地球攻略編⑮~創造神討伐へ~
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輝いているVR装置に飛び込むと、白しかない色の世界に放り出され、何もできずに漂う。
先に入っていたマロンの姿はなく、俺の体も大きいまま戻っていない。
(なんだこれ? どうしろっていうんだ?)
動こうとしても目的地が無いので、どこに行けばいいのかわからない。
すると、俺の足先を誰かが引っ張ってくる。
「マロン!?」
「キュッキュー」
マロンが現れた瞬間、何もないと思っていた空間へ足が着いた。
俺の両足が着くと、マロンが何もない白い空間に向かって走り出す。
(追えばいいのか!)
天音が言っていたマロンに案内されるという言葉を思い出し、駆け足で追いかける。
追い付くとマロンが俺の肩に飛び乗り、体が光を帯びて目線が徐々に低くなっていく。
「キュー!」
鳴き声を上げた瞬間、俺の頭に聞き慣れた声が響いてくる
『なんで戻ってきちゃったんですか!? 今すぐに戻って、こっちの世界に関係のない一也さんは幸せに暮らしてください!!』
レべ天が頭の中で喚き散らして俺へ暴言を吐いてくるので、神獣になったマロンを見つめた。
『うるさい!! 俺は俺の好きなように生きる。それに……照屋天音、お前も笑顔になってほしいんだ!!』
『私はあなたに幸せになってほしいんです!!』
『それなら、俺の幸せから勝手にいなくなろうとするな!!』
『えっ!?』
戸惑うような声を上げて黙ったので、本物の天音へ積りに積もった不満をぶつける。
『大体な、俺の幸せを勝手に決めつけるのがうっとうしい!』
『で、でも私の勝手で一也さんを――』
「俺が1度でも後悔したのか!? そんなことを考えたこともない!! 拳でモンスターを倒している方が幸せなんだよ!!」
早く戻りたいのに、見えない出口に向かって走り続けているうっぷんも重なり、立ち止まってきつい口調で叫んでしまった。
肩に乗るマロンがビクッと体を震わせて驚いているのを承知で、天音への言葉を叫び続ける。
「天音!! さっさと俺をそっちに戻せ!! お前が阻んでいるんだろう!? 早くしないと一生ダメ天って呼ぶぞ!!!!」
頭の血管が破裂するんじゃないかと思うくらい全力で声を出した。
案の定、光が俺の前に集まり、天音が姿を現す。
「そんなに言うことないじゃないですか……後悔……しませんか? 今ならまだ――」
「しない! 俺の拳が振るえる世界を拒むはずがないだろう?」
押し黙る天音は下を向いたまま俺の目を見ようとしない。
さっさと俺の気持ちを伝えるために、天音の頬をつかみ、俺の方を向かせた。
「天音、よく聞けよ」
「ムギュ」
俺が頬をつかんでいるので、返事のようなうめき声を出す天音の目を見つめる。
「お前を含めたみんなに幸せになってほしいんだ……だから……勝手に俺の前から消えようとするな!」
そう言い放って天音から手を離し、急に恥ずかしくなったのでなにもない空間へ顔を向けた。
高鳴る心臓の鼓動を押さえていると、天音の反応が気になってしまう。
横目で天音の様子を確認したら、目を丸くして呆然と立ち尽くしていたため、気が抜ける。
「何をしているんだ?」
「えっと……私は……今……求婚……されたんですか?」
「ばーか」
色々ぶっ飛んだ思考になっている天音を正気に戻すために額を小突く。
しかし、天音はそれでも嬉しそうに微笑みながら俺にすり寄ってきた。
「じゃあどういうことなんですか? 離れるなってことは、私が近くにいないと不安になるんですか?」
どうなんですかと聞いてくる天音がうっとうしくからんでくる。
こういうことになるからあまり天音を調子に乗らしたくなかった。
「全部終わらせてから話してやるから、今は俺を戻せ」
天音が慈愛に満ちた表情を俺へ向けると、背後に風景が見え始める。
そこには魔王が不可侵領域を侵攻し、ゲートを目指しているように見えた。
「一也さんに会えて、最後に良いことを聞けて私は幸せでした」
「最後になんかしない。行くぞ」
天音の手を取って先へ進もうとするが、一歩も動こうとしてくれない。
この期に及んで何をためらっているのか声をかけようとした時、天音が震えていた。
「お願いします……あなたの力で世界を救ってください……」
一番初めに会った時とは違い、泣き崩れてぐしゃぐしゃの顔で、願うように俺を見ている。
そんな彼女にかける言葉は1つしかなく、俺は力強く頷いた。
「任せろ。敵は創造主なんだな?」
「そうです。すべてを生み出した存在で、今は魔王の体を乗っ取って人類を死滅させようとしています」
後ろに見える魔王が2回り以上大きくなり、禍々しい魔力をまき散らしている。
創造主は直接元の世界へ強制的に戻すほど俺を恐れているので、俺には倒せるという自信があった。
「それなら話が早い! もう1度魔王を倒せば終わりだな!!」
「一也さん……よろしくお願いします」
「天音、力を借りるぞ?」
天音は静かにうなずくと姿を消し、魔王への道をはっきりと作ってくれた。
魔王へ続く、光り輝いている道を歩きながら、俺は自分に託されたものを認識した。
(みんなが俺のことを信じてくれている)
守護神である天音を始めとして、各守護者が俺を信じてくれている証がこの体に宿っている。
自分の魂を燃やし、使えるすべての力を拳へ込める。
『私たちの力をすべてお渡しします!!』
世界を移動して、再び魔王と対峙しようとする直前に、頭の中で天音の声が聞こえた。
「任された!!」
叫ぶと同時に俺に体が自由落下を始め、魔王の頭上に飛び出ることができた。
空を切る風とともに黒い魔力が俺へまとわりつこうとしている。
「帰ってきたぞ魔王!! いや、創造主!! この一撃でお終いだ!!」
自分の体に宿る力を全部一気に解放すると虹色のオーラが発生し、黒い魔力を振り払う。
惜しみなくオーラを注ぎ込む俺は、眼下にいる魔王に狙いを定めた。
「波動鳳凰拳!!!!」
虹色の鳳凰が金色の光をまき散らしながら一直線に魔王へ向かう。
鳳凰が魔王に当たると、世界中に虹色の光が飛び散り、衝撃で俺の意識が途絶えそうになる。
『一也さん、ありがとうございました。あなたのおかげで世界が救われました』
天音の声が途絶えそうになりながらも優しく頭に響き、世界を救ったことを教えてくれた。
自分の使命が終わったことに安堵して、俺は意識を手放した。
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魔王に取り込まれていた創造主は正気を取り戻し、再び世界を見つめるだけの存在になったそうだ。
守護者たちもそれぞれ持ち場に戻り、モンスターを抑え込んでくれている。
絵蓮さんたちの協力で世界中に存在するすべてのダンジョンのボスや、フィールドにいるモンスターを倒せたので、今後千年近くは狩りをしなくても平気だと言っていた。
学校へ行くための準備を整え、玄関で靴を履いていたら勝手に扉が開く。
「一也さん、一緒に行きましょう」
ご覧いただきありがとうございました。
佐藤一也の物語はこれで終わりになります。
ここまで拳王を読んでいただき、誠にありがとうございました。
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