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足場の重要性

そういえば、総アクセス数1000万突破してました。

いつも読んでくださってる皆さん、ありがとうございますm(_ _)m

今後もまったり楽しんでいっていただけると嬉しいです。

「……っ」


 俺とクワガタがお互いを攻撃しあったが為にここまで至れてしまった蟻達が、我が物顔でグドラの様々な枝を占拠し始める。一応は俺がいる枝にはあまり近づかなかったがそれでも、それ以外の全ての枝にはクワガタの眷属を数の暴力で排除した蟻たちが。当たり前のように存在してしまった。

 それを見て、クワガタが何もしない訳もなく……、


「───!」

「ッッ、【ハンドレッズアロー】【アンチマジック】!!」


 クワガタが放った火の槍を、複数の矢を使って撃ち落としていく。大量の蟻を狙ったからか、それ相応の量の火の槍が生み出されたわけだが……グドラを守るためにも、その攻撃を成功させる訳にもいかない。クワガタの攻撃を全て撃ち落とした事で、クワガタは再び俺へと視線を向けてきたがそれは仕方がない。グドラに直接被害が及ぶよりかは、俺へと攻撃を続けてくれた方が生存率は上がるのだ。


「【撃墜】」


 火球を撃ち落とし、クワガタを見据える。


 ……それにしても、クワガタにしろ蟻にしろ、そこまで好戦的では無いのは何故だろうか。災獣だから、といえば何でも解決するかの様にも思えるが、ライオンの見た目をしていた下位災獣、8つの首に分かれた白蛇の劣化災獣は別にそんな事も無かった。……白蛇に関しては事情が異なるかもしれないが。


「……なんでだ?」


 それを考えると近づき続ける竜巻に……砂の大地。もしかしたらこれにも、俺という”プレイヤー”がいる。という事に関係の無い理由があるのかもしれないが……いまいち想像ができない。


「やっぱり」


 数秒の間俺を見ていたクワガタだったが、俺が攻撃を加えないのを確認するとすぐに、蟻達への攻撃を再開した。そこまで蟻が嫌い……というよりかはグドラに張り付きたいのだろうか。

 グドラに近づくというのは即ちグドラの領域内に入る事になり、クワガタ──下位災獣程度ではグドラとの領域勝負に勝てない事は確認済みなので……毒攻撃を食らう事になる。


「毒攻撃を食らってまで張り付きたい理由……」


 逆に考えると、グドラが無いと困る……、


「あぁ、そういう事か」


 気づいてみれば単純な事だった。クワガタにしろ蟻にしろ、俺と同様に楽に過ごすための大地が欲しいのだろう。


 毒を嫌がったクワガタは基本的に空を飛び、休みたくなった時にすぐ休める場所を確保する為に蟻達を排除しようとする。

 蟻は……空を飛べないのでずっとグドラのそばにいる形とはなっているが、楽に水の濁流をやり過ごすという意味では全くもって問題ないだろう。少し気がかりなのは災獣本体がいない事だが……まあ今はそれを考えても仕方がない。


 竜巻を起こしている災獣にしろ、砂の大地を作り出し……作り出し?

頭の片隅にひっかかる物を感じたので思わず下位災獣を頭の中で数え上げる。


 1つ目は俺が倒した、氷を多用したライオンの様な見た目をした災獣。実際に討伐した際に下位災獣だとわかったのでこれは間違いない。


 次に、目の前で俺に牽制されながらも上手く蟻を排除し始めたクワガタ。これも、実際に目の前で眷属を召喚するという劣化災獣には出来ない事をやったので間違いない。


 その次に、蟻。これに関しては推測でしか無いが……これだけの量の蟻がいる事を考えたら間違いなくこれ等は眷属だろうし、主は下位災獣だろう。


 これで、4体中3体。それぞれの属性は恐らく、水、火、土だろう。


 眷属を生み出す、そして領域を作り出す能力は今までの戦闘、レイナさん達との情報共有によると下位以上の特権であり、多分残りの下位災獣の属性が風になる事を考えると……、


「あの砂……全部領域に関係なく生み出されたものなのか」


 近づいてきた為見て取れるが、永遠に流され続ける砂に、ひたすら生み出され続ける砂。はじめは領域の効果で発生し続ける砂を盾に移動しているのかと思ったが、あれは純粋な力技なのだろう。

 劣化災獣の強さの上下差が相当あった事を考えれば、あの砂を生み出し続けている災獣は、目の前にいる俺が倒せそうだと思ってしまう程度の下位災獣──クワガタよりも強いかもしれない。


 現状で既に発生している大地──グドラの争奪戦は、あの災獣達が辿り着いてしまうと更に激化するのは容易に想像がつく。


「簡単に倒せそうな俺を狙わないのは……俺が死ぬとグドラがいなくなる事に気づいてるのか?」


 自分で言った事だが、プレイヤーでも無い災獣達がそれを知り得る手段など無いにも等しいので有り得ない……筈だ。その可能性が高い気もするのでそう考えて行動するが、もしそうだとしたら上位災獣が水を流すのを止めた瞬間に災獣達に攻撃を加えられ始める訳だ。まあ、逆に言えば……。


「【矢刻ノ雨】【矢刻ノ雪】【領域射撃:攻殺陣】!!」


 水が流れている間はクワガタが率先して俺へと全力攻撃を加える事はほぼ無くなると判断して良いだろう。クワガタの中でのグドラの重要性と俺の邪魔さの天秤が、グドラの重要性に傾いている間に決着をつける。本音を言えば生き残られるとほぼ間違いなく殺されるので攻撃はしたく無いのだが、水が無くなった時の事を考えると今の内に倒しておくしか無い。

 今ならば魔力も全快に近しい量あるので、全力攻撃を加える事も出来る。グドラに攻撃が当たらないようにする為に、多少の制限はかかれど……、


「【サウザンドアロー】【チェイサー】【ペネトレイト】!!!」

「────!!!!」


 MP回復薬を飲み、悲鳴をあげているクワガタへの止めの一げ──


──突風が吹く。


「っお、【ショートワープ】、【スカイジャンプ】!!」


 風があまりにも強すぎた為枝から吹き飛ばされてしまったが、【ショートワープ】と【スカイジャンプ】を使うことでギリギリ元の位置まで戻ることが出来た。蟻の大半やクワガタが今の突風で吹き飛ばされた事に慄きながらも原因であろう方向へと視線を向けると、


「……ゴーレム?」


 何処かで見たことがあるようなゴーレムが、そこには鎮座していた。ハッと辺りを見回しても、何処にも竜巻が見当たらなかったのでこのゴーレムがあの竜巻を引き起こしていた原因なのだろう。


「……ミスリルゴーレムっぽいけど、少し違うか?」


 第六の街へ行くために討伐必須だったミスリルゴーレムを思わせるような見た目をしたゴーレムだが、それよりもやや輝きが強い様な気もする。あの時は火力に物を言わせて高い物理・魔法防御を無視して倒したが……流石に今回は厳しいだろう。


 満身創痍の状態で此方へと殺意の様な物を送り続けてくるクワガタも、ゴーレムの事をしっかりと認識しているようで、ゴーレムの近くにいる俺へと攻撃を加えてくる様子は無い。


 それもあって俺の中でクワガタよりもゴーレムの方が強いという力関係が出来上がってしまったが……まあそれは良い。今はどうにかしてゴーレムをどうにか……。


「ん?……動かないな」


次回は多分月曜日

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[一言] ゴーレムどした?
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