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イベントソロ予選4

思ったより長引く……

次更新は水曜です。

 リーマンの叫びで、フィールド内に微妙な雰囲気が漂う。

 俺は湿地のスライムなど一切知らないので答えられないのだが、そこらへんは言うべきだったのだろう。


「スライムでしたよね?」

「ああ」

「挑んでないんで分かりません」

「「は?」」


 質問者であるリーマンだけでなく、クヌギも驚きの声を上げたがそんなに驚くような事でもないだろう。確か、レッサーザラタンが俺達以外の手によって倒されたのは一昨日で、それも【瞬光】だけの力では無く、複数クランの協力によって倒されたと聞いている。まあ、その後すぐに攻略法でも確立したのか【瞬光】によるレッサーザラタンの乱獲の様な事が行われたらしいがそれでも、湿地まで辿り着いているプレイヤーは少ない。

 大量のプレイヤーが辿り着いて最前線が押し上げられている様だったら挑んだが、そんな訳でも無いなら俺が挑む理由はないのだ。


「楓に【PRECEDER】は第八の街まで到達していると聞いたが?」

「そうなんですか」

「……レンジ。【PRECEDER】に所属してるんだよな?」

「はい」

「「……」」


 まああの時に挑んでいるのは見ていたし、聞いた感じ魔法が効かないらしいスライムも、魔法職がほぼいない【PRECEDER】には関係ない事だろう。多分、今挑んでも負けるような事は無いだろうから、イベントが終わったら第八の街まで行っておくのも良いかもしれない。


「……【美食会】に来ないか?ノルマなどは存在しないぞ?」

「あー……こっちはノルマが有るから厳ぃか?」

「【PRECEDER】所属なんで」


 流石に俺が集めた人がいたりするギルドを抜ける気にはならない。既に半分抜けてるような気がしないでもないが、イベントのクラン戦には参加するのだから俺はれっきとした【PRECEDER】の一員である。


「ッチ、まあしかたねぇか。ならとっとと始めっぞ」

「私は外野から潰したいのだが……戦闘狂か?」

「MP回復薬のクールタイムが有るんで1、2分待ってくれたりしません?」

「「始めようか!」」


 リーマンが地面に剣を突き立て、【アイスウェーブ】と唱えた事をきっかけに戦闘が始まった。クロに使ってもらった事があるシャドウウェーブのアイス版。シャドウウェーブの場合は影が波打ったのだがアイスウェーブの場合はそんな事は無く、氷の地面が侵食してくるというのが一番正しい表現になるのだろう。


「【領域射撃】」

「【ショートワープ】」

「【アイスウォール】【アイスウォール】【アイスウォール】ッ!!!」


 俺を中心とした全方向ではなく、リーマンとクヌギのみを狙った【領域射撃】。クヌギには【ショートワープ】ですぐに避けられてしまったが、真正面から受ける事になったリーマンは必死に氷の盾を張り続けている状態になった。


「【ペネトレイト】」

「【スラッシュ】!ダアァァア!!!あぶねえよおい!?」

「【ラピッドスラスト】」

「【ショートワープ】」


 隙をついて狙ったつもりだった【ペネトレイト】は剣によって真っ二つに斬り裂かれ、トドメのつもりの攻撃は難なく防がれた。代わりと言っては何だが俺に向かって飛んできた【ラビットスラスト】は【ショートワープ】で躱したが、これが無ければリーマンを確実に倒せていただろう。


「……MPはどうなってるんだ?」

「最大MPは8385です」

「【遠距離物理】だよな?」

「はい」

「私の知る【遠距離魔法】よりも多いのだが?」

「そうなんですか」

「どんなステータス構成なのか気になるところだがなっ!」


 俺へと高速で近づき、突きを繰り出してきたクヌギから逃げながら、ようやく発射が終わった【領域射撃】の的となっていたリーマンの方を確認すると回復薬を2本飲んでいた。恐らくHPとMPの両方を回復させたのだろうが……回復させる前に倒しておきたかった。


「【火竜の吐息】!!」

「うおっ!?」

「なっ」


 回復薬を飲み終えた直後に口元からブレスを放出したリーマンの行動に驚き、手元が滑ってMP回復薬を落としてしまったが、クヌギも同様に驚いたようで固まってそちらを凝視していた。


「リバ……ス?」

「気持ちは分かるが……リーマン、何だそれは?」

「企業秘密だ。っても察しはついてんだろ?」

「……ああ」

「え?」


 共通認識でも有ったのか通じ合っている二人。俺は全く分からないが火竜と言っていたし竜の加護に関わる事なのだろう。使いたいかと聞かれると微妙では有るが、習得しておきたい感は有る。


「【風竜腕】【火竜腕】!!」

「おいおいクヌギ。お前も風竜とか言う超特ダネ隠してんじゃねえか!」

「本気で来られた以上、本気で返すだけだ」

「そうかよ」

「「……」」


 風で出来たような竜の腕を左手に、火で出来たような竜の腕を右手に纏ったクヌギと、それに応えるように火で出来た竜の腕を両手に纏ったリーマンが俺へと視線を向けてくる。……俺、元からずっと召喚してたんだけどそれでは駄目だろうか?


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