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第20話:天才高校生は少女と出会うようです

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数日後、時刻はお昼より少し前、ケンタはローベルク王国王都ローベルクス近郊を鳳凰騎士団が用意した馬車に乗って進んでいた。


鳳凰騎士団長のアリスがケンタに向けて言った



「ケンタさん、もうすぐ王都に着きます。王都に入ったら先遣隊に宿を取らしたので泊まっていただきます。明日王宮から使者が来ると思いますので使者にはついていってください」


正直めんどくさいと思ったがこれも半年後の花の学園生活のため。


「ああ、わかった。」


「そろそろ王都です。スタンピードを討伐したので鳳凰騎士団の凱旋パレードが行われます。本当はケンタさんが倒したのですけどね。あまり口外したくないとおっしゃっていましたし騎士団が討伐したということにしておきました。」


「まあ、ほとんど無意味だろうな。どうせフェーレンの冒険者達や騎士団員が言いふらすだろし、時間の問題だと思う。しかも冒険者ランクは上がってしまった。」


「冒険者ランクが上がった?まああれほどの活躍だとランクアップは普通でしょうね。ランクはEから何に上がったんですか?」


「ああ、確かAランクに上がった。」


アリスは大声を上げて驚いた。


「えええーーーー!?」


そして荒れた息を深呼吸して整えるアリス。


息を吸うときに張る2つの大きなメロンに目のやり場に困ってしまう。だがそこは紳士であるケンタにとってその対策は嫌というほど教えられた。


素数を数える事だ。


2、3、5、7、11、13、17、19……



そんなふうに気を紛らわしているとアリスが口を開いた。


「取り乱して申し訳ありません。淑女として恥ずかしい行為でした。忘れてください。」


どうやらアリスは自分のことを淑女だと思い込んでいるらしい。まあ、一応貴族のようだし、無礼を働くわけにはいかないよな。でも口調は変えるつもりはない。さすがに国王とかなら敬語は使わなければならないだろうが…。


「ええ、忘れます。安心してください。」







そんな事を話した後、時は少し進んで今、王都ローベルクスの門に着いた。


門番の兵士が高らかに声を上げた。


「鳳凰騎士団のおかえりだーーー!!!」


そしてフェーレンとは比べ物にならない大きな門が開かれる。


ちなみにケンタは目立ちたくないので馬車から降りている。


そして大きな門をくぐった先に見えたものは素晴らしい景色だった。


目の前には一本の大通りがあり、横に民衆が集まって視線をこちらに向けている。その視線は羨望の眼差しである。王国民にとって、国に雇われるということは一種のステータスのようなもので、特に近衛騎士団、鳳凰騎士団は騎士を目指す王国民の憧れなのである。


鳳凰騎士団の姿が見えた途端、民衆達が大歓声を上げる。


『うおおおおー!!!』


大観衆の中を突き進む騎士団はこんなにも多くの人に帰還をお祝いされてさぞ嬉しかろう。


そうして次第に出迎えから祭りのような雰囲気になってきた。


そこでアリスに言われた。


「ケンタさん、ここら辺で祭りに参加されてはどうですか?」


「ああ、分かった。そうさせてもらう。」



大通りにはいつの間にか沢山の屋台が出ていて、お祭り騒ぎだ。


「今日は騎士様のご帰還を祝って特別価格!銅貨3枚でビッグボアの串焼き5本だ!」


それを聞いたケンタは急いで、その声が聞こえた屋台に向けて走った。


昔、総司との学園祭のように。


走って着くと1番だった。


早速銅貨3枚を渡し、串焼きを5本もらう。


朝は騎士団の携帯食料を食べていたので、今はものすごくお腹が空いている。


だから食べる勢いは凄まじかった。


一口かぶりつくと、止まらない濃厚な味、噛むごとに溢れ出てくる肉汁がケンタの顎を動かせと促す。


「美味しい。」


気がつくと5本全て食べ終わっていた。


ボリュームもあったので結構お腹いっぱいだった。


アリスのところにもどり、宿を聞き、今日は別れた。


宿では名前を言えば泊めてくれる手筈になっているらしい。


もちろん宿に行って早めに休むためだ。王都は予想以上に大きく人口が多い。


そしてアリスに教えてもらった通りに宿に向かっていると後ろから強い衝撃を受けた。


ドンっ!!


すぐ振り返ると地面に倒れて目元を帽子のツバで覆い隠している女性がいた。



すぐさまその女性は立ち上がり、口を開いた。


「も、申し訳ありません!ですが少し逃げていて隠れるところはありませんか?あのいえっ!決して怪しいものではないのですよ?」


「断る。そんな事してなんかメリットあるのか?」


「ないです。」


それを聞いたケンタは歩いていた方向へ向き直りゆっくりと歩き始めた。


後ろについてきているのがバレていないと思っているのか、その少女はついてきていた。


なんなんだ、コイツ。


もう少しで宿だ。少し急ぐか。


そうして早足で宿に向かい始めると少女も後ろからついてきた。


これは何言ってもついてくるねちっこいやつだな。

ケンタは向き直って少女に向かって口を開く。


「おい、隠れるところならいっぱいあるだろ?あの店とかそこの店とか、なんで俺なんだ?」


「あなたについていくと大丈夫な気がするんです!もうすぐ追手がやってきます。お願いです、少しの時間だけ隠れる場所を提供してもらってもいいですか?」


そんなうるうるした目で見つめられても困るんだが?

でも一時間だけだ。宿の人に事情を話せば入れてくれるかもしれないがおそらく、というか100パーセント立ち入りを禁止されるだろう。明らか不審者だし。これでこの少女とはおさらばだ。


「分かった。俺の泊まる宿について来い。宿の人に事情を話せばいけるかもしれない。」


と、可能性のない事を言う。


それを聞いた少女は帽子を取りお辞儀をした。その顔はどこかリディアに似ていた。


「ありがとうございます!」


そうしてケンタと謎の少女は宿に向かって行った

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