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神と血4

本日三話目ー……


「……ん?」


 何も起きない。

本当に、何も起きない。


「あのー……?」


 それから待つこと数十秒。

ようやく動き始めた虚霊頒神は……


領域(region-)変異(rule):«炎熱(heat-)神威(dignity)»』


 その瞬間に現れたのは先程までの小型朱雀よりも少し大きな、言うならば中型朱雀の群れだった。先程の好き勝手動いていた小型朱雀とは違い、明確な意思疎通の元隊列を組んで行動をしてる中型朱雀の群れ。


「取り敢えず……三連射」


 第二試練に切り替わっても、未だスキル封印は解除されていないようだったので【三連射】という事で色々と試したのだが、想像外の方向で実験結果は外れた。


「……6撃?」


 三連射と言ったにも関わらず、一体の中型朱雀には6本の矢が連続して突き刺さっていた。

 視界に表示された【追撃】の二文字。矢一本一本に対して追撃が発生しているのなら、単純火力が2倍になるので強いことこの上ないのだが、何故追撃が発生したのかが分からない。

 取り敢えず、中型朱雀が6撃では倒せない事が分かったが、規律正しく明確な狙いを持って火炎放射してくるのは厄介だった。

 まあ、どうやら歩術の効果である空中ジャンプは出来るようで、それのお陰で火炎放射を上手く躱す事が出来ていた。スキルと違ってシステムアシスト的な物はほぼ無いが、使用回数制限も存在しない。


「これなら何とかなりそうだな」


 中型朱雀を倒すのに必要な狙撃数は18撃。要するに、九連射と言って一体を狙撃すれば撃墜する事が出来る。撃墜……物々しい言い方だが、実体が有るのか無いのか良く分からないのに火炎放射器の様な物を搭載しているのだから妥当だろう。


「九連射」


 50体近くいる中型朱雀の攻撃を空中ジャンプを駆使しながら躱し、確実に一体ずつ仕留めていく。相変わらず上から見ているだけの虚霊頒神が気になりはするものの第一試練と同じ様な内容であるならば、戦闘に介入してくる事は無い。


「九連射、九連射、九連射」


 クールタイムがなく、1本の矢を番えて九連射というだけで飛んでいく18本の矢はそれだけで圧倒的な攻撃力を誇る。流石にハンドレッズアロー以上と比べられると困ってしまうが、どうやら追撃効果にはMP消費が無いようで、一回射る時の消費MPは8のみ。効率は最高といって良いだろう。


 なるべく囲まれても全体を俯瞰できるように注意しながら、空中ジャンプをし続ける。そろそろ酔いそうな物だが、乗り物酔いなどはしないタイプの人間なので問題ないと願いたい。


「九連射、九連射……あと、10体か?」


 気がついたら数を減らしていた中型朱雀。到底推奨レベル150のボスとは思えないぐらいにスムーズに事は進んでいた。頭上にいる虚霊頒神も介入してくる様子は無いし、それどころか天井である海の膜へと当たらんばかりの上空から全体を俯瞰していた。

 ちなみに、この空間の明かりは全て炎によって出来ており、所々にある大きな神秘的な柱などの上に炎は灯っていた。


「よし、これで終わり」

『汝の生を、覚悟を、我はしかと見届けた』

『されど、問おう。それで良いのか、そんな生で良いのか。今ならば』

「これでいい」

『そうか、そうか……』


 朱雀の言っている事を聞く限りだともう一度生を選ぶ事からやり直す事ができそうだし、第一試練と違って第二試練には自己申告制のループ機能があったのだろう。まあ、俺は連射以外を選択する理由は無い。選択したから【追撃】が発生したのかとか色々と気になる事はあったが、わざわざ生を変えてまで知る必要は無かった。


『では、問おう。汝の生に何を望む』


 今の連射に足りない物は何かと聞かれると様々な物が挙げられる。まず、防御力が高すぎる相手だとそもそも数撃っても意味がないので、一発毎の攻撃力が足りない。次に、先程の戦闘中のように、周囲を囲まれている状態だと連射性能が大幅に落ちる。九連射、追撃のお陰で先程の戦闘は何とかなったとは言え、それが使えなくなると厳しくなるのは間違いないだろう。他にも、早すぎる相手には当たらなかったり、矢が……挙げてくだけできりがない。


 今、俺が一番欲しいのは何だろうか。

……多分、全方位攻撃、範囲殲滅能力が一番欲しいんじゃないかと思う。最悪、足りない攻撃力はレッサーザラタン戦にやった一点集中攻撃で何とかなるし、早すぎる相手も弾幕を張れば何とかなる。だが、数の暴力をされると厳しくなるのは間違いない。

 だから……


「範囲殲滅能力を」


『想像せよ、創造せよ、汝の理を捻じ曲げる、生に望むその理を』

『我に魅せよ、汝が望んだその生を。そして勝ち得よ。汝の生そのものを』

第三(final-)試練(gate):«血脈(blood-)相承(glory)»』


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ブラッドスキル【追撃】が付与されました。

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ブラッドスキル【領域射撃】が付与されました。

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第二(second-)試練(gate)血脈(blood-)解錠(reveal)

第一(first-)試練(gate)血脈(blood-)溶循(mingle)の効果に追加される形で

第一(first-)試練(gate)の問答の際に答えた能力が付与される。

また、それに伴って付与された能力に関係する事象の大幅強化、関係しない事象の大幅弱体化が行われる。

”連射”と答えたレンジは”連射”能力が強化された代わりに、一撃の命中率、威力が低下した。


領域(region-)変異(rule):«炎熱(heat-)神威(dignity)»

中型朱雀のみたいな奴が虚霊頒神の周囲に出現し、規律正しく敵を殲滅しようとする。

朱雀に答えた”生”で倒すとクリアする事が出来るが、

最後の問答で”生”を変えると答える・その”生”で倒さないなどをしてしまうと好感度が下がり、50未満になると試練が強制終了してしまう。

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