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魔人勇者(自称)サトゥン  作者: にゃお
三章 烈斧
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21話 北上





 旅の支度を終えたリアン達は、翌日の早朝に村を出て東の国、ローナン王国を目指す。

 一同がまず目指すのは、村から歩きで二日ほどかかる場所にある国境。そこを越えて、さらに半日の距離の場所にあるリードルという街だ。

 ローナン北部は寒冷の気候との情報をメイアから得た一行は、向こうで気温の変化に耐えられるように、防寒具を多く所持して村を発つ。

 彼らの移動手段は、リアンとサトゥンが徒歩に対し、マリーヴェルとミレイアは馬である。

 最初、二人にもこれくらいの距離は走れば一日と掛からないとふざけた提案をするサトゥンに、二人が猛反対した。当たり前である。

 渋々サトゥンは二人の為に馬を用意したのだ。村には立派な乗馬などいない為、サトゥンが森の中に入って捕まえてきた野生の馬だ。

 肉付きもよく、毛並みも良い白馬に二人は歓喜したが、馬の頭部についている一角は見ないことにした。見て見ぬふりをした。多分サトゥンが何か手を加えたのだろうが、絶対に追求しないことにした。

 

 村を出てからの旅は順調過ぎるほどに順調だった。

 とにかく移動速度が速いのだ。サトゥンの用意した馬は騎兵の馬等とは比較にならない程の速度で走行を行い、更にリアンとサトゥンはその先を行くのだ。

 最早彼らの非常識に慣れてしまったマリーヴェルとミレイアは、映りゆく景色をみて旅路を楽しんでいた。

 今は山奥の村で狩人をしたり教会に勤めたりしている彼女達であるが、一応王族である。馬術を嗜むのはお手の物だった。

 道中、何度か魔物が襲いかかってくることもあったが、リアンとサトゥンが我先にと狩りつくしてしまっている。マリーヴェル達の出番は微塵もなかったことを記しておく。


 歩きで二日かかる関所に、結局昼過ぎに到着してしまった彼女達は、昼食を簡単に取った後、関門の方へと足を進める。

 そこには商人の馬車や、一般の旅人などが門の前で兵士達に話をしては、次に次にと通過していた。

 その光景を眺めながら、少し離れた場所でマリーヴェルは全員に説明するように話しかける。


「あれがウチとローナン王国を隔てる関所ね。ローナンに向かうには、あそこを通らなきゃならないの。

といっても、別段難しいことではないわ。身分を証明するか、証明出来ないものは金を払うかするだけよ」

「むむ?何故そのようなことをする必要があるのだ?」

「国の中で犯罪を起こされちゃ困るからよ。もし身分が証明できるほどの人間なら、責任追及は相手の国に直接行えばいいでしょ?

出来ない奴が金を払わなきゃいけないのは、まあ言ってしまえば先に犯罪者への罰金を受け取っておこうってことでしょ」

「面倒なことをするな、人間は!ふはは、必死に策を弄する人間に私は愛する感情を溢れさせずにはいられんな!」

「分かったから、ほら、出してよ」

「出すとは何をだ?」

「貰ってるんでしょ?メイアからの身分証明書。

私達は貴族メイアの使いですって、責任はメイアにありますって一筆書いてもらったんでしょ?その為に貴方昨日メイアと色々話をしてたじゃないの?」

「ふははははは!ある訳がなかろうそんなもの!メイアとの話はリアンのことでいっぱいであったわ!

自慢ではないが、リアンのことに関してはメイアとなら夜通し語り合っても足りないくらいなのでな!」

「威張って言うんじゃないわよ!ああ、もう、無駄な出費が……」


 頭を抑えながらも、どうやら最初からある程度予想していたらしく、マリーヴェルは自身の旅袋から財布を取り出す。

 彼女の財布の中身は、以前城から出ていた頃にギルドで稼いだ分、それとリアンと共闘した分の稼ぎである。

 勿論、リアンと割っているのだが、それでもそこそこの貯えがある。余裕はあるのに、無駄な出費を嫌うマリーヴェルを見ながら、ミレイアはしみじみと思うのだ。王女が財布の具合で頭を悩ませるというのも、不思議な光景だな、と。

 そんな余計なことを考えていたのがばれたのか、マリーヴェルはじと目をミレイアへと向ける。

 笑って誤魔化すミレイアに、マリーヴェルは軽く息をつき、改めて話しかけた。


「ミレイア、銀貨五枚持ってない?関所で払う分なんだけど、大きい貨幣しかないのよね」

「ああ、それならありますわ。少し待って頂戴、私の旅袋の中に……」


 マリーヴェルの要求に頷き、ミレイアは背中に背負っていた旅袋を手前に持ち運び、その紐をといて中を探る。

 ただ、手を旅袋の中に入れた瞬間、ミレイアは不思議そうに首を傾げる。何故か鞄の中に突っ込んだ手が、気持ち良いのだ。

 ミレイアの指先に何か柔らかくてもこもことした温かいものが触れるのだ。おかしい、中には防寒具や冒険道具一式、非常食などしか入っておらず、そのような温かさを感じるようなものなど入っていないのだから。

 挙動がおかしくなるミレイアに、マリーヴェルはどうしたのだとばかりにミレイアと共に、その鞄の中を覗き込んだ。


「にゃあ」

「………」

「………」


 鞄の中には、金色の毛並みを持つもっふもふなお猫様がくるりんと寝転んでいるではないか。何処の猫だ、等とは言えない。どう見てもリーヴェである。

 一度猫から視線を外し、姉妹は互いに顔を見合わせる。そして再び視線をリーヴェへと向けて、マリーヴェルは冷たい声でぼそりと呟くのだ。


「自分で面倒みなさいよ。勝手に連れてきたんだから、餌もミレイアの食糧から出すからね」

「え、そ、そんな!?ち、違いますマリーヴェル!これは私が自分の意志で連れてきたんじゃありません!

え、あれ、なんで!?リーヴェは村長にお願いしてきた筈なのに、どうして!?私の鞄の中にいつから!?」

「リアン、サトゥン、関所にお金払うけど、全部私が一括して払うから。お金は宿で返して頂戴ね」

「むはは、了解である!といっても私は金など一枚たりとも持ち歩いておらんがな!」

「サトゥン様の分は僕が払うね。ありがとう、マリーヴェル」

「え、ちょ、ちょっと皆様、どうして私達を無視して先に向かいますの!?リーヴェは!?ねえ、リーヴェはどうすればいいの!?」


 こうして四人と一匹は、関所で何一つ問題を起こすことなく異国の地へ足を踏み入れたのである。

 そこからリードルの街はあっというまで、日がまだ昇っている時間に到着する事が出来たのだった。








 メーグアクラスとローナンの境に位置する都市、リードル。

 ミリス程ではないが、こちらも商人の中継地点ということもあり、なかなか栄えている街である。

 街を見渡し感嘆の声をあげるリアン。ミリスとはまた違った味わいのある街を楽しんでいる彼に、マリーヴェルは口を開く。


「街を見回りたいでしょうけど、それはまず宿を取ってから。今晩はこの街に泊って情報収集するんだから」

「ヴェルドルの街がどちらにあるのかを探さないといけませんからね。あの、あと宿は出来れば猫同伴でも怒られない宿が……」

「そんなもん鞄の中に入れて黙って持ちこみゃばれやしないわよ。リーヴェ大人しいんだから」


 そんな会話をしながら、四人は馬を引きながら宿を探しに街中を歩く。

 歩いて十数分、ようやく宿を見つけて部屋を二つとり、馬を預けた後、四人はリアン達のとった部屋へと集まる。

 身体をリアンのベッドの上に勝手に投げ出したマリーヴェルは、試すような言い方でリアンに訊ねかける。


「街中の異様さ、気付いた?」

「うん。ミリスと比べて、やけに武装した兵士達が多いね。それもみんなピリピリしてる。そんなにこの街は魔物を警戒してるの?」


 リアンの言うとおり、街中には商人達に混じり、数多くの兵士達が歩き回っていたのだ。

 それもローナン王国に属する騎士達であり、その鎧一式はマリーヴェルやミレイアも国同士の交流で何度も見たことがあった。

 彼らは首都であるローナンの守りを担当する騎士達であり、いくら商業の重要な都市であるリードルとはいえ、ずっとこの地の守りについている兵士達とは考えにくい。

 すなわち、彼らは王からの命を受け、出兵してきているのだ。どこかに向かおうとしており、この街で一端休息を取っているという訳だ。

 少し考えるような仕草を見せるマリーヴェル。指先で頭のバンダナを玩びながら、まとまらない考えを言葉にする。


「あれはローナン城の兵士達ね。普通はこんな地方の街に滞在しているような連中じゃないわ、うちの城の兵士と一緒で、王命がなければ城から出られない筈だもの。

つまるところ、あいつらはローナン王から何かしらの命令を受け、この場所にいるってことよね」

「宿に来るまで、少なくても百人は兵士達いたよ?そんなに多くの兵士に命令なんて、よっぽどのことじゃないのかな」

「武力を国が大量に投入する理由なんて数えるほどしかないわ。戦争か、討伐か。

前者はありえないわ。ローナンはうちも含めた近隣と友好を結んでいるし、この国は全体的に寒冷だもの。

戦争をして農作物を止められたりしたら、逆に困ってしまう筈だわ。勿論、その事情が理由となって、豊かな大地を侵略するという可能性もあるけれど、極めてゼロに近いと考えていいと思う」

「となると、討伐かな。兵士を百人以上送らないと討伐出来ないくらいの魔物ってことだよね。それって……」


 もしかしたら、この旅はすこしばかり急ぐ必要があるかもしれないとマリーヴェルは思う。

 十年の時と、あれだけの惨状、そして英雄の喪失で、この国はもうあの化物に手を出せないと思っていた。

 けれど、もし、この十年間ローナン国があの化物を倒す為に色々と策を練っていたのなら。もしもローナン国があの化物を打倒する目処がたったならば。

 否、それならそれで構わない。少しばかり残念であるが、人を脅かす化物が退治されるのはいいことだ。倒されたなら倒されたで、自分達は新たな獲物を探しに旅立てばいい。

 だが、問題はその化物を打倒する術の『当てが外れた』場合である。宿に辿り着くまでに百人程度みたとリアンは言った。恐らく、実際の兵士の数はその何倍にものぼるだろう。

 それらの命が、一瞬にして刈り取られてしまうのだ。無論、彼らは兵士であり、死ぬことは覚悟の上であるだろう。だが、無駄死にさせるのも夢見が悪い。

 王族であるマリーヴェルだからこそ分かること。兵士達にとって、王族の命令は絶対である。

 例え勝てぬ相手であっても、彼らは退くことを許されない。王命が彼らを縛る。そして何より、この国には英雄を追い出した過去がある。

 逃げてしまえば、自分達も彼と同じようになってしまう。その恐怖が、兵士達を無駄な死へと追いやってしまうだろう。

 全く、この国の王族達も余計なことばかりしてくれたものだと内心愚痴を零しながら、マリーヴェルは三人に告げる。


「明日の観光は無しよ。早朝に街を発つわ。もたもたしてたら、兵士達が先に氷蛇に辿り着きかねない」

「む!?それは許せんな!奴は私の獲物である、相手が誰であろうと譲れぬわ!

ここまで来る間に、私は奴を屠る為に三百四十二個ものシチュエーションを考えてきたのだ!

ちなみに、今一番良いと思っているのは、我が魔力を両目に集め、一気に放つことで山ごと砕く『勇者閃魔眼光波』という技をだな?」

「そのまま雪崩に巻き込まれても私は助けないからね。それじゃ、今から夕食までの間は各自で情報収集よ。

ヴェルドルの場所に加えて、兵士達の目的も明確にしておきたいわ。もし、連中の目的も本当に氷蛇なら、先回りして見つけ出さないと」

「分かったよ。それじゃ、何か分かったら『槍』を通じて、サトゥン様に連絡するね。サトゥン様からマリーヴェルにその情報を伝えて下さい」

「むはは!承知!」


 リアンの言葉に、マリーヴェルは理解できなかったため、どういう意味かと聞き返す。

 そんなマリーヴェルに、そういえば話してなかったねと槍を彼女の前に差し出しながら、説明を始める。


「僕の槍と、マリーヴェルの剣は、サトゥン様が作ってくれたものなんだけど、この武器はサトゥン様と遠く離れていても連絡を取ることが出来るんだよ。

ほら、あの洞窟でマリーヴェル達と分断されちゃった時。あのときは、この武器を通じてサトゥン様に連絡を取って、力を貸して貰ったんだ」

「ふはははは!私の力ならば、その程度のことなど造作もないこと!お前達の武器は、私の分身、いわば私の子供も同然!

その武具を持ち歩いている限り、常に私が傍にいるも同義と思うが良い!寂しくなったら、いつでも武器に語りかけるがいいわ!」

「気持ち悪いからやめてっ!というか、そういうからくりだったのね。話しかけるには、どうすればいいの?」

「うん、サトゥン様に伝えたいことを考えて武器を握るだけでいいよ」

「ぬうううううう!?急に我が脳内に恐ろしい数の『くたばれ』コールがっ!」


 数十分ほど遊んだ後、四人は夕食の時刻まで情報を集めることに奔走した。

 夕食時に宿に集まり、食事の中で四人は情報を交換して結論を出すのだ。翌日の早朝に、馬を走らせて北へ向かうことを。

 余談ではあるが、夕食時に出されたキャロットジュースを何故かサトゥンが大いに気に入ったらしく、このワインはどこで手に入るのだと宿の人間に詰め寄ろうとしていたが、顔を真っ赤にしたマリーヴェルが全力で彼の頭をぶっ叩くことでそれを阻止していた。勇者サトゥン、ワインの違いを分からぬ男である。







 明けて翌朝。四人は太陽が昇り切らぬ時刻に街を出発する。北にある廃墟ヴェルドルを目指して。

 北上を進めていくと共に、どんどん気温が低下していくのを三人は感じていた。あらかじめ情報を得ていた為、旅袋から防寒具を取り出して厚着する。

 ただ一人寒さに微塵も堪えていないサトゥンは、厚着する三人に如何に己の寒さへの耐久が飛びぬけているかを自慢げに語っていた。

 やれ昔は氷の邪霊による凍てつく吹雪をも、心地よい風だとばかりに受け止めていただの武勇伝をひけらかしていたが、真面目に聞いてくれたのは勿論リアンだけである。

 ちなみに、ミレイアの鞄の中ですやすやと眠るリーヴェも冷えないように、ミレイアはリーヴェの身体に厚手の布を二重三重に包んであげていた。なんだかんだ言って面倒見の良い少女である、精神的にヘタレであるが。


 北上を初めて数時間。四人は目的の場所である、廃墟ヴェルドルへと到着した。

 雪がちらちらと舞い始める廃墟に、リアン達は言葉を失う。話には聞いていたが、それ以上の惨状が広がっていたのだ。

 ボロボロに朽ち果てた街並み。夥しい程に散らばっている白骨達。まるで亡霊の街と言われても間違いではないほどの死者の街、それがヴェルドルの今であった。

 恐らく、この十年の歳月が流れる中で、一度たりとも人の手が加えられていないのだろう。

 死体は野生の魔物や獣が喰い散らかし、骨だけとなる。建物も破損したまま雨風に晒され続け。その光景を見つめながら、サトゥンはぽつりと言葉を紡ぐ。


「まるでアーリヴェルドの屠殺場だな」

「アーリヴェルド、ですか?」

「うむ。魔神七柱が五位、暴食のアーリヴェルド。奴は同族を食べることに快楽を見出した魔人でな、あやつの戦場を誰もがそう呼んでいたのだ。

対峙した相手は骨しか残らぬ、肉の一欠けらすら残さず平らげる魔人であった。まあ、その分脳は退化して食べること以外に興味を持たなかったがな。

しかし、氷蛇という奴とは、やはり相容れんな。この街も元は人間達が笑い仲睦まじく過ごす良い街であったのだろう。

それをこのような状態にしてしまうなど、私には考えられぬ。これだから美学を理解出来ぬ獣は困るのだ」


 サトゥンの何でも無いような言葉に、リアンは力強く同意する。サトゥンのその言葉が、何故か嬉しかったからだ。

 氷蛇に勝るとも劣らぬ力を持つサトゥンが、自分の恩人が、人間を愛しこの光景を憂う言葉を言ってくれたこと、それが何よりうれしかった。

 リアンはもとより、マリーヴェルも少しばかり驚いていた。サトゥンが勇者馬鹿であることは知っていたが、人間達に対し、ここまで真剣になれる人物であるとは思っていなかったからだ。

 少しばかり彼の評価を上方修正しながら、マリーヴェルは三人に言葉を紡ぐ。


「街の惨状は予想以上だけど、他人の死を悲しんでいる暇なんてないわよ。私達の目的はこの元凶である氷蛇を潰すことなんだから」

「そうだね。氷蛇は山奥に潜んでいるって話だけど、山はいっぱいあってどこの山だか……」

「馬鹿ね。メイアから口を酸っぱくして何度も言われてるでしょ、どんな時でも観察は怠るなって。

氷蛇の巨体は聞いたでしょう?あれだけ大きな化物が暴れ回ったのよ。その痕跡は大地に残ってる筈」

「そっか。氷蛇が這った後を辿れば、その山に辿り着けるってことだね」

「まあ、十年も経ってるからね。雪や土が積もって埋もれてしまっている可能性も考えてたんだけど……相手が特上の化物で助かったわ」


 そう告げて、マリーヴェルはある場所を指差した。

 そこは、直径にして六メートルはあるだろうか。大きく大地が抉られた道のようなものが、街の外まで延々と続いていた。

 すなわちこれは氷蛇による足跡だ。恐ろしき程の巨体、恐ろしき程の体重を這わせ引きずらせ、氷蛇は大地を抉って山へと戻っていったのだろう。

 この跡を辿れば氷蛇に辿り着ける。そのことを確信して、四人は蛇の後を追いながら北上を続ける。

 吐く息が白くなり、馬を駆ける風に痛みを感じ始めた頃。リアン達は、とうとう一つの山の入口へと辿り着いたのだ。

 まるで山道を生みだしているかのように続く蛇跡を確認し、再び四人は蛇を探す為に移動を開始しようとした、その時だった。


 山を登る四人の行く手を遮るように、蛇道の途中で佇む一人の男がいた。

 伸び放題で目元は隠れる濃い茶色の髪に、口元を覆う程の髭を携えている。背丈はサトゥンよりやや低い程度であろうか。

 動物の毛皮によって作られた衣服を纏い、右手には狩猟で使っているのか、古錆びた両手斧が握られている。

 このような僻地で人に会うことなど想定していなかったリアン達は、驚き困惑してしまう。当然だ、ここは氷蛇のテリトリーなのだ、人間などいるなど考えたこともなかったのだ。

 そんな彼らを観察するように、男は一瞥した後、重く低い声で警告を発するのだった。ただ一言――立ち去れ、と。








勇者一行、山のくまさんに出会う。次も頑張ります。

ここまでお読み下さり、本当にありがとうございました。

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