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反逆の狼煙をあげる赤子

俺はハイハイで家の探索をするついでに、自分の扱える力を確認しておくことにした。


お腹にぐっと力を込めて、体内に流れる魔力をコントロールしてみる。

すると、際限のないほどの魔力がドバドバとあふれ出してくる。


(あー無理だコレ。どう考えても量が多すぎる。もしかして無限にでてくるんじゃね?)


馬鹿みたいな大量の魔力が、制御を失い体から垂れ流し状態になる。


(こんなのコントロールできるわけないだろ! なんの意味があってこんなに力があるんだ?)


この力を自在に制御するなら相当な修行が必要だろう。

けれど、俺は今でも十分に世界最強の存在だ。だからこれ以上強くなる必要はない。

それとも、世界は俺に星でも殴って破壊させたいのか?

馬鹿馬鹿しい、流石にやりすぎだろ。


俺は無駄な努力はしない主義だ!

修行なんて一生しない。力なんてほどほどで十分さ。

それに俺は強さなんかよりも、ずっと可能性を秘めたデンジャラスパワーを、この丸くてキュートなわがままボディーから感じている!

カワイイこそ、世界を制する真の力に間違いない!

俺はこの可愛さで世界を席巻してみせる!


そうこうしている内に、ハイハイで父上の部屋の前まできてしまった。

室内からは父上の声と、知らない男の声が聞こえてきたので、ドアの隙間から覗き込み、耳をすませて盗み聞きする。


でっぷりと太った男が我が父上になにやら偉そうな態度をとっている。


「カイリーよ、はやくあの化け物を追い払わないと、この領地はもうおわりだぞ?」


「・・・はい、わかっていますが、s級冒険者を雇うお金がないので、どうしようもなくて」


 (ふむふむ、会話から察するに、どうやら父上はお金に困っているのかな?)


「貴族が情けない顔をするな。金なら私が貸してやろう」


「ほ、本当ですか、伯爵様!?」


「ああ、もちろんだとも」


「し、しかし、私には借りた金を返すアテがありませんが?」


むむむ、なんか聞いていて気分が悪くなる会話だな。

ワクワクした気持ちで探索を始めたのに、いきなり我が家の闇をみつけてしまうとは・・・普段威厳ある渋い父上の弱々しい声は聞きたくなかったかも。


「ははは、返す必要はないさ。快く受け取ってくれ」


「あ、ありがとうございます」


一応心配して盗み聞きしていたが、どうやら問題は解決できたみたいだ。

俺は安心して次の場所目指してハイハイしようと手を動かしたが、伯爵が放った次の言葉に固まってしまった。


「ただ返済の代わりにお前の嫁、エリーナは私が貰っていくぞ? あの女は、お前のような底辺貴族には勿体ないほど美しいからな」


─────は?


なに言ってんのコイツ?

俺は一瞬頭が真っ白になって聞き間違いかと疑ったがどうやら違うらしい。


「な、なにを言ってるんです?」


「ふん、底辺にまで落ち込むと耳まで悪くなるのか? 私がエリーナを愛人として貰ってやると言ってるのだ。ありがたくおもえ」


「そ、そんなこと許可するわけないだろっ!」


そうだ、そうだ!

母上の最高のおっぱいは俺だけのものだ!

お前の入る隙間なんかねぇんだよ、ぶっ殺すぞ!?


「誰もお前の許可なんぞ求めてない。借金をするなら返済の代わりに貰うといってるだけだ。嫌なら他の者に頼むといいさ。まぁお前のような底辺に金を貸す奴がいればだがな」


「それは・・・」


「好きにしろ、だが放置すれば領民はあの化け物に殺されると思うがね。貴族としてするべき行動は一つしかないだろ?」


「・・・・・・」


「ああ、そうだ、ちょうどこの汚い辺境の町まで来たんだ。先払いとしてエリーナを味見したいんだが空いている部屋はあるか?」


「帰ってくれ!!」


「まあそういうな。身体の相性とかもあるだろ?」


「帰れと言っているんだ!」


「・・・・・・ふふ、まあ良いわ。気が変わったら私の所に来い。期限は一週間だ。ではな」



俺は太った男が部屋からでる気配を感じとり、急いで近くにあった壺の中に飛び込んで隠れた。部屋から出てきたソイツは口髭を生やして、傲慢で偉そうな態度を隠そうともしていない雰囲気だった。


(こいつが母上を奪おうとしている屑野郎か。許さないぞ)


俺は忘れないようにそいつの姿を、暗い壺の中から睨みつけた。

そして、いつか必ず痛い目をあわせてやると心に誓う。

男が帰ると、父上の疲れはてた独り言が部屋から漏れてきた。


「はぁ、あんな奴に愛する妻を渡してなるものか・・・・・・しかし、領民を見捨てることは出来ない。くそ、どうやってあの化け物を追い払えばいいのだっ、どこかに心優しい強い人がいれば・・・・・・」


俺はその言葉を聞いておもったね。


(父上、ここに最強の戦士がいますぞ! 俺に任せて下さい、必ずやその化け物とやらを倒して、あのくそ野郎をぎゃふんと言わせてみせます!)


俺は愛する家族を守るため、小さな手を握りしめながら、狭い壺の中でそう決意した。

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