22 襲撃者
22話
裏通りを抜け、人気のない場所に足を踏み入れる。
振り返らず、背後へ向けて低く問いかけた。
「それで、どうする?お主らの望みは試合か?それとも——」
突然の空気を裂く突風。
シュッ——!
鋭い音とともに、5人のうちの一人が長槍を突き出した。
「後者、じゃな」
刹那、飛び込んでくる槍を掴み、持ち主ごと振り回す。
全力で地面へ叩きつけると、砂ぼこりが爆ぜた。
「ほう、認識を阻害しておるのか」
襲撃者は全員、無機質な仮面をつけ、気配を曖昧にしている。
声を発さねば、子供か老人か、男か女かすら判別できぬ。
便利な道具があったものよ。
槍の者を後方へぶん投げる。
同時に、杖を持った者が呪文を唱え始めた。
術者は若い女か。
「カカ。唱え終わるまで待つとでも?」
次の瞬間、疾走する。
杖の者へ向かい、一直線——
しかし——
「——む?」
ガインッ!
重い金属音が響き渡る。
巨大な盾が、ワシの進路を阻んだ。
盾の者は、二メルを超える巨漢。
ワシの動きを止めるとは、なかなかやるではないか。
盾の者に守られ、杖の者の詠唱が完了する。
「氷結の呪縛、永久の静寂を刻め——『凍結牢』!」
バキッ!バキバキバキッ!
瞬時に、ワシの足元が凍りついた。
氷の群れが成長し、完全に足を封じ込める。
「これで終わりよ!——シッ!」
弓の者が燃え盛る矢を放つ。
ほう——見事な連携じゃな。
——じゃが甘い。
炎の矢がワシに届くことはなかった。
「にゃん」
空気を裂くように跳び込んできた影。
矢を咥えたアビーが、ワシの足元に現れた。
——さて、こやつらの実力はだいたいわかったし、さっさと終わらせるかの。
「くっ……まだこれからよ!」
槍の者が立ち上がり、再び武器を構える
だがワシは静かに告げた。
「いや、もう終わっておるよ」
瞬間——空気が揺らぐ。
ワシは残り一人の背後へと瞬時に移動していた。
手には、4つの仮面。
「「「「あれっ!いつの間に!」」」」
四人が一斉に顔へ手を当てる。
困惑に満ちた声が重なり合った。
「そこまでだ」
残り一人が仮面を外す。
「ご無沙汰だな、師匠」
それは——ワシの弟子、エルミナ・フォルスター騎士団長であった。
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