消費税?
……。
「さて…」
ま、まずは楓さんの所に行って『密蛇のローブ』を作って貰おう。幸いな事に…幸いな事に素材はギルドとストレージの中に沢山有る。お金だって300万Gは有る訳だから、きっと作ってくれるだろう。……確率いくつなんだろうなぁ。
そもそもバジリスクじゃない理由も分からないし、土竜の攻撃の射程が伸びた理由もわからない。…土竜の開幕の攻撃は様子見って事なのだろうか?まあ、終わってしまった事を気にしても…なんでローブ何だろうな…。他にズボンやら胸当てやら何個も選択肢があっただろうに…。
楓さん宛にメールを送る。取り敢えず、『そちらに行っても良いですか?』とでも。理由説明は直接会ってからで良いだろう。それから、リスポーン地である始まりの街の中心からギルドへ移動し、預けているお金と素材を回収した。
「はぁー…」
5分程して返信が来た。前と変わらず、第二の街にいるらしく、行けばすぐにでも対応してくれるらしい。
「おぉー…」
前回行った所に行くと、前よりも見栄えの良い店があった。それに、大きさも格段に大きくなっており、俺がそれを見てボケっとしている間に人が中から出てきたりした。
前回同様、『カランコロン』と音を鳴らしながらドアを開ける。
「おじゃましまーす…」
「レンジ君いらっしゃ…その様子だと『密蛇のローブ』をデスペナで失くした感じかな?」
「分かります…?」
「うん。だって、装備してないし、明らかに気落ちしてるもん。それに、私の所に態々来るような理由なんてそんなとこでしょ?」
「そんなに表に出てるんですか?……、まああってるんですけど」
確かに、運が悪すぎて嘆いてはいるのだが、そこまで表に出ているのだろうか?
「ま、まあ気にしないでさ!…一式有るけど買ってく?」
「あ、是非お願いします」
「じゃあ、ブーツ、ズボン、胸当て、ローブ、手袋で…100万で良い?」
「是非。因みに…素材の買い取り出来ます?」
「良いよ〜。なんか、皆素材を持ってきてくれるようになったから、職業レベルはどんどん上がるし、お金は稼げるし。1000万ぐらいまでならいくらでも買い取るよ!」
1000万…。桁が違う。取り敢えず、100万と装備一式をトレードし…胸当てが装備できない。…どこでレベル上げをしようか。今までだと深淵の森中層が本当に良かったのだが、仕方がない。
だと…第五の街迷宮辺りが丁度良いか。まあ、今は素材を売ってしまおう。
「取り敢えずアサシンスネイクとポイズンスネイクの皮500ずつで良いですか?」
「んん!?!?」
「ん?」
「…まじ?」
「まじ?」
「いや、何で疑問系なの!?私が聞いてるんだから答えてよ!」
「あ、すみません。まじです」
「…1000万で良い?今手持ちそれだけ何だけど…。ギルド行けばまだ増やせるよ…?」
「因みに普通に買い取るとしたらいくらになるんですか?」
この様子だと、もう少し高めなのだろうか?1個1万でも十分高いと思っているのだが…。ただ、俺以外にも素材を持っていくことが出来る人達がいる中で、金額が上がるとは思えない。ポイズンスネイクだと高くなるとかが有るのだろうか?
「あ、それは普通に1000万だよ」
「…何故?」
「ん?アサシンスネイクとポイズンスネイクの皮は両方共1万で買ってるから」
「そういう訳ではなく…何故、1000万よりも増えると言ったようなニュアンスを?」
「あー。それは単純に、纏めて持ってきてくれたボーナスみたいの?ボーナスがあったほうが持ってきてくれるようになるでしょ?どう考えても素材収集能力はレンジ君が圧倒的だから、唾は付けとくべきかなーって」
要するに、俺がもっと素材を持ってきてくれることを期待して。という訳だろうか?それだと、厳しいものが有る。一応、ツインヘッドベアの毛皮や、ツインヘッドウルフの毛皮は結構持っているが、これ以上集めるのは難しい。次のフィールドは……今の状況だとどう考えても無理だろう。
「期待されても困るんで、1000万が良いです」
「ちぇー、まあ仕方ないか。んじゃトレードしよっか」
「はい。…なんで1100万?」
トレード画面を見ると、相手側に1100万Gと表示されていた。
「消費税?みたいな」
「んじゃ、俺も消費税を」
取り敢えず、50ずつ増やす。皮は一体から平均2、3個落ちていたので、余裕がないことはない。流石に今後共にこの量を定期的に出すのは無理が有るが、100ずつぐらいなら全然問題ない。
「えー…じゃあ私もー…」
「じゃあ俺も」
「…私も」
「俺も」
「私…も」
「俺も」
「…私もっ」
「俺も」
「……レンジ君無理してない?意地張る必要ないんだよ?」
「安心して下さい。まだ余裕はあります」
実際の所、まだ何とかなる。2000万近くまで上がっており、そろそろアサシンスネイクの皮が無くなりそうだが…ポイズンスネイクで何とかなる。
「……こ、ここらへんで」
「あ、じゃあ俺最後に税率上げときますね」
「ぎゃああああ!!!」
流石にその量を買ってしまうと、売れ残って損失がヤバイことになりそうとの事なので、結局最初の1000万の状態でトレードをした。
そう言えば、学校でフラグ建築・回収業者って言われたことがあるんですよね…。




