クラン戦2
完全3人称パート。
3人称は初めてなので感想見て今後の人称は決めます。
お豆腐なのでオブラートに感想お願いします。
0件だったら泣く。
そこでは、異様な光景が広がっていた。
「────」
「────────!!!」
様々なプレイヤーが光が降り注ぐ中倒れ伏す。中には倒れ方の問題で毒沼による窒息というエゲツないコンボをくらって死亡しているプレイヤーもいるが、大半は”ナニカ”に毒沼の奥深くへと引き摺りこまれ……姿が見えなくなっていた。
せめてもの救いは緊急ログアウトシステムが体が動かなくても手動で作動出来る為、その恐怖を身を持って体感したプレイヤーが少ない事。それでも、トラウマに近い現象がその場で起きている事は間違いなかった。
宙を舞う、半透明な蝶の群れ。軽く見ただけだと幻想的な風景に見えるそれも、この惨状を引き起こしてる最大の要因だと考えると笑えない。
実際の所は、以後恐怖の象徴となる6体の中では弱点さえわかっていれば最も弱い、倒しやすい従魔なのは間違いないのだが、その場で既に死んでいるプレイヤー達にとっては何も良い情報では無かった。
コリィと名付けられたその従魔がする事は唯一つ。全ての生物を麻痺状態にするだけ。コリィにとって先輩とも呼べるグドラの毒にも麻痺効果は存在するが、コリィのその技は麻痺毒とは比べ物にならない、純粋な肉体支配。かつて……『玄武』が来るまではその地の頂点に位置したその従魔にとって、機械でさえなければ肉体の自由を奪えるのは当たり前なことであった。
「あ」
「何あれ!?」
レンジとソラという例外はいるが、それ以外の全てのクラン員が集まるべき所である楓と十六夜の視界には、大きな禍々しい樹が2つも映っていた。
「……レンジ?」
「いや、レンジ君限度有るでしょ!?巨木……っていうか邪木を召喚するってどういう事!?」
「勝てなそう」
「いや、十六夜も何考えてんの!?あれは戦って良い敵じゃないでしょ!?」
実際には彼女達が思っている以上の惨状があの木の麓では発生しているのだが、今はそれを知らずにいられたのは不幸中の幸いだろう。
又、その木が発生した事である共通認識が全てのプレイヤーに発生した事に気づけている人間はそこまで多くなかった。
誰もが『あれを倒さないと勝てない』という事には気づいているが、衝撃的過ぎる光景に頭が追いついていなかった。
ただ……、
「あ、いたぞ!魔王だ!」
「へ?え、ちょ!?」
あんな大きな、規格外な生き物を召喚できる最有力候補であるソラが魔王と称した楓はあれに関わっているだろうと推測され、最優先討伐対象になったのは間違いなかった。
「うわー……俺に魔核くれてたからやべぇんだろうとは思ってたけどあそこまでとは思わんかったわ」
「……待て、おい」
「ん?」
「あれは……」
「レンジだろどうせ」
パーティ予選の事もあり、当たり前のように囲まれていたソラは実際に見ていない人達の中では一番、惨状に近しい推測をたてる事に成功していた。ソラは以前レンジに『見るだけで死ぬ』と言われた時の事を覚えており、その際に見せられた苗木の事も覚えていたのだ。
「しかし……でかいなおい」
「れ、レンジ?……引かせてもらえたりは」
「推測通り、駄目だな」
周囲を囲んでいるプレイヤーが他クランの塊である今、ソラに逃がすという選択肢は存在しなかった。パーティ予選ではパーティ単位でしか協力をされなかったが、クラン規模の大人数の協力を前にすれば5体の従魔ではなすすべが無い。レンジの従魔は違うかもしれんけど……と考えながらも、ソラは──
「知ってるか?深層のボスって……元々は別にいたんだぜ?」
「は?何を……」
「【召喚】『オーガキング』」
パーティ予選では使わなかった奥の手、オーガキングを召喚した。召喚中毎秒MPを持っていかれるという、ソラの持っている召喚獣の中でもトップクラスに燃費が悪い存在。前にレンジに召喚中のMP消費はどうしているのかと聞いた際に『なにそれ?』という想定外過ぎる返答を貰った事を思い出しながらも……ただ一つの命令を下す。
「蹂躙せよ」
「「「「「「「ゴガァァアアァァアァァ!!!」」」」」」」
オーガキングが2体のオーガジェネラルと4体のオーガナイトを召喚し、オーガジェネラルがそれに続いてオーガの変異種達を召喚していく。
その光景は正しく、魔王の降臨と言っても差し支えなかった。
尚、召喚獣の消費MPは
災獣>>>>キング系統(生成持ち)>>ジェネラル系統(召喚持ち)>他
です。
又、例外として
大地に根を張る魔物などはMPを消費しません。
……チートじゃないよ?




