同じ称号
あり得ない……何で一日平均5時間も講習がorz
頑張って隙間を使って追加更新していければ良いんですけど……暫しお待ち下さい。
「レンジは……髪の色が変わったぐらい、いや耳も伸びてるな」
「……まあ、そんな感じですね」
現実と大差無い雫先輩に一瞬驚くものの、見た目を指摘されたのでそこを反射的に掻きつつ、返答する。
「雫先輩は──」
「雫、だ。ゲームの中でまで先輩呼ばわりされていても楽しめそうにない」
「……じゃあ、雫さんで」
「む……分かった」
一応は納得してくれた様なので、以後雫先輩の事を雫さんと呼ぶように心に止めておきながら……全身を眺める。見た目は……弓使いの初期装備だろう。耳が若干だが尖っているのでエルフなのだろうが、それ以外はぱっと見で現実での雫先輩との差を見つける事が出来なかった。
「……どうかしたか?」
「あ、いえ。雫……さんは噴水触ってみましたか?」
「──いや、触ってない」
「じゃあ、触ってみてください」
「分かった」
言われるがままに動く雫先輩を眺めながら、この後どうするべきかを考える。第二陣がリリースされてからすぐなので、始まりの街の南側、逃げるグラスラビット達がいる方へと案内するのは決めているのだが、その後をどうするかが曖昧だったりする。
『朱雀』などがおり、レベリングなどがしやすい事、俺が詳しい事などを考えれば深淵の森を案内すれば良いのだろうが……クランへと案内する事などを考えれば第二の街へと進んだ方が良い。
レイナさんが始まりの街にもクランホー──
「……【神の調べ】?噴水に神様が祀られていたりする……のか」
「いや、それは多分違うと思うんですが……取り敢えず、移動しませんか?」
「分かった」
とにかく、噴水の周囲が第二陣達で混み始めたので雫先輩を連れ、移動を開始する。
「これから行く予定の所は遠距離御用達?というか、最初に俺がお世話になった場所なんですけど、逃げるグラスラビットしかいないフィールドです」
「へぇ。私でも倒せる敵しかいないのか?」
「あ、それは大丈夫だと思います。その先の森は……結構苦戦しそうですが」
「……何かあったのか?」
「いえ、レイナさんと一緒にデスペナをくらったのを思い出しまして」
「……へぇ。なら、私も行ってみたいな」
レイナさんとの攻略時、狼の群れに殺された時の事を思い出して眉をひそめる。それに気づいたのか雫先輩に問いかけられたので返答すると、何か思う所でもあったのか、少ししてから行きたいという返事が返ってきた。
「ん……ではグラスラビットで肩慣らしをしてからで良いですか?」
「それで頼む」
「──ここですね」
「……凄いな」
目の前に広がった草原、グラスラビットを見て、雫先輩が思わずといったふうに声を漏らす。第二陣のリリース直後だからか誰もいなく、奥まで広がった草原は確かに初見であれば驚く物なのかもしれない。俺の場合は一番最初にナオとの会話をし、その最中にグラスラビットの逃走劇に驚いたので風で靡く草原に驚く暇は無かったのだが……。
草原に驚いている雫先輩を眺める事数秒、後ろから男女の声が聞こえてきたので雫先輩の手を引き、遠くにいるグラスラビットを射る様に促す。
「雫さん、殺っちゃってください」
「……?言い方が物騒な気がするが……ッ、」
雫先輩の矢が弧を描き……一番近くにいたグラスラビット……ではなく、その先にいた100m以上離れているグラスラビットに突き刺さった。
「……」
「新称号……?」
「え……何で遠い敵を?」
「……。っま」
「っま?」
「──いけると思ったから、だな」
「へぇ……」
それならば有りなのかもしれないが、唐突に100m先のグラスラビットを狙う弧を描き始めた時は驚いた。流石に今のステータスがあれば100m先であろうとも余裕であてる事が出来るだろうが……初期状態でそれをやってのけた雫先輩はやはり、レイナさんと同類なのだと思わされる。
「称号、何でした?」
「【初討伐者(始まりの街南部草原)】」
「あ、俺と一緒ですね」
「……そうか。レベルも2つ上がったのだが……ポイントはどう振るべき、とかあるか?」
「AGIですかね?風精霊、雷精霊のクエストを発生させるのに求められるステータスがそれなので。けど、一番は自分のやりたいようにするのが良いと思います」
「分かった」
姉などは、おすすめのステを聞いてきながらもガン無視するという良く分からない事をしてきたのだが……雫先輩にされるのと姉にされるのでは腹立たしさの度合いが違う。
雫先輩であれば確固とした自己があり、それを元に決めてくれそうだが……あの時の姉はノリで決めていた様な気もするのだ。
「じゃあ、もう少し慣れてから……好きなタイミングで次のフィールドに行きましょうか」
「私はもう慣れたが……」
「流石にレベルがきついと思います」
「む、そうか……」




