イベントソロ予選5
昼夜が……逆転してる………
今の残MPは1300程。もうすぐクールタイムが終わって2500近く回復できるが、精霊魔法を大判振る舞いで使うと【領域射撃】などのスキルを一切使わないでも4分程しか持たない。本来であれば使いたくない物なのだが、使えば相当強化されるのは間違いなく、【精霊王の加護】も発動してしまえば精霊達が魔法を行使する際のMP消費量がほぼ0に等しくなる。その分、一秒で20以上のMPが消費されるのだが……
まあ、1分ぐらいならやってもいいか?
「【光精霊の加護】【闇精霊の加護】【火精霊の加護】【炎精霊の加護】【土精霊の加護】【風精霊の加護】【雷精霊の加護】【水精霊の加護】【無精霊の加護】【精霊王の加護】」
「「ん……!?」」
【精霊王の加護】の効果は色々と有るが、一番強いのが精霊の同時召喚の解除。次は【精霊の加護】と【精霊王の加護】の同時発動でMP消費ほぼ0で魔法を放てるようになる事。最後に【Black Haze特攻】という物も有るが、俺は未だに試せていない。
「魔法を」
「おいおいおいっ!洒落になんねぇぞ!?」
「誘ったのは失敗だったか」
俺の周囲から飛んでいく様々な魔法群。基本的にボール系、一番簡単な魔法だが、全ての基本属性で、加護によって大幅に強化されている魔法が飛んでいくのだから相手からすれば厳しいだろう……が、リーマン、クヌギ共に腕に纏った竜腕で弾き飛ばしてしまった。
「それ、卑怯じゃないですか?」
「おまっ、言うかおい!?」
「……ブーメランという武器を知ってるか?こう、投げたら手元に返ってくる武器なんだが」
ブーメラン?勿論知っている。こう、相手に思いっきりぶん投げ、突き刺して倒す武器だ。流石に1000まではいかない物の、現AGI値は840。MPに至っては1万を越えている。残されている時間は少ないがさっさと倒してしまおう。
「ッチィ!?さすがトップ!頭おかしいなおい!」
「早っ……、そんな速さで動いて感覚は大丈夫なのか?」
AGI、【スカイジャンプ】、【ショートワープ】を駆使して様々な方向から攻撃をするが、いまいち決定力に欠けてしまう。竜腕が厄介なのは当然のこと、何よりもプレイスキル、そして二人の連携が面倒くさい。協力しないと倒せないと思ったのか、リーマンとクヌギは協力して俺の攻撃を防ぎ始めたし、逃げた方が良い様な気もしてきた。光精霊の力が有るとはいえ、現最大HPは120。場合によっては一撃圏内なので攻撃に当たる訳にはいかない。それだというのに、此方の攻撃では倒せないし……。
「【サウザンドアロー】」
一抹の望みを込め、MP回復薬を飲んだ後に【サウザンドアロー】を使う。流石にそれ以外のスキルを同時に発動する事は出来ないが、残っているMPのほぼ全てを消費すれば何とかなる。倒しきれなかった場合は逃げるしか無いが……。
「ぐっ……」
「やったか?」
矢の雨の中、数度程鳴った『パリン』という音に不安を覚えたが、流石に精霊たちによって強化された2000本の矢を防がれるとは思いたくない。が、人影は倒れていないのも事実で……倒せてないのか?
「……。あっぶな。やべぇぞおい、根性装備が全部ぶっ壊れてんだが」
「助かった。肉壁の才能が有るんじゃないか?」
「ぁ!?」
リーマンの胸当てやブーツ、腕輪などほぼ全ての装備が壊れていたが、それでも二人は健在だった。よし、逃げよう。
「おい、待てレンジ」
「はい?」
「装備の素材、請求させろぉぉぉおおおお!!!!!」
「は?」
「いや、まあ冗談だから気にすんな」
真顔で冗談だと言っているリーマンだが、装備の素材を請求したいというのは本音なのだろう。根性装備などという聞いたことがない装備なのだから、相当入手難易度が高いのは間違いない。
「因みに、素材は?」
「精霊核」
「は?」
「【瞬光】でBlack Hazeを狩りまくってんだが……利点滅茶苦茶多いぞ」
Black Hazeは中級土竜のしか知らないが、利点が多いのならば俺も狙ってみるのは有りだ。【瞬光】がどうやってBlack Hazeと遭遇しているのかは知らないが、深淵の森を周回してみるのは有りなのかもしれない。
「……今なら私一人でも二人を倒せそうだな」
「おい、恩を仇で返すのか?」
「見逃してほしいんですけど」
「そうだな……二次予選か本戦で会おう」
そう言うだけ言って立ち去っていったクヌギ。当たり前だが、その場には俺とリーマンが残されるわけで……。
「協力しねぇか?」
「お願いします」
その後、割と簡単に第一予選を突破した。
次話は掲示板を挟む予定。
パーティ予選をどうするかは絶賛悩み中。
掲示板形式でも良いし、レンジ視点でも良いし、第三者視点でも良し。




