表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/55

第22話 哀れな懇願

「────なるほど、ラトネを捨てたのか」


 カナト共から何が起きたのか、説明を受けた。

 要はラトネを犠牲にして、自分たちだけノコノコと帰還したという訳だな。


「違う! 俺たちは──」


「顔を上げるな、土下座のままでいろ。仲間を追放するような連中の言い訳なんて、聞きたくないんだが?」


「それは……お前を追放したことと、今回の件は関係ないだろう!」


「そんな態度でいいのか?」


「うっ……悪かったよ。……頼む、ラトネを助けてくれ」


 こいつらはボスに敗北し、俺たちに救いを求めてきた。自分たちでは、どうにもできないことを理解しているのだ。

 すでに俺のことが上だと、認めているのだ。


「ボク達がこんなに頭を下げているんスから、さっさと助けてくださいッスよ!!」


「そうですよ! 慈悲の心は無いのですか!? 私たちもかつては仲間だったじゃないですか!!」


「年増と腹黒聖女は黙ってろ」


「と、年増!?」


「は、腹黒!?」


 頭の悪い女はこれだから嫌いだ。

 情に訴えることしか能がない。話を乱し、面倒にする。

 ……だから嫌いなんだ。


「情けないな。テイマーをバカにした分際で、俺の力を求めるなんて」


「……あぁ、俺たちが間違えていた。テイマーは確かに不遇職だが、魔物の知識だけはズバ抜けている。有効活用さえすれば──」

 

 短剣をカナトの手の甲に突き刺す。


「ぐ、ぐぁあああ!!」


「バカにしているのか? 舐めているのか?」


「な、何がだ!? 認めているだろう!?」


「不遇職だの有効活用だの、上から見下してるんじゃねぇよ。俺は既にお前よりも上にいるんだからな」


 短剣を手の甲から抜く。


「う、腕が……腐る!?」


「後で治してもらえ。それよりも、これを見てどう思う?」


 先ほど更新した冒険者カードを見せた。


「………………は?」


「え、SSS級……ッスか!?」


「あ、あり得ないです!? そ、そうですよ!! 偽装に決まっていますよ!!」


 三者三様の反応。

 中でも唖然としているカナトが、一番おもしろい。口をあんぐりと開けて、バカ丸出しだ。


「アルガくん、この人たちはなんなの? 見ていて鬱陶しいんだけど」


「俺を追放した連中ですよ」


「あぁ……例の。見る目がないね」


 シセルさんは冷淡に呟いた。


「あ、アルガ……この人は?」


「シセル・ル・セルシエルさんだ。聞いたことくらいあるだろ?」


 またしてもカナト共は、三者三様の反応を見せた。


「し、し、シセル様!?」


「あ、あ、あり得ないッスよ!! う、ウソに決まっているッス!!」


「そ、そうですよ!! 人類最強の御方が、底辺テイマーの仲間になる訳がないですよ!!」


 かつての俺しか知らないのであれば、その反応は妥当だろう。

 だが──


「信じようと信じまいと、そんな反応なら俺は手助けしないぞ?」


 本当に腹の立つ連中だな。

 本能的には俺の方が強いことなど、既に認めているだろうに。


「わ、悪い……。だ、だが……どうしても信じられないな」


「で、どうして欲しいんだよ。信じられないのならば、俺に助けを求めるのは止めるか?」


「い、いや! ……た、頼む。ラトネを救ってくれ。俺たちには……お前の知識が必要なんだ」


 カナトの言葉を聞き、俺は2本の指を立てた。


「2つ、条件がある」


「な、なんだ? 俺たちにできることなら、なんでも言ってくれ!!」


「1つ。ラトネのいる迷宮には、俺とシセルさんの2人で挑む」


「お、俺たちは──」


「何もせずにジッとしていろ。たかがS級如き、何の役にも立たない」


「……わかった、2つ目はなんだ?」


「ラトネの引き渡しは、ギルド内で行う」


「……? あ、あぁ。わかった」


「あ、もう1つ条件を加えてもいいか?」


「な、なんだよ」


 俺は右足を大きく後ろに伸ばし──


「これまでの──仕返しだ」


 ──カナトの顔面を蹴った。


「がッ……」


「たった一撃で気絶か? 情けないな」


「大丈夫ッスか!?」


「カ、カナト!?」


「これで交渉成立だ」


 顎を砕かれ失神するカナト、それを心配するバカ女2人。


 ついに、ついに、ついに。

 千載一遇のチャンスが、舞い降りてきた。

 俺の仕返しは、こんなものでは済まない。

 救うと口では言ったが、ヤツらに……地獄を見せてやる。


 バカ女2人が俺を糾弾する声を聞きながら、俺たちはその場を去った。

ごめんなさい、この話が抜けていました。


下にある☆☆☆☆☆から、

作品への評価をお願いします。


『おもしろかった』『続きが気になる』と

思った方は星5をお願いします。

『つまらなかった』『もう読まない』と

思った方は星1をお願いします。


ブックマークもお願いします。

このページの上下にある『ブックマークを追加』から行えます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ