表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/61

36

 36話


 まだ熱を持つフレイムゴーレムの破片——

 ヴィオラ達四人はそれぞれが手に取って観察していた。


 ちなみにフレイムゴーレムの炎が消えた後は、ワシが《魔力光》を出しておいたので、視界は明るい。



「こんなに固い岩が粉々になるだなんて……」

「戦闘時間が半刻もかかってないし……」

「わ、わたしだったら、最初の一撃で死んでました」

「なんだったんですの、あのすさまじくも洗練された魔力は……」


 ヴィオラ達の気持ちが落ち着いたころを見計らい、ワシは言った。


「さて、お主たち。約束は覚えておるな?」


 答えたのはヴィオラじゃった。


「フレイムゴーレムを倒したら言うことを聞いてもらう、だっけ?もちろん覚えてるわ。でも、一つだけ……その、聞いてもいいかしら?」


 ヴィオラが不安そうに訊ね、ワシは頷いた。


「私も、あんたみたいに……いえ、あなたみたいに……なれるかしら?」


「先程の戦いレベルなら、十分可能じゃ」


「あの、ウチも質問してもいいかな?」


「もちろんじゃ、イリス。なんでも聞くがよい」


「ウチの武器は弓だし。それでも……強くなれるかな?」


「ワシが鍛えればお主の矢は地平に届き、岩どころか、金属の盾すら貫くじゃろう」


「わ、わたしも質問があります!」


「よいぞ、セレーヌ。なにか聞きたい?」


「わ、わたしの盾は、ゴーレムみたいな強い敵から、皆を守れるようになれますか?」


「お主の盾はゴーレムどころか、ドラゴンの爪すら防げるようになる」


「あの、わたくしも質問よろしいですか?」


「何でも聞くがよい、リリエットよ」


「わたくしとレイヴァリアさん……いえ、レイヴァリア様の魔力は、なにが違うのでしょう?」


「同じじゃよ。お主とワシとの違いは知識と経験、ただそれだけじゃ」


「それじゃあ……『私も』『ウチも』『わ、わたしも』『わたくしも』……強くなれますか?」


 ヴィオラの、イリスの、セレーヌの、そしてリリエットの目が、期待と不安の色を浮かべる。

 ワシは皆の気持ちすべてを包み込むように微笑むと、大きく頷いた。


「そのためにワシはここにおる」


「レイヴァリア様……」


 ヴィオラが跪いた。


「「「レイヴァリア様……」」」


 残る三人、イリス、セレーヌ、リリエットもヴィオラ同様に跪いた。


 ワシを見上げる8つの瞳からは涙がこぼれ落ちておった。


「どうか今までのご無礼をお許しください」

「どうかウチの……」

「わ、わたしの……」

「わたくしの……わたくし達四人の師となり、魔導の深淵へのご指導を切にお願いいたします」



「引き受けよう」


 この瞬間、スノーレギンスの四人——槍のヴィオラ、弓のイリス、盾のセレーヌ、魔術のリリエットがワシの弟子となり、共に武の道を歩む同士となった。


 ワシの目的である『普通の生活』は……ま、まぁこれくらいなら支障はなかろう。

 師匠だけに、のう。

 なんつって。

 カカ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ