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基本的な戦法!!

 雫先輩がグラスラビットを倒し、レベルを上げているのを眺めながらストレージ、アイテムボックスの中身を整理していく。大体のアイテムはクランの倉庫かギルドの倉庫に預けているのだが……偶に覚えの無いアイテムを持っている事なども有るのだ。レイナさんに聞いてみた所従魔持ち、精霊持ちのプレイヤーに稀に起こる現象らしく……きっとずっと召喚し続けている精霊達が持ってきた物に違いな……泥団子を入れられてもなぁ。


 時々俺の方へと目線を向けてくる雫先輩を考えれば、早く次のステージに行ってみたかったりするのだろう。


「えっと……雫さん、今レベルはどのぐらいですか?」

「……っと、『ステータス』。6だな」

「6ですか」

「ああ」


 俺とレイナさんが森に移動した時は何レベルだっただろうか。全く覚えていないので何とも言えないのだが……、まあ俺がいるのだし、このぐらいでビッググラスラビットに挑んでも良いか。


「じゃあ、移動しましょうか」

「……森か?」

「いえ、その前に草原のボスですね」

「ボス……?」

「ビッググラスラビット1体とグラスラビット4体です」

「分かった」


 数歩歩き、どうボスと戦えばよいのか分からないといった様子の雫先輩が俺の方向へと振り返る。それを内心で苦笑しながらも……表に出すこと無く説明して移動を開始し、ボスフィールドへと移動した。


「手伝いますか?」

「いや、出来る限りはやらせてくれ」

「分かりました」


 今更だがどのぐらいの範囲で手伝うかを聞いた所、そういった答えが返ってきたので、精霊達に雫先輩の命が危うくなった時のみ守るようにお願いして一歩退く。


「【ツインアロー】……凄いな」


 飛翔中に空中で2つの矢となり、ビッググラスラビットの両方の目を潰した矢を見て雫先輩が声を溢す。

 一拍遅れてから動き出したグラスラビット達も、ボスの目が潰れているからか動きがぎこちなく……矢がビッググラスラビットの毛の上を滑るという謎現象が起きた物の、数本の矢による誘導を受けた上で数分も経たない内に全滅させられた。


「お疲れさまです」

「……眼球は柔らかいから良い物の、ただの矢だと後々通用しなくなりそうだな」

「んー……矢にステータスの力が乗るので、一概にそうとは言い切れないですが……確かに、ただの矢だと厳しいかもしれませんね」


 よく考えれば俺も最近は【インパクト】や【ブラスト】といったスキルを必ず発動している。記憶にないのであれなのだが、普通に射るだけでは弾かれる可能性もあったのだろう。


「……毒でも使うか?」

「毒……ですか」

「ああ。古来より使われてきた基本的な戦法だろう?」

「そ、そうですね」


 基本的な戦法と言われ、少し声が詰まる。ファンタジーのゲームなのだから、魔法を使おうという結論に至ると思ったのだが……毒は流石に想定外過ぎる。毒系のアイテムは沢山持っているので譲る事は出来るが、どうすればよく効く毒を作り出せるのかは良く分からなかった。


「……レンジ、毒を作る方法は分かるか?頑張って私自ら作れるようになりたいんだが」

「【調合】とか、【採集】とか、そういったスキルが必要だと思うんですけど……すみません、あまり分からないです」

「そうか。……まあ、自分で模索してみるのも一興だろうな」

「あ、あと。そういったスキル系はDEXが求められると思います」

「DEX……?今までは全部AGIに振ってきたが……」

「え」


 全部AGI……。確かに俺はAGIをおすすめしたが、全振りするとは思ってもいなかった。正直今でもHPとVITはいらないと思っているのであれだが、最初はそれ以外のステータスにバランス良く振られているのが一番良いだろう。


「む、まずかったか?」

「い、いえ。驚いただけなので」


 あの時のレイナさんのステータスと同じ様な物に、雫先輩もなっているのだろう。レイナさんと違うのは【弓術】、【弓技】を取っているであろう事だけだ。既にAGIが三桁に到達している可能性すらある。


「ただ、ある程度はバランス良く……例えばSTRだと矢の威力、速度を高められますしAGIだと連射速度、動体視力。INTは魔法系スキルの威力の強化、DEXは全体的な器用さ、MPは【弓技】のスキル発動に必要……と、色々効果があるのでしっかりと振り分けた方が良いと思います」

「そうか。少し考えてみる……ん?」

「どうかしましたか?」

「HPとVITが残っているのだが」


 ──いらないです。


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― 新着の感想 ―
[一言] いやいやいらなくはないでしょ 君らだけだよそんなの
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