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魔人勇者(自称)サトゥン  作者: にゃお
三章 烈斧
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22話 格上





 眼光すら見えぬ男の言葉に、リアンとマリーヴェルは言葉を返すより先に己が獲物を解き放ち構える。

 それは二人がこの男を敵と見做たり、打倒すべき存在だと認識した為ではない。二人を動かしたのは、生存本能から生じた自衛の為の武装だった。

 目の前の男から放たれる重圧に、彼らは自身を護る為に、そうさせられたのだ。その空気を、リアンは知っている。マリーヴェルは知っている。

 この男の身に纏う空気は、彼らの師匠であるメイアのそれに良く似ている。サトゥンのような天衣無縫存在自体の強さではなく、一個がどこまでも純粋に磨き上げられた純度を集約させた技の強さ。

 リアンは息を呑み、目の前の男を観察する。ただ立っているだけにもかかわらず、武人としての重圧と隙のなさは、日頃メイアに叩きのめされている彼には痛い程に良く分かる。

 手に持っているのは、古錆びた鉄斧だというのに、万の魔物を打倒してきた勇者の斧のようにすら感じさせる。

 強者とは、他人に自分をより大きく見せることに長けている。ここまで対峙者へ自身を大きく見せるとは、一体どれほどの強者なのか。

 その槍を構えたまま、リアンは目の前の男に問いかける。


「立ち去れ、とはどういう意味ですか?僕達はこの先に用があるのですが……」

「言葉通りの意味しかない。この先に何が在るのか、知っていて言っているのか?死ぬぞ、少年。

もし何も知らずに迷い込んだと言うのなら、麓までは送ってやる。死にたくなければ、道を引き返せ」

「いきなり出てきて『引き返せ』なんて言われて、引き返す人間が一体何人いるのかしらね。どきなさい、私達はこの山の先にいる奴に用があるのよ」

「威勢の良さは買おう。だが、悪いがここは通せない。奴を相手に、無駄に命を散らしてしまう人間を、俺はもう見たくは無い」

「貴方の意志なんてどうでもいいわよ。通さないと言うのなら、無理にでも通してもらうわよ?どうせ話し合いなんて応じる気はないんでしょ?」

「やめておけ。お前達が相応の使い手であることは感じている。なればこそ、分かるだろう?――お前達では、俺には勝てないと。

そして、俺如きに勝てないのであれば、この奥に潜んでいる『氷蛇』には何の抵抗も出来ず、蹂躙されるだけだ」


 右手に持っていた両手斧を肩に担ぎ直し、男は淡々と言葉を放つ。

 どうあっても道は通さないという頑強な意志を示す男に、マリーヴェルは小さく舌打ちをして、サトゥンの方へと視線を向ける。

 一応彼に最終判断を仰いでるあたり、サトゥンがパーティーのトップであるという認識はしてくれているらしい。

 そんなマリーヴェルの視線に、サトゥンは考えるような素振りをみせながら、言葉を紡ぐ。


「ふむ、例え愛しき人間といえど、我が勇者道を邪魔すると言うのなら、排除せねばならぬのだが……私はリアンに、人殺しはせぬと固く誓っている。

ぬうう、これは悩ましき問題だ。私であれば、どんな人間相手であっても一蹴出来るのだが、一蹴してしまうとあの男の息の根を止めてしまうではないか!

だが、人間を傷つけては勇者など言えぬ!魔物であったなら幾らでも殺し尽してやるというのに!くそう貴様、卑怯である!何故お前は人間なのだ!今すぐ魔人へ生まれ変わるが良い!

そうか、あれだな?貴様は私と戦うのが怖いから、人間なのだな?ふはははは!臆病、実に滑稽である!悔しければ今すぐ私の目の前で人間をやめてみせろ!」

「分かった、何も出来ない勇者様は隅っこで大人しく待ってて頂戴。いくわよ、リアン!」

「了解っ!」


 リアンとマリーヴェルは浅く積もった雪を蹴って男へと駆ける。

 走りながら、二人は武器に男を斬らないように意識し、武器を振るう。彼らの剣は意志を持つ剣、主が望めば敵を貫くことを抑制することが出来る。

 それでも、当たり所が悪ければ大怪我は免れないが、相手も武器を持って対峙し、それも恐ろしき程の武人だ。これ以上の手心は、逆に自身の命を脅かしかねないのだ。

 相手の実力は未知数、だが恐らくはメイアクラス、もしくはそれ以上の使い手だ。この手の強者は手の内を見せれば見せる程こちらが不利になる。引き出しの数が段違いなのだ。

 故に、二人が選んだのは短期戦。リアンとマリーヴェルは、二人同時に男に対して槍撃と剣撃を仕掛ける。

 二人のコンビネーションは、敵対する側にとっては恐ろしい程に厄介な代物だ。リアンの怪力による槍の一撃と、マリーヴェルによる剣の手数、その二つを同時に相手するのは非常に難しい。

 剣に気を取られればリアンが全てを粉砕する一撃を放ち、逆に槍に気を取られればマリーヴェルの剣が猛威を振るう。

 低級であったとはいえ、魔人であるレグエスクですら打倒してみせた二人の連撃である。彼らの攻撃は誰にも止められないという自信があった。だが――男はそれを簡単に成し遂げてみせたのだ。


 男はリアンとマリーヴェルの攻撃を見極め、身体を一歩半ばかり下げて体勢を低くする。そして手に持つ斧をちょこんとマリーヴェルの星剣へ押し当てた。

 僅かばかり軌道が右にずれた星剣が、槍を振るうリアンの視界へと入る。それで十分だった。

 超高速で動く剣の軌道が己の槍の軌道へ入ってきたように錯覚させられたリアンは、僅かばかり槍の軌道を変更する為に力加減を修正するが、そこを男はついたのだ。

 星剣を僅かにかすらせ、軌道が変化し動きが鈍ったリアンの槍を恐怖することなく彼の懐へ入りこむ。そして手に持つ両手斧の柄を、全力でリアンの胸元へ叩き込んだ。

 相手の攻撃が先に入ることなど、考慮していないリアンは、肺から息を押しだされ、激痛と共に身体をくの字に曲げてしまう。


「リアンっ!このっ!」


 相方を崩され、彼との距離を取らせる為にも、男へ攻撃を加えようとしとしたマリーヴェルだが、その剣を押し止める。

 男は身体を流れさせ、リアンが壁となるようにマリーヴェルとの立ち位置を修正していたのだ。男の策にマリーヴェルは歯噛みするしかない。

 これではリアンが盾となり、どこを斬りつけてもリアンを傷つけることになってしまう。剣がリアンを傷つけないことを祈って斬るにしても、腕が彼の身体に衝突してしまう。

 恐らく、これは男の罠。マリーヴェルが冷静に距離をとれば、リアンをそのまま潰してしまうつもりなのだ。かといって、マリーヴェルが突っ込めば、それこそ男の狙い通りだ。

 一瞬迷ったものの、マリーヴェルは獰猛な笑みを浮かべて男へ斬りかかる。上等だ、自分にリアンを斬り捨てる選択肢など選ばせようとしたこの男、断じて許さない、と。

 マリーヴェルは幻惑の剣、力押しではなく技巧によって相手を翻弄する剣の舞。以前の対リアン時のように、相手を翻弄するために足捌きや剣の速度を駆使するマリーヴェルだが、その男はポツリと呟き一蹴する。


「メーグアクラス王国騎士団の剣技をよく学んでいるようだ。少年よりは成熟されているようだが、まだ未熟」


 マリーヴェルの繰り出すフェイント全てを見極め、男は真っ直ぐに彼女の剣撃の安全域へと踏み込み、古錆びた斧を突きあげる。

 魔人すらも斬り伏せた彼女の剣は、男の古錆びた斧の一撃によって大きく撥ね上げられた。リアンすらも超えるその剛腕に、マリーヴェルは驚愕と痛みによる苦悶の表情を見せるが遅い。

 彼女の両腕はがらあきとなり、身体を護るものはなにもなくなってしまった。そこに男の蹴りが吸い込まれていく筈だったのだが。


「マリーヴェルは、やらせないっ!」

「リアン!」


 二人の間に割って入るように、身体を苦痛にゆがめたリアンが槍でその蹴りを受け止めたのだ。

 あまりに早いリアンの復帰に、男は驚きなのか感心なのか分からぬ表情をみせながら、二人から跳躍して後退する。

 だが、戦況はあまりに悪い。一瞬の交錯で、二人はダメージを負ってしまった。それを看破している男は、諭すように淡々と言葉を紡ぐ。


「その若さにして、よく鍛えられている。経験を積めば、良い戦士になれるだろう。だからこそ、引き返せ。

それだけの才を持ちながら、何も出来ぬままお前達も奴の犠牲になるなどあってはならない」

「っ、舐めてくれるわね。私達はまだ、負けちゃ……」

「やせ我慢はいい。少年のアバラとお前の右手首を深くは無いが痛めつけた筈だ。少年の方は折れているかもしれんな。

お前達では、俺に勝てぬ。その強さと才は認めるが、経験が足りなさ過ぎる。俺に勝てない奴が、あの化物に勝てる訳が無い」


 男の言葉に、リアンもマリーヴェルを悔しさを噛み締めることしか出来なかった。

 メイアの修行のもと、強くなっていると感じていた。周辺の魔物を苦にもしなくなったし、魔人を倒してみせたという自信もあった。

 だが、目の前の男はそんな彼らの自信を易々とへし折ってくれた。サトゥンよりもらった武器をもってしても、ただの古錆びた斧で打倒してみせた。

 あまりの強さ、そして他を圧倒する技量に、マリーヴェルは内心で毒づく。認めたくないが、彼のような強さを持つ者、それこそが自分達の目指している高み――英雄なのではないか、と。

 そこまで考え、マリーヴェルはあることにきづいた。これだけの強さを持つ人間の正体、それは一体誰なのか。

 リアンとマリーヴェル、両者を相手にしても軽く叩きのめしてしまうほどの英雄が、この国にいるのか。否、いた筈だ。英雄の座を王の手によって追われてしまった悲劇の英雄が。

 伸び放題の髪によって全く見えないその眼光。だが、マリーヴェルは確信する。自分達を圧倒出来る斧使いなど、恐らくこの男の正体は――


「――ローナンの若獅子、英雄グレンフォード」


 マリーヴェルの呟きに、男は表情を一つ変えることもなく応えることもない。

 だが、彼女は確信する。この男こそ、悲劇の英雄グレンフォードに他ならないと。

 彼は大陸唯一無二と謳われる使い手で、特にその斧術は御伽噺の英雄の再来と言われる程であったと耳にしたことがあった。

 王に追放された後、国外に出たという話はきいていなかったが、まさかこのような場所に潜んでいたとは。

 彼の正体がそうであると断定するマリーヴェルは、男に訊ねかけた。


「貴方、英雄グレンフォードでしょう?私達を容易くねじ伏せる斧使いなんて、それ以外考えられないわ」

「……確かに俺の名はグレンフォードだ。だが、英雄などというものになったことなど、一度もない。過去にも、そしてこれからも」

「貴方が、あの氷蛇の……ならば、お願いします!この道をどうか通して下さい!僕達は奴を倒さないといけないんです!」

「お前達には無理だと言った。俺如きに勝てない者が、あの化物に一体何が出来る。勝てんさ、俺もお前達も」

「……なんか、メイアに訊いてた話とは全然違うわね、貴方。かつての英雄様も落ちぶれたものね、氷蛇を怖がって無理だ無理だって。

無理かどうかは貴方が判断する事じゃない、私達が対峙して剣を握って決めることだわ」

「奴と対峙したことがないから、お前達は強い言葉が吐ける。もういいだろう、帰れ」

「ああああー!何なのこの帰れ帰れ男!臆病者、びびり、いくじなし!どこまで下向いてネチネチネチネチ!まだ勇者馬鹿のがマシだわ!」

「むむっ、私に対する賛美の言葉ならいつでも受け付けているぞ?ふはははは!勇者が最高であるのは、この世の当然の理である!

って、ぬああああああ!また我の脳内に『くたばれ』の大号令が!」


 一歩も引くつもりは無い男――グレンフォードに、リアンとマリーヴェルはどうすべきか頭を悩ませる。

 マリーヴェルは口でこそ、馬鹿にした者の、この男の実力は本物である。氷蛇に怯えてはいるが、その力は自分達よりも遥か格上だ。

 故に力ずくで突破しようとしても、今のリアンとマリーヴェルでは難しい。何より彼らは身体にトラブルを抱えてしまった。

 負傷した状態で、彼を打倒できるとは思えない。かといってミレイアに癒してもらおうとすれば、その隙を彼は見逃さないだろう。

 どうすべきか、考えている彼らであったが、そんな二人の前につかつかと一人の男が前に出て行った。当然、サトゥンその人である。

 肩を鳴らしながら、サトゥンは愉しげに笑い、グレンフォードに向かって言葉を投げつける。


「ふははは!黙って話を聞いてやっていたが、つまるところ、貴様は氷蛇を倒す手柄を独り占めしたいということであろう!

いかん、それはいかんな!氷蛇は我が勇者としての名を世界に売る為の大事な獲物である!あの獲物は千年も昔から、私が売約済みなのだ!」

「黙って話をきいていたかしら……」

「千年前からって、アンタがメイアから氷蛇の情報聞いたの数日前じゃない」

「外野は黙っておれい!むはは、勇者の獲物を独占しようとは片腹痛いわ!聞けば、貴様より強ければ獲物を貰ってもいいのだろう?

ふははははは!案ずるな!リアンとマリーヴェルのようなひよっこを虐めて喜ぶ貴様に、真の強者という者をおしえてやろう!

何度も言うが、今回の氷蛇退治に二人の出番はない!この私、勇者サトゥンが!鎧袖一触にて屠ってみせることで!物語が始まるのだ!うははははははは!」


 これ以上ない程にテンションがあがりきってしまったサトゥンに、リアンは苦笑し、マリーヴェルは頭を痛めながら後退し武器を収める。

 彼がこうなってしまった以上、自分達の出番はもう終わりなのだと理解しているからだ。グレンフォードに勝てないのは悔しいが、実際に現在の実力では歯が立たないのだから仕方ない。

 故に、ここからは見学へと回る。ミレイアに怪我を癒してもらいながら、二人はサトゥン達を真剣に見つめていた。

 彼が強いことはリアンは勿論、マリーヴェルも理解しているが、実際に強者と対峙するのを見るのは初めてだったのだ。

 サトゥンが、一体どのようにしてあの英雄を倒してみせるのか。真剣に見つめる観客達をおいて、サトゥンがグレンフォードへと警告する。


「さて、次は私が相手をする訳だが……ふむ、困ったことに私は人間を傷つけないと誓っていてな。こちらからお前に手が出せぬ。

故に私は一つ提案をしようではないか。お前の持つ最大の攻撃を私に叩き込むがいい。それを簡単に捻じ伏せて、私の最強の証明としよう。

むははははは!何、遠慮はいらぬ!さあ、お前の最強の一撃を私に叩き込むがいいわ!自慢ではないが、私はここ千年ほど、自分の血が流れたのを見たことがないのでな!」

「あの、先日マリーヴェルに斬りつけられて大量の血液を流していたと思うのですけど……」

「さあ来るが良い!どんな攻撃であっても私は逃げぬぞ!さあさあさあさあさあさあ!いざいざいざいざいざいざ!」

「ごめん、あの背中本気で斬りつけたいくらい鬱陶しいわアイツ」


 外野からの声を気にしようともせず、サトゥンは腕を組んで高笑いをしてグレンフォードの一撃を待つ。

 ただ、グレンフォードの空気が変わったことにリアンとマリーヴェルは気付く。二人と対峙したときは、構えらしい構えをみせなかった彼が、腰を落とし斧を構えてサトゥンをみすえているのだ。

 それは、彼が本気であるという証明。サトゥンの強さ、異端さを肌で感じ取った英雄が、本気を出さなければ呑まれると認識したが故の戦闘体勢。

 恐ろしい闘気がグレンフォードを包み込み、周囲を圧迫する。そんな化物を相手にしても、サトゥンは余裕綽々とばかりに待っているだけだ。

 じりじりとグレンフォードがサトゥンとの距離を詰めていく。まるで獣が距離を測っているかのように、牙をといでいるかのように。

 そして、グレンフォードは仕掛ける。リアン達相手では見せなかった『攻め』のグレンフォード、それは尋常ではない程の速度を付けた肉食獣の突撃だった。

 リアンやマリーヴェルが、少し離れた場所で見ていたにもかかわらず、視界に留めるのが困難な程の速度で、グレンフォードはサトゥンへと肉薄する。

 手に持つ斧を振り上げ、サトゥンへ叩きつけんと最小限の無駄のない動きで迫り、そして――その斧は先端を消失することになる。

 サトゥンの首元へと突き刺さったかと思われた斧は、サトゥンが目に見えぬ速度で手を動かし、付け根部分を指でそっと撫で、それだけで遥か上空へと『斬り飛ばした』のだ。

 唖然とするグレンフォード、そしてリアンやマリーヴェル。そんな彼らに、サトゥンは胸を張り、楽しげに言ってのけるのだ。


「ふははははは!騙されたな馬鹿め!私は確かに人間を傷つけられないと言ったが、武器はその限りではないわ!

貴様の自慢の斧はこの私が真っ二つに叩き斬って捻じ伏せてみせたわ!今の貴様はただの棒きれを持った山男に過ぎん!

がははははは!勇者を相手に棒きれで一体何をしようというのか!それで叩くのか?ん?叩くのか?勇者を棒で叩くなど、怖すぎるではないか!うはははははは!」

「……ねえ、リアン。なんでアンタ、あんなの尊敬してるの?私ちょっと、他人になりたいんだけど、あれと」

「さ、サトゥン様は凄くてかっこいいんだよ?うん、強くて凄くてかっこいいんだよ……」


 マリーヴェル達からの冷たい視線を何ら感じることもなく、サトゥンは鬼の首をとったかのように高笑いして胸を張っていた。

 だが、対戦相手であったグレンフォードは納得したらしく、手に持つ棒を投げ捨て『俺の負けだ』とサトゥンに告げていた。

 本人達が納得しているなら、それでいい筈なのに、こっちが納得出来ないのは何故だろうとマリーヴェルは頭を抱えるしかなかった。

 ただ、そんなマリーヴェルの胸の鬱憤を、少しだけ神様が晴らしてくれたらしい。

 サトゥンが斬り飛ばした斧の先端は、遥か上空から再び大地へと舞い戻るように落下し、そのまま高笑いする勇者様の後頭部へと見事に直撃し。


「がはははははははあがっ!」

「さ、サトゥン様ー!」


 強烈な一撃を頭に受け、浅く雪が積もった大地へとサトゥンは前のめりに伏せてしまった。

 そんなサトゥンに肩を貸して立ちあがるのを手伝っているグレンフォードを見て、マリーヴェルとミレイアは、実はあの人、本当は良い人なんじゃないかと勝手に思ったりしていた。







こう、ブーメランのように、ガツンと。次も頑張ります。

ここまでお読み下さり、本当にありがとうございました。

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