イベントソロ予選2
【空歩】を【スカイジャンプ】に修正しました。
ご了承ください。
【スカイジャンプ】を使った際に確認した限りでは、円形フィールドの中央を見ながらの右隣に湿地、左隣に砂漠が広がっており、中央にはそのどれでも無い荒野フィールドが少しだけ広がっていた。荒野を確保したプレイヤーは見つけられなかったが、あそこは激戦区になるか誰も行かないかの二択になるだろうと思っている。激戦区になるのであれば行くのだが、ならないのならば行く意味もない。
「んー……【テンスアロー】【インパクト】」
俺が弓を持っていたから舐めていたのか、真正面から突っ込んできた何がやりたいのか良く分からないプレイヤーを倒しながら少しずつ中央へと向かっていく。MP回復薬の使うタイミングを気をつけないといけないのは勿論だが、全員召喚してしまっている精霊達のMP消費に関してもしっかりと考えなくてはいけない。今、精霊の数は9体。10秒間に消費するMPは11で1秒間に1以上と割とバカにならない量のMPが消費されている。
「割と会わないな……」
一フィールド内に250人超もいるのだからすぐにでもプレイヤーと会うと思っていたのだが、あまりプレイヤーが見つからない。【スカイジャンプ】を使って周囲を確認すれば見つける事は出来るのだが、基本的に俺がいない方向へと向かっていく人ばかりだった。……【領域射撃】を見られたか?そうなると、俺から追いかけ回さないとキル数を稼ぐことは出来ないだろう。草原の様な見晴らしの良い所だと【領域射撃】の様な技は目立ってしまう。湿地、砂漠も同様に目立ってしまうだろうから森で戦うべきなのかもしれない。
「行くか」
道中に突っ切る荒野で襲ってきてくれれば儲けもの。複数人で襲われた場合もMPが少し不安だが【領域射撃】を使う良い機会となるから問題ない。
【気配感知】【気配探知】は使いながら、なるべく油断を誘うような歩き方をして荒野へと侵入した……瞬間、
「【アンチマジック】」
前方の森、木の影から飛んできた炎の塊。弓王技レベル6で取得できるアンチマジックを使って相殺する事が出来たが、
「【メルト】」
分かりやすいその一声により俺の足元が溶け始める。声を聞いた瞬間に下がったのでダメージを受ける事は無かったが、【気配感知】【気配探知】でも見つける事が出来ない敵に移動する時間を与えてしまった。木の影にいる以上、適当に撃っても当たる訳がない。敵を倒すには俺も森に侵入する必要が有るのだが……湿地から現れた男と、頭上から降ってきた女がそれを許してくれない。
「楽しそうだな!【アイスウェーブ】」
「【ラピッドスラスト】」
「【ショートワープ】」
右側から迫ってきた氷の壁に、頭上から降ってくるレイピアの連続刺突攻撃を【ショートワープ】で回避する。【歩術】を最大レベルまで上げておいて良かった。俺達を纏めて倒そうとしたのか溶岩の塊が飛んできたが、女は【ショートワープ】で、男は普通に切り裂いて対処していた。
一瞬で一対一から四つ巴状態に変わったが、【気配感知】【気配探知】は戦闘の匂いを嗅ぎつけてか、此処へと集まってくるプレイヤー達の気配を確実に捉えていた。
「【瞬光】リーマンだ。まあ全力で楽しもうぜ」
「【美食会】クヌギ。短い間だけどよろしく」
「……【PRECEDER】レンジです。よろしくお願いします……取り敢えず」
「【フリーズウィンド】……【アイスウォール】」
「【スカイジャンプ】」
「【領域射撃:防殺陣】」
初手から前方位へと冷気を撒き散らし始めたリーマンと、上空へと回避したクヌギ、そして集まってきたプレイヤー達を攻撃し始めた俺。
「おいおいおい……それはやばくねえか?」
「この近距離で全部防ぐのおかしくないですか?」
「……圧倒的に脅威度が高いな」
数メートルの距離しか無いというのに、とっさの判断で氷の壁を複数枚張って耐えたリーマンに、【歩術】、刺突攻撃などを駆使して全てを躱しきったクヌギ。周囲のプレイヤー達はほぼ全員にダメージを与えられたというのに、一番近くにいたこの二人にはダメージを与えれていない。片方ぐらいは倒れてくれた方が楽だったのだが……
「さすが最前線プレイヤー。出来ればどうやって湿地ボスを倒すのか教えてほしいんだがな〜……?」
「それは我々も知りたい……が、我々は君が持っているであろう最前線の食材の方が欲しい。どうだ、個人契約をしないか?」
「……戦闘中ですよね?」
あまりにも直接的な物言いに気が抜けてしまう。湿地ボスはそもそも俺も挑んでいないので分からないし、個人契約……と言われても、虫の肉とか毒々しい肉とかそういった物しか提供できる物がないので双方であまり旨味がないだろう。
「あのスライム意味分からねえんだよ。分裂するわ魔法ほぼ効かねえわでさ。どうやって倒したん?」
「個人契約と言っても行動を縛るような物ではない。あくまでも優先取引対象にしてくれれば良いだけだ。どうだろうか?」
「……戦闘中ですよね?」
「「ああ」」
駄目だこれ、気が抜けてしまう。
こう、もう少しやる気が出るような
「【メテオストライク】」
「「邪魔だ!」」
「わぁ……」




