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偏り

 楓さんが『うがぁー!』とでも言うかのように見たいコールをしている間に、レイナさんとユウさんが一緒に入ってきた。


「十六夜さん…その方が?」

「うん、楓」

「凄い有名人な気がするのですが」

「レイナさん…多分、十六夜さんも同じぐらい有名ですよ?」


 唐突に入ってきた二人を事前に察知出来ていたのか、楓さんは一瞬で猫を被ることに成功していた。


「楓さん、はじめまして。『衝撃士』のレイナです。このクラン【PRECEDER】のマスターをやらせてもらっています」

「わざわざご丁寧に…。『裁縫師』の楓だよ。営業に関してはこのまま続けて良いらしいし、是非入らせてもらえると嬉しいかな?」

「是非是非。私達は楓さんを歓迎しますよ」


 一瞬、”私達”と言ったところで俺とユウさんを確認していたが、断る理由がないどころか確実な売り先が出来る訳だから、俺も歓迎したい。地味にレイナさんや楓さんの第2職業が気になるが…よく考えたら一人も知らないな。

 多分十六夜さんは双剣士とかそういった感じのと精霊術士だろうけれども、他は一切分からないし後で聞いてみよう。


「お、おじゃましまー……ここで合ってるよな?大丈夫だよな?」

「…ソラ?え、違かったりするの?」


「あ、知り合い来たんですが…」

「お願いします」


 扉の前に立っていたレイナさんとユウさんが移動したのを確認してから、部屋から出ていく。視界に入ったのは…入り口で困惑しているソラとその友達らしき人物、後ろで悪い顔をしている姉の姿だった。


「ソラ…後ろ危険」

「んぁ?…あ、どうも」

「え…、どうも」

「!?」


 ソラと友人らしき人物のど真ん中に良くわからないパン?を振り下ろす姉。ソラはそこまで気に留めなかった様だが、友達さんの方は驚きで固まっていた。


「姉ちゃん…何それ?」

「フランスパン」

「あっはい」


 姉はソラの反応がそこまで面白くなかったのか、そのまま素通りして部屋の中に入ろうと


「いや、まてまてまて。何やってくれてんの?」

「…つい衝動で」

「衝動で初対面の人にフランスパン振り下ろす?」

「レンジ」

「ソラ、ちょっと待って」

「あ、いや。ユーモア溢れるお姉さんは今はどうでも良いからさ…あれやばくない?」


 どうでも良いと言われて良く分からない顔をしている姉は無視し、ソラの指差す方向に目を向ける。…と、開いてる扉の先で談笑している楓さんと、十六夜さんの姿が見えた。レイナさん、ユウさんの姿は見えないが、反対側の椅子にでも座っているのだろう。

 …あの椅子ぐらいだったら簡単に作れそうだな。


「何がやばいの?」

「いや、有名人!」

「あー…?」

「何だその理解してそうでしてなそうな顔は」


 何だその顔は。

 言いたい事は理解しているつもりだが…まあ、そこまで気にするような事でも無いだろう。そんな事を言っていたら【瞬光】などでは一々反応していかないといけなくなるだろうし。


「あ、あのー…レンジ、さんですか?」

「ん?あ、はいそうですね」

「僕はイサって言います!そ、その、弓の使い方を教えて頂けるとの事で…その……」

「あ、それレイナさん交えたほうが良い気がするから少し待ってもらっても良い?」

「は、はい!」


 イサさんに無言で部屋へと入っていった姉の後をついていくよう促し、ソラについ気になってしまったことを聞いてみた。


「なぁ…フランスパンをスルー出来る精神はどうなってんの?」

「…俺実はいきなり召喚獣を殺されたことがあってな」

「へー、そんなこ」

「分かって言ってるよな!?勿論分かってんだよな!?」


 大声を出し始めたソラを宥めながら、イサさんの後から部屋に入っていく。元々は4つしか無かった椅子が8個に増えていたので、わざわざ作り出してくれていたのだろう。

 正直、フランスパンに関してはそれを言われてしまうと何も言えなくなってしまうので……いや、本当に反省してます。


「これで…全員ですよね?」

「はい。俺の知る限りだと」


 いるのは時計回りに俺、姉、十六夜さん、楓さん、ユウさん、レイナさん、イサさん、ソラだ。男性率が3割を越えていると考えるとだいぶいい感じではあるだろう。


「あ、それとレイナさん。こちらの…イサさんに弓の扱いとかを教えてくれたりとかって…」

「全然良いですよ。折角ですし、後で時間があれば下に作られた修練場で一緒にやれると良いのですが…」

「え、あ、はい!是非お願いします!」

「わ、私も参加していいですか!?」

「ええ」


 一部の人からすれば垂涎物の約束を取り付けることが出来た。これは、俺が教えられるような事は何もないような気がするし、レイナさんに色々と教えてもらおう。


「…レンジの知り合い、偏り過ぎじゃないか」


 ボソッと声を零したソラを見ると、能面の様な顔をしていたが…俺もソラには来てくれたことに対して心を込めてお礼を言いたい。


「ありがとう、まじでありがとう」

「…煽り?」


敵の攻撃:神剣フランスパァンッッ!!!


前歯が欠けた!


貴方はどうする?

▶齧る

▶齧る

▶齧る

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― 新着の感想 ―
[良い点] キツネタイプの美人なんですね。(違う) [気になる点] 考えるな、囓るんだ!(だめ) 薄切りするんだよォ! [一言] ろりこん? システム的には何故少女タイプばかりなんでしょうね? 次…
[気になる点] もし違ったら申し訳ないのですが 眉唾物と垂涎物を間違えてませんか?
[一言] かじった状態のまま首を振り抜くことでフランスパンスイング(横薙ぎ)
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