復興に潜む
「親方ー! 建材持ってきました!」
「おう、その辺の空いたスペースに置いといてくれ! 後に来た奴らが使う分だからな!」
アキトがエイシャと激闘を繰り広げていた時間帯。
夜叉とニューエイジ、デュラハンライダーが激闘を繰り広げたハイウェイ付近。
戦闘の余波で崩落した住宅やビルの補修工事に精を出す職人たちがいた。忙しくも、異世界側の技術流入によって作業形態が変わった事もあり、安全・迅速に修繕が進んでいく。
「この分野に関わって長いこと稼がせてもらってるが……今回の被害は特にひでぇな」
「インフラも大打撃を受けたんでしたっけ? 魔力機器の調整が全部乱れたとか? そっちの畑で仕事してる人は大変でしょうね」
「アストライアが変なモンぶっ放したせいだろ。なに考えてんだか知らんがな。夜叉がまともに戦ってる分、批判が集まんのは当然だ」
呆れた口調で親方がぼやく。
世間は先日のゲート被害に対するアストライアの行動を疑問視していた。
魔力エネルギーに干渉し、減衰させるフィールド発生装置を予告なく発射したこと。
それに巻き込まれた夜叉、ニューエイジが損害を食い止めんと全力を尽くしたこと。
元々夜叉という存在に否定的な政界の人物すら、今回はアストライアに非があるとして苦言を呈していた。
「まあ、俺らとしちゃあ仕事をやるだけだ。小難しい話は関係ねぇ」
「それもそっすねぇ……今日はこの区画と、どこに行くんですっけ?」
「工業区東部にあるインベーダーの死体処理場、あそこの撤去作業だ。つーか、結構前に周知させるメールが出回ってたろ?」
「あー……? インベーダーの体液が原因で建築物の劣化が激しいから、っていう理由でしたっけ? それでウチの会社にお鉢が回ってきたと。うへぇ、ヤだなぁ。血生臭いの苦手っす」
「泣き言いうな。直接死体に触る訳じゃねぇんだ、割り切れ」
互いにぼやきながら、二人は作業現場を後にする。
彼らが向かう先で、放棄された魔核が怪しげな光沢を放っていた。




