レベル
「じゃ、行こう」
「あ、レベル高いんですね」
「レンジも。なんでまだ?」
「…気づいたらレベルがここまで」
十六夜さんのレベルは74だった。レベルランキングを見ると、安定の1位。2位が72、3位に71が4人。…2位転落してたのか。十六夜さんに勝てる気はあまりしないけれども、1位目指してみようかな?
「…王都でもいける」
「へー…え?」
「?」
「いや、俺ミスリルゴーレム倒せないですよ?」
「相性?…多分」
「二人とも高すぎ」
「…ルイも高い、と思う。ここだと」
因みに、姉のレベルは61だ。それでも高いのならば…俺高すぎるのか?前俺がミスリルゴーレムに挑んだ時もそのぐらいのレベルはあったような気がするのだが…。
「アタッカーに恵まれてないのよ…」
「なら、今日はいける」
「よしいこー!」
「あ、」
「いつも迷惑かけてすみません」
「引っ張ってくれる。楽しい」
「それ多分自己中なだけな気が…」
先に入っていった姉を十六夜さんと追う。まあ、中で待っていてくれたみたいなので追う程でも無かったが。道中の敵は全て俺が矢で倒して進んだ。
十六夜さん曰く、途中まで一緒だったレイナさんも同じような事をしてくれていたそうだ。まあ、うん、納得。何処らへんまで一緒だったのか聞いた所、王都につくまでは一緒にいたらしい。何やらクランを作るとかそういうので…そう言えばレイナさんに何も連絡を入れていない。…ミスリルゴーレムを倒し終わったら速攻で連絡を入れないと。
「行くよ」
「「ん」」
「あ、被ってる」
「……で、ルイはタンクこなせるの?」
「前は出来無かったけど、今回は問題ない」
「…一応動く事にする」
取り敢えず、開幕ブッパは安定だろう。動きを減らすためにも、足をテンスアローで狙うつもりだ。
部屋に入ると早速、ミスリルゴーレムが出現した。
「【テンスアロー】【クイック】【インパクト】【ペネトレイト】」
動き出すために踏み出した右足を狙って攻撃すると、足が爆破し、ミスリルゴーレムが躓いた。
「うわっ!?レンジ!そういうの先に言って!」
前の方で構えていた姉は、倒れ込んだミスリルゴーレムに潰されそうになりながらも、ギリギリの所で躱していた。
「チッ」
「舌打ち!?」
「冗談冗談」
「……顔笑ってるけど?」
「なら良いんじゃないの?」
「……確かに」
姉とアホな会話をしながらも、一応矢の連射は続ける。十六夜さんも黙々と表面を削っていくため、当てない様に気をつけながらやる必要は有るが、十六夜さんが上手く動いてくれているおかげか、個人の時と然程大差無く連射をする事が出来た。
…レイナさんとユウさんは王都までこれをやっていたと考えると凄いと思う。
「ルイ動かないの?」
「いや、やること無いんだけど…」
「…応援?」
「十六夜が珍しく冗談言った!?」
「「え…」ん?…応援どうぞ」
十六夜さんが表面の削りを、俺が十六夜さんがいない所に矢を射ているので、AGI値がそこまで高くない姉は手持ち無沙汰になっていた。…これなら一人でも行けただろう。
俺の『え…』は冗談を言わないという所だったのだが、本気で言っていた様子の十六夜さんがまた黙々と削り始めたので、俺も黙々と連射を続ける。
『頑張れー』と棒読みを続ける姉を他所にミスリルゴーレムは削れていき…
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ミスリルゴーレムを倒しました。
▼ドロップ▼
ミスリル鉱石×3
壊れた魔核×5
20000G
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「おつかれー…」
「うん…」
「ありがとうございました」
「……」
「レンジこういう感じだから…ゆっくり、ね?」
「…そうする。でも、むず痒い」
思ってたよりも簡単に倒すことが出来た。これで第六の街に行けるようになったが…どうしようか。
「この後どうするの?」
「まだ決めてない。ルイは?」
「第六の街を探索かなー」
「…レンジ、森じゃないの?」
「?吸魔の森ですか?」
「試練の森。前、知り合いが、レンジはそっちの方を攻略してるって」
「?別にそういう訳じゃないんですけど」
「…ごめん」
「いえいえ、気になるんで試練の森行ってみます」
「気を付けて」
第六の街へ移動し、十六夜さんと姉と別れた後にレイナさんにメールを送ってから、第六の街周辺の草原ボスであるグランドタートルを倒して、試練の森へと移動する。
試練の森の入り口は、なんと言うか特徴的だった。木が複雑に絡み合い、一列にならないと入れないような隙間しか無かった。
ただ、入ってみると普通の森となっていて…気配感知で微妙に感知できない魔物ばかりが大量にいた。アサシンスネイクよりも感知しづらいのだが、これ倒せるのだろうか?
「…しかもクロ召喚できないし」
…一体も倒せないかもしれない。




