浮気のクリスマス
中学2年の夏。
俺、須藤レンタは、幼馴染の比嘉川メイと付き合うことになった。
向こうから告白され、断わる理由もなかったので受け入れた。
小さい時からの付き合いで、近所では評判の美少女。
その人気は小学校で有名に中学校で一番の美少女と呼ばれるほどだった。
定期的に男子からの告白を受けていたし、多い時には同じ日に3人なんてこともあったらしい。
しかしメイの魅力はただ可愛いだけじゃなくて料理や勉強も得意で人当たりも良く人望もあるところだ。
まさに彼女にする相手としては優良物権。
そんな誰もが憧れる美少女に告白されたとあって俺はとても舞い上がり、デートを重ねた。
遊園地やら夏祭り映画思いつく限りのデートスポットをめぐり初めて出来た彼女を喜ばせようと躍起になっていった。
会えない日でも1日1回はメッセージのやり取りがあったし、周りからからかわれて夫婦だなんて言われることも。
中学3年の時には、苦手な勉強を頑張り同じ高校にいけるように努力し始める。
しかし、そんな俺の努力は最悪な形で裏切られる。
それはクリスマスの日のことだ。
中学3年になり、同じ高校に行くための猛勉強をしていた俺は、メイと会うデートする時間が露骨に減っていた事もあり、クリスマスぐらいはデートに誘おうと考え、久しぶりにメッセージで会えないかと聞いて見た。
返信は家族でクリスマスを祝うための準備で買い物に行くからクリスマスは会えないと言う淡白なものだった。
しかも半日ほど遅れての返信だった。
付き合いたてはほぼノータイムで返って来てた事を思うと、だいぶ寂しい思いをさせて拗ねちゃったんだなとその時は呑気に思っていた。
ちゃんとメイの事を考えていれば、クリスマスの準備の買い出しを比嘉川がやった事なんて1度もない事に気づけたはずなのに、この時の俺は予想外に断られた事で気づけなかった。
クリスマス当日。
せっかく空けた予定を、勉強に費やすのはもったいないと、自分に言い訳をして隣町のゲーセンに久しぶりに行こうと思い立った。
小学生の頃はゲームを買って貰えなかったのでゲーセンで格ゲーやったりするのが好きで、良く通っていたのだ。
中学に入ってからはクレーンゲームの景品のフィギュア欲しさに突撃するようになったが。
だからゲーセンには楽しい思い出が詰まっている。
勉強の息抜きとクリスマスデートを断られた慰めにはちょうどいい、そう考えた。
そこで事件は起こった。
駅付近にある全国展開されているゲーセン。
そこは地元でも有数の大きさを誇り、この辺で遊ぶ所といえば候補に必ず上がるぐらいメジャーなスポット。
だから知り合いと会う事ぐらいは想定済みだった。
クレーンゲームの景品が前に来た時よりだいぶ入れわっていたから1周見て回ろうと店の奥まで行くことにした。
そこでにあるプリクラの機械には数名のカップと思われる男女が並んでいたのだが、その先端今まさに撮影中の人の靴には見覚えがあったのだ。
比嘉川はファッションセンスもあってあまり人と同じものを身につけたりしないからその特徴的な靴にはすぐに気づけた。
ただ誘いを断ってプリクラを取りにきたのなら別にそれでも良かった。
俺は比嘉川を束縛するつもりはなかったから。
でも俺は見てしまった。
その奥に見える男物の靴。
比嘉川よりも一回り大きい紺色のスニーカー。
俺は咄嗟にクレーンゲームの影に隠れて息を潜めた。
そして願う。
他人であってくれ。
たまたま同じ靴を履いた女であってくれと。
しかし現実は無情だ。
プリクラの撮影を終えて出てきた2人の男女の女子はどこからどう見ても比嘉川だった。
特徴的な赤い髪と最初の方のデートの時につけていた髪飾り、そしてベージュのダッフルコート。
比嘉川のコートはボタンが付け替えられていて、他人と見間違えることはありえない。
いくつかの証拠からその女を比嘉川と断定した。
そして2人は恋人同士のように腕を組み仲良くクレーンゲームを始めた。
さすがにこの空間にいるのは精神的に辛いと思いここで退出。
数日経って俺から別れを切り出し、あっさり承認され別れた。
俺が受験勉強に力を入れすぎて比嘉川との時間を取れていなかった事が原因なら俺にも非があるとそう思って追求するようなことはしなかった。
そしてその日から俺は失恋のショックを勉強にぶつけた。
もう年明けには受験が迫っているというタイミング、出願変更も出来ない。
これで落ちたら俺はとても惨めになる。
それだけは避けないといけないとの思いから、人生で初めて寝る間も惜しんでの勉強ってやつをした。
ひたすら参考書を解き、間違ったり答えが分からなかった箇所を復習する。
自分を追い込むために自主的にゲームとパソコンを封印した。
そんな死にものぐるいの努力の甲斐もあって無事合格。
4月から晴れて高校生になることができる。
問題は元カノとなった比嘉川も同じ学校に通う事になっている事だ。
別れるなんて全く想像もしてない過去の俺の軽率な行動の結果だから今更文句を言うつもりはないのだが、せめて違うクラスになることを願いたい。
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