の違いかとしばらく考えたが、結局わからなかった。

「うーん・・・何の違いなんだろう?」

「何の事?」

 首を傾げる考助に、一緒に来ていたコレットが聞いてきた。

 コレットに個体によって<青鸞>と<青和>があることを説明する。

「もしかしたら・・・・・・」

「何か思い当たることあるの?」

「・・・性別の違いは?」

「いや、流石にそれは・・・僕じゃあ判断付かないな」

 鳥類の性別の違いなど見分けがつくわけがない。

「というか、コレット聞いてみてよ」

 <青鸞>と<青和>には、<妖精言語>がついているのだから、コレットだとある程度の話が出来るはずである。

「あ、そうね。聞いてみるわ」

 考助に言われて、ようやく<妖精言語>のことを思い出したコレットであった。

 

 鸞和達の中で、今回進化をしていたのは十羽ほどだったので、全ての個体を確認してみた。

 結果、コレットの推測は当たっていた。

 雄が<青鸞>で、雌が<青和>であるということが分かった。

 十羽ほどしか確認できていないが、恐らく間違いないだろう。

 まあ、違っていたとしても特に問題はないので、<青鸞>と<青和>に関しての調査は、今回進化した十羽でやめておくことにした。

 それはともかくとして、それよりも重要なのが、追加されているスキルである。

 進化をしていない個体で<神力操作>を持っている者達はいたが、固有スキルの<火魔法>と天恵スキルの<火属性>を持っている個体はいなかった。

 間違いなく進化が出来たのは、この二つのスキルだと思われる。

 どう考えても<火の妖精石>の恩恵を受けて、付いたとしか思えないスキルである。

 <火魔法>の方は、明らかに効果が想像できるスキルだが、<火属性>の方は、どういう効果があるかいまいちわからない。

「・・・・・・うーん・・・」

 考助は、しばらくの間ランカの前で唸っていた。

「・・・・・・ポ?」

 その考助の様子に感化されたのか、なぜかランカが頭をコテンと傾けた。

 それを見た考助は、我慢できずについつい首筋に手を伸ばしてしまう。

 ランカもそれを嫌がるどころか、気持ちよさそうに目を細めて撫でられている。

 その様子をコレットが呆れたように見ていた。

「・・・どうかした?」

「いえ、別に。いくら眷属だからって、そこまで懐くものなのね。相変わらず」

「え? 普通そうじゃないの?」

「さあ? そもそも人が召喚獣を眷属にするなんて話、聞いたことがないからよくわからないわ」

「うーん・・・。まあ、懐かれて困ることもないよね?」

「個人的にはそう思うけど、他から見たらどうなんでしょうね?」

 コレットの言葉に、考助が首を傾げた。

「・・・どういう事?」

「あのね。狼達にしろ狐達にしろ、普通の感覚で言えば、モンスターだからね」

 当然討伐の対象になるのである。

 それらがここまで懐いているのを見た人が、どういう感想を持つか。

「・・・・・・まあ、良くて変人扱いってところかな?」

「コウスケの召喚した眷属の数を知られたら、コウスケ自身が討伐対象になってもおかしくないかもね」

「ハハハ・・・いや、そんな、まさか」

 考助は、引き攣った笑いを浮かべてコレットを見たが、コレットは小さく首を振った。

 この世界にも、テイマー的な者達は存在しているが、それでもほとんどの者達は数体、一流と呼ばれる者達で数十頭と契約しているだけだ。

 それに比べれて、考助の各種族が百頭単位でいる眷属たちは、他から見れば脅威以外の何者でもないのである。

「・・・・・・知られないように、気をつけます・・・」

「そうしたほうがいいわ」

 項垂れた考助に、コレットは大きく頷いた。

 そもそも全ての眷属を、塔の外に連れて出ることなどまずないだろうが、用心するに越したことはない。

 以前のナナとワンリの様に、数体単位ならさほど警戒されることもないだろう。

 今後、眷属たちを連れて外に出ていく事があるかどうかは、不明なのだが。

 そんなことを話しながらも、考助はランカの首筋を撫でるのは止めていなかった。

 そして、ランカもまた気持ちよさそうに、撫でられるがままになっていたのである。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

 折角ランカが懐いてくれたので、考助としては、もう一つの野望を達成することにした。

 早速ランカを連れて、第八十層へと向かった。

 何のためかと言うと、コー達と会わせるためである。

 流石にコーの巨体に、最初ランカは怯えたように考助にくっついていた。

 考助がしばらくの間、コーに騎乗していると慣れて来たのか、コーの背の上で寛ぎだした。

 当然ながら、騎乗しているとはいっても、コーの背に乗っているだけで飛んだりはしていない。

 コーは、ランカが自身の上で寛いでいるのを知っているのかいないのか、ほとんど動いていなかった。

「・・・ポポポ」

「キュオ?」

「ポポ」

「キュオ」

 しばらくして、二羽が通じているのかいないのかよくわからないが、会話(?)をしだした。

 その様子を見ながら、考助は和ませてもらっていたのだが、コーが突然考助を背に乗せたまま空に飛び上がった。

「・・・・・・おわっ!?」

 突然のことにバランスを崩したが、流石に背から落ちることは無かった。

 慌ててランカのいた方を見るが、既にランカは飛び立った後だった。

 コーの少し前方を青い翼を広げて悠々と飛んでいる。

 何となく観察した限りでは、コーの方が飛ぶ速度が遅いようである。

 まあ考助を背に乗せているので、気を使って飛んでいるせいもあるのだろう。

 実際は、どちらの方が飛ぶのが早いのか少し気になったが、比べてみても塔の中にいる限りは、ほとんど意味がないので気にしないことにした。

 コーは考助を乗せたまましばらくの間、第八十層を飛び回る。

 ランカは、その周りを円を描くようにして飛んでいた。

 やがて二羽は満足したのか、先ほどいた地上へと戻ってきた。

 特に考助が指示したわけではなく、完全にコーに任せていたのである。

 空の旅で、二羽の間に何か絆のような物が生まれたのか、会ったばかりの時の様な硬さは、ランカからは取れていた。

 今は完全に脱力しきって、コーの背中の上で寛いでいる。

 相変わらず、ポポポ、キュオキュオと、当たり前だが考助には意味が分からない会話らしきものが、二羽の間で行われていた。

 その会話が途切れたのを見計らって、考助はランカを連れて元の第四十六層へ戻ることにした。

 思った以上に仲が良くなった二匹を見た考助は、野望の一つを達成したのであった。

ランカがデレました?

何となく書いてみなくなったので、二羽の交流(?)を書いてみましたが、いかがでしたでしょうか?


種族名は、青鸞せいらん青和せいわとお読みください。

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