限界レベルと再戦

「……え？」

　魔核から４体の強そうな個体の召喚に成功し、グドラを使ってレベリングをしていたタイミングでその音声は流れた。

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限界レベルに到達しました

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　ボードを見ていたので、５００レベルになるまでは無縁だと思っていた限界レベル。本来の予定であれば、現在のレベリング場である深淵の森深層の全ての殲滅者の称号を取ってから王都に戻ろうと思っていたのだが断念することになった。

　ちなみに、今のステータスは

名前：レンジ

種族：エルフ

レベル：９９（＋）

方向性：【遠距離物理】

職業：連撃王Lv.56／精霊弓師Lv.49／召喚士Lv.16

ＨＰ：１００／１００

ＭＰ：５０００／５０００

ＳＴＲ：２００

ＶＩＴ：５０

ＡＧＩ：５４５

ＩＮＴ：４００

ＤＥＸ：３００

【スキル】

：

：

である。（＋）と書かれている所を選択しても、祝福を強化してくださいという音声が繰り返されるだけで、それ以外の事は何も発生しなかった。

　方法は何となく察している。

　神殿での祈祷行為、俺であればエルフなので精霊神……いや、精霊王に対して祈りを捧げる。それだけの事だが、この国には神殿という概念が存在しないので、何も分からなければ難易度がとても高くなるだろう。まあ、王都の墓地に有るのだが。

　……ということで。

「ジャァァァァアアアァァァァアアアァァァァ！！！！！！」

　目の前に現れた、以前と同じ姿の『虚骸のバジリスク』。

前回挑んだ時は７０レベル程しか無かったが、今のレベルは９９。祝福強化前の最大レベルである。既にレベリングで大量発生したバジリスクですら倒す事が出来る俺が、一体のバジリスクに苦戦するわけがない。

「【召喚】『グドラ』……出来ません？」

　視界に表示された『召喚不可』の文字に困惑しながらも、相変わらずの勢いで飛んできたブレスと土礫を躱してクエストを探していく。クエスト『嘆きの怨霊』。達成条件は『嘆きの怨霊』の討伐と有るが……ソロ討伐という事なのか？それなのに、依然として精霊達は……ヤミ、ライ、ファイ、アースの四人しかいない。すると……あの頃と同じ条件という事だろうか？その割にはレベルは上がっているしヤミは進化しているしライは変異している。

　何処らへんまでが許されているのかは分からないが、だいぶ緩いのは間違いないだろう。ただ、【チャージ】をする事が出来ないのは想定外だった。【チャージ】をした後の【サウザウンドアロー】【インパクト】【ブラスト】は深層でも余裕で複数体の敵を一撃で沈める事が出来ていたのだが。

「【ハンドレッズアロー】【インパクト】【ブラスト】」

　一応、【チャージ】無しでも【サウザウンドアロー】【インパクト】を放つ事は出来るのだが、通常より強化されているらしい『嘆きの怨霊』を一撃で倒す事が出来るのかは少し不安が残ったので、【ハンドレッズアロー】を放つことになった。

「ジャァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛！！！！」

「ッ……まあ、倒せるわけないよな」

　顔を守ろうとした腕を潰す事が出来たとは言え、まだ倒す事は出来ていない。こんな時にグドラを召喚できれば本当に楽なのだが……まあ、出来ないことを嘆いたって仕方がない。別に倒せない訳でもないし、これからずっと連射を続けて【連射】【天射】による攻撃力上昇効果を高めて、合間合間に【ハンドレッズアロー】を射れば良いだろう。

「【ダブルショット】」

　クールタイムの間に、一番連射に貢献するであろうスキルを連発していく。【ダブルショット】は【ハンドレッズアロー】と違ってクールタイムも短く、判定が同時攻撃ではなく連続攻撃なので【連射】補正も入る。消費ＭＰもとても少なく、とても重宝しているスキルだ。

「【ダブルショット】」

「ァ゛ァ゛ア゛！！！」

　上手い具合に隙間を抜け、残っていた左目へと矢が突き刺さる。……矢にバフはあまりかかっていない筈なのだが、これがレベルの力なのだろうか。

「【ハンドレッズアロー】【インパクト】【ブラスト】」

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特殊クエストのクリア条件を満たしました。

『嘆きの怨霊』

▼報酬▼

称号【鎮魂者】

ＳＴＰ５

ＳＫＰ５

スキルレベル限界上昇チケット×１

１００００Ｇ

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「……え？」

　思ったよりも呆気なく終わったバジリスク戦。ドロップアイテムが無かった事にも驚きだが、その場にバジリスクの死体が残らなかった事も驚いた。

　まあ、一度倒した敵だからそんな事も有るのだろう。視界に表示された『フィールドを移動しますか？』という質問に対してはいと答え、元のフィールドである墓地区へと移動した。

「さて……」

　この墓地区、神殿までの道は一直線で存在するが、少し脇にそれるだけで一瞬で穴に落ちる事が出来る。その穴は迷宮の様な構造になっているが、階層という物は一切存在しないらしい。出てくる魔物は主軸が人型のアンデッド。奥深くへと潜れば潜るほど、今まで『嘆きの怨霊』で倒された事が有る敵キャラも出てくるらしい。

「バジリスク……まあ、良いよな？」

　階層というものが無いので稀に上へと上がってくるらしいが……まあ、誰かが倒すだろう。